税理士・会計士・日商1級 絶対落とせない財表理論45ー第44回 概念FW④


村上翔一(敬愛大学准教授)

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問題

会計情報が有用であるために必要とされる最低限の基礎的な条件として、( ア )と( イ )がある。( ア )とは、ある個別の会計基準が、会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しないことを指す。この場合、その個別会計基準に従って作成される会計情報は有用であると推定される。( イ )とは、同一企業を( ウ )で比較する場合や同一時点の会計情報を( エ )で比較する場合、それらの比較に障害とならないように会計情報が作成されることを指す。例えば、2つの取引の法的が異なっているが、実質が同じ場合には同じ会計処理が適用されることを( オ )と呼び、( オ )によって( イ )が保たれる。

解答・解説

ア 内的整合性
イ 比較可能性
ウ 時系列
エ 企業間
オ 実質優先

討議資料 財務会計の概念フレームワーク、第2章pars.9、11、16、17、20
内的整合性は会計基準の採用に関わる要請であり、特定の会計手続を毎期継続的に適用されることを要請する首尾一貫性とは異なる(討議資料 財務会計の概念フレームワーク、第2章par.19)。
実質優先と表現の忠実性は重複しているが、表現の忠実性は、2つの取引の外形的形式が同一であるが実質が異なる場合に異なる会計処理が適用されることを包摂しているか否かが必ずしも明確ではないと考えられることから、形式と実質が分離している2種類の状況を比較可能性としてまとめている(討議資料 財務会計の概念フレームワーク、第2章par.20)。

◎復習しましょう!(バックナンバー)
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【執筆者紹介】
村上 翔一
(むらかみ しょういち)
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程修了(博士(経営学))。明治大学専門職大学院会計専門職研究科教育補助講師、敬愛大学専任講師を経て現在敬愛大学経済学部准教授。
<主な論文>
「保有者における電子マネーの会計処理」『簿記研究』(日本簿記学会)第2巻第1号、2019年(日本簿記学会奨励賞)
「ICOに関する会計処理」『敬愛大学研究論集』第98号、2020年
「ブロックチェーン技術の進展と簿記」『AI時代に複式簿記は終焉するか』(岩崎勇編著)、税務経理協会、2021年
「コンセンサス・アルゴリズムの観点に基づく暗号資産の会計処理―マイニング、ステーキング、ハーベスティングの理解を通じて―」『敬愛大学研究論集』第100号、2021年 他

*本連載は、「会計人コース」2019年11月号「特集:勉強したくなる「習慣化」のススメ 7日間理論ドリル」を大幅に加筆修正したものです。


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