【クイズでわかる消費税法のキホン】第31回:簡易課税における事業区分⑦


加藤久也
(税理士/名城大学大学院非常勤講師)

条文や通達、Q&Aなどから受験勉強で役に立ちそうな論点をピックアップ。クイズ形式で手軽に消費税法のキホンを学ぶ連載です。なお、特に断りのない場合には、取引は国内において行われたものとして解答してください。

問 題

当社は、宿泊業を営んでいます。次に掲げる資産の譲渡等について簡易課税における事業区分は第何種事業に区分されますか。

(1)宿泊料金(食事代金を含む)を対価とする役務の提供

(2)売店における仕入れ商品の販売

(3)宿泊者以外も利用できるレストランにおける食事の提供(宿泊者が利用した場合においても、宿泊料とは明確に区別して領収している。)

(4)(3)のレストランにおける持ち帰り料理(このレストランにおいて調理したもの)の販売

解答

(1)第5種事業

(2)第2種事業

(3)第4種事業

(4)第3種事業

解 説

旅館等における飲食物の提供(消費税法基本通達13-2-8の2)

令第57条第5項第4号ハ《第五種事業の種類》の規定により、サービス業から除くこととされている「飲食店業に該当するもの」とは、例えば、旅館、ホテル等の宿泊施設を経営する事業者が、宿泊者に対して宿泊に係る役務の提供に併せて当該宿泊施設において飲食物の提供を行う場合又は宿泊者以外の者でも利用することができる当該宿泊施設内の宴会場、レストラン、バー等において飲食物の提供を行う場合において、請求書、領収書等により当該飲食物の提供に係る対価の額を宿泊に係る役務の提供に係る対価の額と明確に区分して領収することとしているときの当該飲食物の提供が該当する。
なお、食堂、レストラン、喫茶店、そば店、バー、キャバレー、酒場等(以下13-2-8の2において「食堂等」という。)のように、飲食のための設備を設けて、主として客の注文に応じその場所で飲食させる事業(以下13-2-8の2において「食堂等としての事業」という。)は、日本標準産業分類の大分類の区分も飲食サービス業とされており、同号ハの規定の適用を待つまでもなく、第四種事業に該当する。 (平10課消2-9により追加、平20課消1-8により改正) 

(注)

1 食堂等が行う飲食物(店舗において顧客に提供するものと同種の調理済みのものに限る。)の出前は食堂等としての事業であり、第四種事業に該当するが、食堂等が自己の製造した飲食物を持ち帰り用として販売する事業は、製造小売業として第三種事業に該当するのであるから留意する。

2 飲食のための設備を設けずに、自己の製造した飲食物を専ら宅配の方法により販売する事業は、製造小売業として第三種事業に該当することとなる。

<執筆者紹介>
加藤 久也(かとう・ひさや)

税理士/名城大学大学院非常勤講師(消費税法担当)
1991年、富山大学理学部卒。1991年~1995年、株式会社日立製作所に勤務。1998年、税理士試験合格。2000年、税理士登録。2002年、愛知県春日井市に加藤久也税理士事務所開業。税理士業のほか、1998年~2019年に名古屋大原学園、2016年より名城大学、2019年より愛知淑徳大学にて非常勤講師を務める。2017年より東海税理士会税務研究所研究員、2021年より同研究所副所長に就任。2019年より日本税法学会所属。著書に『ワークフロー式消費税[軽減税率]申告書作成の実務』(共著、日本法令)がある。

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第2回:課税対象②
第3回:課税対象③
第4回:課税対象④
第5回:課税対象⑤
第6回:課税対象⑥
第7回:課税対象⑦
第8回:課税対象⑧
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