村上翔一(敬愛大学准教授)
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問題
引当金の例として退職給付引当金がある。退職給付とは、一定の期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後に従業員に支給される給付をいい、一括支給の( ア )及び分割支給の( イ )等がその典型である。この退職給付は基本的に労働協約等に基づいて従業員が提供した労働の対価として支払われる賃金の( ウ )であると解釈し、勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生すると捉える。この場合、( エ )を採用している企業においては、一定の掛金のみを外部に積み立て、追加的な拠出義務を負わないため、掛金を費用処理するのみで足りるが、( オ )を採用している場合、退職時に従業員に支給する金額が定まっているため、退職時に支給する額をもとに当期計上額を計算する。( オ )の退職給付は、その発生が( カ )以前の事象に起因する将来の特定の費用的支出であり、その支出の原因又は効果の期間帰属に基づいて費用として認識することになる。期末の退職給付引当金の金額は、積立・運用に過不足がなければ、( キ )から( ク )を控除した金額となる。
解答・解説
ア 退職一時金
イ 退職年金
ウ 後払い
エ 確定拠出制度
オ 確定給付制度
カ 当期
キ 退職給付債務
ク 年金資産
退職給付に係る会計基準の設定に関する意見書、三・2
退職給付に関する会計基準(企業会計基準第26号)、pars.3-5、13、31
退職給付に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第25号)、par.4
退職給付は勤務期間を通じた労働の提供に伴って発生すると考えられることから、当期の費用として処理される。また、当該退職給付に対する支払いは後日となることから賃金の後払いと捉えている。
◎復習しましょう!(バックナンバー)
第1回 棚卸資産①
第2回 棚卸資産②
第3回 棚卸資産③
第4回 棚卸資産④
第5回 棚卸資産⑤
第6回 有価証券①
第7回 有価証券②
第8回 有価証券③
第9回 有価証券④
第10回 有価証券⑤
第11回 有形固定資産①
第12回 有形固定資産②
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第15回 有形固定資産⑤
第16回 有形固定資産⑥
第17回 リース①
第18回 リース②
第19回 リース③
第20回 リース④
第21回 引当金①
第22回 引当金②
第23回 引当金③
【執筆者紹介】
村上 翔一(むらかみ しょういち)
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程修了(博士(経営学))。明治大学専門職大学院会計専門職研究科教育補助講師、敬愛大学専任講師を経て現在敬愛大学経済学部准教授。
<主な論文>
「保有者における電子マネーの会計処理」『簿記研究』(日本簿記学会)第2巻第1号、2019年(日本簿記学会奨励賞)
「ICOに関する会計処理」『敬愛大学研究論集』第98号、2020年
「ブロックチェーン技術の進展と簿記」『AI時代に複式簿記は終焉するか』(岩崎勇編著)、税務経理協会、2021年
「コンセンサス・アルゴリズムの観点に基づく暗号資産の会計処理―マイニング、ステーキング、ハーベスティングの理解を通じて―」『敬愛大学研究論集』第100号、2021年 他
*本連載は、「会計人コース」2019年11月号「特集:勉強したくなる「習慣化」のススメ 7日間理論ドリル」を大幅に加筆修正したものです。