2 理論と計算、どちらから解く?
原則は「理論から」です。そうじゃない人もいるのはわかっていますが、セオリーとしては「理論から」解答します。理由は以下の3つです。
① 論点がはっきりしている
理論は、問題を一瞬見ただけで「典型論点」かどうかわかります。そして、典型論点はほぼ間違いなく出題されます。むしろ探しに行くくらいの姿勢で。
② すぐに解答できる
点を取るために絶対に重視しなければならないのは「正答までの消費時間」です。理論は、すぐにわかる問題なら数秒数分で解答できます。理論に対して計算は、「転記するだけ問題」もなくはないですが、だとしても膨大な資料の読み込み、計算、下書きなどに多くの時間を費やします。
公認会計士論文式試験は、制限時間内に誰より遠くまで走れるかを競うレースです。5分で10m進める問題と30分で40m進める問題があれば、まずは前者から取り組まなければなりません。この取捨選択の積み重ねがレースに差をつけます。
仮に何らかの事態で時間がかかって制限時間になり、自分の進んだ距離が10mだとしても、他の受験生がそれ以下の距離ならば合格となります(これが「相対試験」です)。潜在的に実力があるとか、難しい問題に挑戦したとか、そのようなものはまったく評価されません。
③ 後回しにしても容易に戻ってこれる
理論は解いている途中で後回しにしても簡単に戻ってこれますが、計算は一度解きはじめたら最後までやり遂げないと効率が悪いです。途中で止めて戻ってきても再開が困難で、結局最初からやり直すことになります。
これらの理由から、まずは理論を解くようにしてください。なかでも典型論点、準備していた論点、ヤマが当たった論点と、とにかくすぐに解答が浮かぶ論点から手を出していくといいです。
具体的には、解答可能な論点(40~50分)→計算(100~120分)→解答が思いつかない論点(20分)が目安です。前後の理論は場合と人により変わってきますが、計算は一定程度まとまった時間は確保する必要があります。「途中放棄してあとからやる」が想定されないからです。
最後に解く理論は難易度が高いので、「他の人と差がつきにくい論点*」です。リターンの少ない箇所に多くの時間を割くのはゲームの勝ち方を知らない人です。何度も言いますが、公認会計士試験は一発勝負なので「ゲーム」的な要素が強いです。こういう発想に抵抗がある人もいるかもしれませんが、「勝たないと意味がない勝負」なので、少しでも勝利に近づけるようにしましょう!
* 計算も同じです。解けない箇所には時間を使わないように気をつけてください。