井上 修
(福岡大学講師・公認会計士)
令和2年の公認会計士論文式試験ももう間もなく始まりますね。そこで緊急特別企画ということで、今回は解答にあたっての基本方針をお話しします。
CONTENTS
1 理論と計算の時間配分は?
2 理論と計算、どちらから解く?
3 理論に下書きって必要?
4 白紙答案をなくすコツは?
5 見直しは必要?
+α 2日間を走りぬくために
1 理論と計算の時間配分は?
まず下準備として、あらかじめ「本物」の答案用紙を見ておいてください。令和元年の財務会計論(会計学[午後])は少しイレギュラーな問題が多かったので、過去の平均的な傾向を反映した平成30年の答案用紙がよいサンプルとなります。
答案用紙を見れば、「理論の箇所(文章で解答する部分)」が非常に多いと感じるはずです。近年の平均では、「計算4割・理論6割」です。だいたいでいいので、過去問を見て「理論の例年の分量」を知っておいてください。一見すると無駄に思える作業かもしれませんが、公認会計士試験は一発勝負。「作戦」や「戦略」を立てることが、皆さんの合格点を1点でも押し上げてくれます!
試験当日は、開始の合図とともに問題全体を見て、計算と理論の割合を確認します。そして、答案用紙も見て、①理論が例年と同じくらいの分量か、②イレギュラーな解答形式がないかを確認してください。イレギュラーな解答形式というのは、「見慣れていない」とか「解答欄がマス目になっていて文字数制限がある」などです。とにかく経験していない解答形式があるかどうかを一瞬で判断しましょう(もし発見したら、できれば「ワクワク」してください。このおまじないはよく効きます!)。
ここから理論と計算の時間配分が決まります。もし理論と計算の割合が例年どおりで、イレギュラーな解答形式もない場合、「暫定的なリスク評価」としての時間配分は、ザックリいうと「理論1時間・計算2時間」です。
財務会計論は3時間の試験ですが、いつもどおりの割合と形式ならば、「理論1.5時間・計算1.5時間」とするのは危険です。もちろん人によりけりなので、皆さんが普段から決めている時間配分があれば、それも参考にしてください。