◆ 短答式試験が1回のみの実施になる影響
公認会計士・監査審査会によれば,「令和3年公認会計士試験においては、短答式試験が1回となることから、その運用に当たっては、論文式試験の受験者数を例年並に確保する観点から、短答式試験の合格基準については、より弾力的に運用することとします。」と示されています。
これは,例年の合格基準を下回る基準に基づき,合格者の増加することもあり得る,とも解釈することもできますので,受験生の中には恩恵を受けることができる可能性があります。
特に受験生の中でも,短答式試験科目が3科目免除となる会計大学院修了者において,かなり有利な条件になることが予想されますので,このチャンスを最大限に生かしてほしいと思います。
また,短答式試験が1回のみの実施により,試験委員の先生方に作問する余裕ができることから,個人的には良問が多く出題されることを期待しています。
◆ おわりに
新型コロナウイルス感染拡大の影響により,公認会計士試験の実施についても多大なる影響を受けることになりますが,デメリットもある反面,メリットも享受できるチャンスも多くあると思います。
この先,試験が予定どおり実施できるかどうか,予断を許さない状況が続くものと思われますが,受験生にとって大事なことは,「いま,何をすべきか」をしっかりと考えて,日々の努力の積み重ねることです。
試験日程などが変わったとしても,出題される試験問題に対して,普段の実力をしっかりと発揮できれば必ず合格することができますので,ピンチをチャンスに変える気持ちで,頑張っていきましょう。
<著者紹介>
加藤 大吾(かとう・だいご)
公認会計士、明治大学専門職大学院会計専門職研究科 教育補助講師、早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年~2020年3月まで早稲田大学大学院会計研究科専任講師。2020年4月より現職。
著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。
◎本会計人コースWEBで2-3月に加藤先生に連載いただいた『毎日簿記10分ドリル』を8月の短答式試験に向けてぜひご活用ください!
新連載『毎日簿記10分ドリル』-ねらいと活用法
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