【クイズでわかる消費税法のキホン】第23回:仕入税額控除⑦


加藤久也
(税理士/名城大学大学院非常勤講師)

条文や通達、Q&Aなどから受験勉強で役に立ちそうな論点をピックアップ。クイズ形式で手軽に消費税法のキホンを学ぶ連載です。なお、特に断りのない場合には、取引は国内において行われたものとして解答してください。

問 題

当社(3月決算法人)は、令和2年10月1日に居住用賃貸建物を取得しました。この居住用賃貸建物の敷地の一部を月極め駐車場として令和3年4月1日から賃貸しています。当社は、この居住用賃貸建物について、消費税法35条の2第1項に定める「居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整」の規定の適用を受けることができますか。

解答

当社は、「居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整」の規定の適用を受けることはできません。

解 説

課税賃貸用の意義(消費税法基本通達12-6-1)

法第35条の2第1項《居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した場合等の仕入れに係る消費税額の調整》の規定は、居住用賃貸建物の全部又は一部を住宅の貸付け(法別表第一第13号《住宅の貸付け》に掲げる住宅の貸付けをいう。以下12-6-1において同じ。)以外の貸付けの用に供した場合にのみ適用されるのであるから、当該建物に関連する資産の譲渡等が別にあったとしても、当該建物の全部又は一部を住宅の貸付け以外の貸付けの用に供しない限り、当該規定は適用されないのであるから留意する。(令2課消2-9により追加)

<執筆者紹介>
加藤 久也(かとう・ひさや)

税理士/名城大学大学院非常勤講師(消費税法担当)
1991年、富山大学理学部卒。1991年~1995年、株式会社日立製作所に勤務。1998年、税理士試験合格。2000年、税理士登録。2002年、愛知県春日井市に加藤久也税理士事務所開業。税理士業のほか、1998年~2019年に名古屋大原学園、2016年より名城大学、2019年より愛知淑徳大学にて非常勤講師を務める。2017年より東海税理士会税務研究所研究員、2021年より同研究所副所長に就任。2019年より日本税法学会所属。著書に『ワークフロー式消費税[軽減税率]申告書作成の実務』(共著、日本法令)がある。

バックナンバー
第1回:課税対象①
第2回:課税対象②
第3回:課税対象③
第4回:課税対象④
第5回:課税対象⑤
第6回:課税対象⑥
第7回:課税対象⑦
第8回:課税対象⑧
第9回:非課税対象①
第10回:非課税対象②
第11回:非課税対象③
第12回:非課税対象④
第13回:非課税対象⑤
第14回:非課税対象⑥
第15回:非課税対象⑦
第16回:非課税対象⑧
第17回:仕入税額控除①
第18回:仕入税額控除②
第19回:仕入税額控除③
第20回:仕入税額控除④
第21回:仕入税額控除⑤
第22回:仕入税額控除⑥


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