つぶ問3-1(財務諸表論)―リース


【解答】
(問1)ファイナンス・リース取引とは,リース契約に基づくリース期間の中途において,当該契約を解除することができないリース取引またはこれに準ずるリース取引で,借手が,当該契約に基づき使用するリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ,かつ,当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう。(169字)

(問2)ファイナンス・リース取引の借手は,リース物件を割賦で購入したのと同様の経済的実態にある。リース取引の法的形式ではなく,その経済的実態を借手の財務諸表に適切に反映する観点からすれば,リース物件をリース資産として計上するとともにリース料の支払い義務をリース債務として計上する,売買処理を行う必要がある。(149字)

【解説】
(問1)解答はファイナンス・リース取引の定義そのものですが,これを丸々覚えるのは大変ですので,解約不能とフルペイアウトという2要件から構成された定義である,と整理して,定義を分割して覚えていくとよいでしょう。

(問2)ファイナンス・リース取引の「経済的実態」をきちんと説明できるかがポイントです。今日の会計基準では,取引の経済的実態を財務諸表に適切に反映するという観点から会計処理規定が設けられています。

このような考え方は,実質優先主義と呼ばれ,国際的な会計基準などでも“Substance over Form”(実質は形式に優先する)という姿勢として採用されています。他の会計基準の規定でも同じような考え方が各所で見られますので,普段の学習からチェックしておくとよいでしょう。

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。

【つぶ問】一覧
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つぶ問1-2(財務諸表論)
つぶ問1-3(財務諸表論)-概念フレームワーク
つぶ問1-4(財務諸表論)-企業会計原則
つぶ問2-1(財務諸表論)-棚卸資産の評価
つぶ問2-2(財務諸表論)―棚卸資産の評価
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つぶ問6-4(財務諸表論)―純資産(各項目、自己株式、新株予約権)、包括利益
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つぶ問7-4(財務諸表論)―外貨、デリバティブ、ヘッジ、税金、税効果
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つぶ問8-2(財務諸表論)―特商、工事収益、新収益認識
つぶ問8-3(財務諸表論)―特商、工事収益、新収益認識
つぶ問8-4(財務諸表論)―特商、工事収益、新収益認識
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つぶ問10-1(財務諸表論)―連結、のれん
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つぶ問10-4(財務諸表論)―連結、のれん
つぶ問11-1(財務諸表論)―企業結合、事業分離
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つぶ問11-3(財務諸表論)―企業結合、事業分離
つぶ問11-4(財務諸表論)―企業結合、事業分離


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