【連載】やさしくわかるGAM(Group Accounting Manual)~第4回(最終回):GAM作成後の未来


角元兼太郎(BEYOND BOUNDARIES 角元公認会計士事務所代表・公認会計士)

はじめに

この連載は連結財務諸表作成の際にあると非常に便利な「Group Accounting Manual(GAM)」についての記事です。

これまでの記事でGAMとは何か、作成の意義、監査との関連、作成方法などを説明してきました。

今回で最終章、GAMを作った後の話です。バウンダリー先生はビヨンドさんに何を語るのでしょうか。

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GAMを作った後の未来の話

ビヨ:えっ、GAMを作ったら終わりではないのですか?

(チッ、まだやることあるのかよ)

バウ:GAMを作成するという点では終わりだよ。

社内での周知徹底

バウ:でもGAMを作成しても、実際に使ってもらえないと意味がないからね。
GAMをグループ会社全体のポータルサイトなどに格納して、子会社がいつでも確認できるようにする必要がある。

そして、新しい経理担当者が採用された際には必ず確認するように伝えないといけないね。
それでもなかなか見てくれないことも予想される。

ビヨンドさんの会社でも、毎期末、決算スケジュールなどを記載したメールを全グループ会社に通知するだろう?
その際にGAMを添付して、GAMに基づいて連結パッケージを作成するようにアナウンスするのだ!

ビヨ:周知徹底ですね!

子会社監査法人への配布

バウ:そして、監査法人の監査がある子会社には、彼らにも毎期、配布した方がよい。

彼らにとって連結パッケージが何の基準に準拠して適正なのかが大事だからね。

監査は会社の内部統制ではないが、監査人にも配布することで、より連結パッケージがGAMに従って作成されることが担保されそうだろう?

ビヨ:親会社、子会社監査人、両方から攻めるのですね。

(言うことなかなか聞いてくれない子会社もあるからなぁ…)

GAMの更新

バウ:次に更新の話だね。

日本基準自体も変わる場合もあるし、会社のビジネスも常に変化する。

それに応じてGAMも更新しないといけない。

ビヨ:連結パッケージに新しい勘定科目を使い始めたり、勘定科目の使い方も変わったりしますものね。

バウ:そう!だから1年に1回は更新しよう。

GAMの初めに更新箇所を記載している章を設けたり、更新箇所を黄色にハイライトしたりしておくとよい。単純だけれど効果的だよ。

グループ経営の高度化にGAMは輝く

バウ:ところで話は変わるが、ビヨンドさんの会社では、グループ全体で同じ会計システムを導入する話は出ていないかい?

ビヨ:あぁ、「現在のように各グループ、別々の会計システムを使っていると、現在の数値を把握したいと思ってもすぐにわからない。せめて重要な会社には共通の会計システムを入れてネットワーク化して、親会社からでも、直接子会社の数値を適時に取りたい」とか、社長とCFOが言っていた気がします。

バウ:そのようなとき、会計基準や会計方針の違いは阻害要因になる。

正確な数値を知りたいと思っても、会計方針が統一されていないと正確な数値とは言い難い、正確な数値を把握するために親会社経理がいちいち、会計方針の違いを調整する必要があるのなら、適時にとはいかない。

ビヨ:(うわっ、面倒臭い!)

そこでGAMの出番ですか。

各子会社が日頃からGAMに従って帳簿を作成していたら、適時にグループの会計基準に従った数値を見ることができますね。

バウ:そうだね。

さきほども話したが、子会社は税務目的等でその国の会計基準に従った帳簿も作成しないといけない。

だからGAM基準で作成した親会社の連結決算目的の帳簿と、その国の会計基準で作成したローカル向けの会計帳簿、2つの帳簿を持たなければならない。

会計システムの中には、仕訳を①現地基準の帳簿にのみ反映する、②連結用の帳簿のみに反映する、③両者の帳簿に反映するの3種類に区分して入力できる機能があったりするのだ。

ビヨ:へぇ、便利な機能ですね、これなら、2つの帳簿が適時に作成されますね。

グループ経営を高度化しようとして、新しい共通のシステムを導入しても、GAMがないとその真価は発揮できないのか。

GAMとシステムの導入をいっぺんに行うのはつらいなぁ。

バウ:そうだね、グループ経営の高度化にはGAMが前提となるし、GAM作成は早めに手を付けた方がいいね。

ビヨ:はい、頑張ります!

先生ありがとうございました。

~Fin~

ビヨンドさんのGAMに対するモチベーションも最高になり、これでこの連載は終わりです。

まだまだ日本企業のごく一部でしか作成されていないGAMですが、この連載を読んでくださった方は少し馴染みが出てきたのではないでしょうか。皆様がお勤めする会社でも、GAMが必要となり、自社で作成したり、外部に委託して作成したりする場合も出てくるでしょう。その際にこの連載が参考となり、少しでもお役に立てば幸いです。

【著者プロフィール】
角元 兼太郎(かくもと・けんたろう)


BEYOND BOUNDARIES 角元公認会計士事務所代表
公認会計士

理系大学院修了後、有限責任 あずさ監査法人の国際部、事業会社経理管理職、独系法律特許事務所グループの監査部門パートナーを経て独立。「被監査会社の不満を解消する監査」を掲げ、外資系日本法人を中心に監査対応や決算支援を行う。親会社監査人を問わない子会社監査や、グループ・アカウンティング・マニュアル作成など、実務に即した希少性の高いサービスを展開している。


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