【税理士受験生ボザイさんに聞く!】はじめての税法科目〈消費税法〉はどう勉強した?


8月18日~20日、令和3年度(第71回)税理士試験が実施されました。受験された皆さま、おつかれさまでした。

ここでは、2020年に簿記論・財務諸表論に働きながら独学で合格されたボザイさん(@bozai888)が、「はじめての税法科目」として消費税法を受験されたとのことで、その感想や学習法についてインタビューさせていただきました。

消費税法を受験した方はもちろん、これから受験を考えている方も必見の内容です。

いざ消費税法を受験してみて

――実際に消費税法を受験してみて、手ごたえはどうですか?

ボザイさん 僕の感触としては、思ったより解くことができたので、あまり差がつかないように感じています。そうは言っても、「本当に大丈夫かな」という気持ちもあります。特に計算が、見た瞬間は「ボリュームがそれほど多くないのかな」と思ったのですが、いざ解いてみると、かなり処理に時間がかかる問題でした。というのも、ページを行ったり来たりしなければいけないような問題で。ある問題文のなかに別の問題文を示す記号が出てくるので、「あれ、この記号って何だっけ?」と確認する作業に時間をとられました。はじめて解くというほどではなかったのですが、あそこまで多い問題は、やり慣れていませんでした。解きながら、「これはまずいぞ!」と感じていましたね。

――計算が大変だったのですね。ボザイさんは、解く順番はどうしていましたか?

ボザイさん 僕は「理論→計算→理論」の順番です。まずは暗記さえしていればわかる理論を書き、考えないと書けないような理論は後回しにすると決めていました。

――理論は2回に分けるのですね。

ボザイさん そうですね。ただ、今回の理論は、覚えてさえいれば書ける問題がほとんどだったので、少し戦略を変更しました。まずは、覚えている理論のなかでも絶対に書かなければいけない軸の部分だけを書き、その後、計算に移りました。もともと計算にかけるのは「70分」と決めていたので、70分が経ったら切り上げました。そして、残った時間で残りの理論をバーッと解きました。

――計算を当初の「70分」で切り上げられたのはよかったですね。

ボザイさん 時間管理だけはしっかりできたかなと思っています。直前期の答練や模試も、そのスタイルだけは必ず守って、時間を意識しながら解くようにしていました。そのため、本番でも練習通りの順番と時間で解くことができたのだと思います。

オンライン仲間と乗り切った受験勉強

――消費税法はどのように勉強されていましたか?

ボザイさん TACの「独学道場」というコースを利用し、家で勉強していました。基本的なテキスト3冊とWEB講義がセットになっているものです。それ以外には、TACの市販の『総合問題集』を基礎編と応用編のどちらも購入しました。資格の大原の『総合問題集』の応用編も買ったので、わりと教材は揃えたほうかもしれません。「独学道場」のテキストを入れると6冊ですね。ほかにも、「独学道場」にはTACの直前対策コースをつけられるので、それも利用しました。あとは、困ったときには『消費税法講義録』を読んでいました。700ページ近くあるので、全ページをスキャンしてiPadに取り込み、勉強していてわからない言葉があれば、検索をかけて調べていました。

◆熊王 征秀著、中央経済社

――基本的には、専門学校の教材を使いながら勉強されていたのですね。実際に、講師の方に質問できる機会はあったのでしょうか?

ボザイさん 直前対策コースでは、メールや電話で質問を受け付けていました。ただ、僕はほとんど使わなかったです。

――ご自宅でほぼ「独学」に近い状態で勉強されていたと思うのですが、情報を追うことは大変ではなかったですか?

ボザイさん そこまで苦労しませんでした。というのも、僕はTwitterでできた受験仲間と「朝勉部」というコミュニティを作っていて。朝に勉強する人たちを集めた10人くらいのLINEグループがあるんです。そのなかに消費税法を受験する人が僕を含めて4人いたので、直前期には「朝勉部」で情報交換をしていました。

――オンラインの勉強仲間! なんだか「今ならでは」ですね。

ボザイさん そうですね。しかも、その「朝勉部」では“オンライン答練会”をしていました。手元をスマートフォンで動画撮影し、周りが解いている音を聞きながら解くというものです。家にいながらにして試験の雰囲気を感じることができました。今思うと、とてもいいグループで活動できたと思います。

――本当にいいグループですね。朝早く起きていたと思うのですが、1日どれくらい勉強されていたのでしょうか?

ボザイさん 平日、残業がないときは1日6時間、残業があるときは朝だけです。下手をしたら1~2時間だけしか勉強できない時期もありました。休日は12~14時間くらい勉強していました。

消費税法も「ヨコのつながり」が大事

――今回の消費税法が「はじめての税法科目」となったとのことですが、学習してみて「会計科目と違うな」と思うことはありましたか?

ボザイさん 僕は特になかったです。消費税法のときは専門学校のWEB講義も見ていましたが、基本的な学習スタイルは簿記論・財務諸表論のときからあまり変えていません。やることは、財務諸表論も暗記して、消費税法も暗記して、と変わらないように思います。試験でも、覚えた知識を使って解くのは共通しています。そのため、「税法科目だから」といったことは、そこまで感じませんでした。

――財務諸表論では「体系図」を作られていましたが、消費税法でも作られましたか?

ボザイさん いや、消費税法では人に見せられるようなものは作っていないです(笑)。けれども、時間さえあれば作りたかったです。というのも、勉強を進めるうちに、「消費税法ってヨコのつながりが大事なんだな」と思うようになりました。勉強しているからこそ気づいたことですが、作ろうと思ったときには、もう“時すでに遅し”でしたね。

ボザイさん財表理論体系図
◆ボザイさんがiPadで作成した財務諸表論の理論体系図

――消費税法も「ヨコのつながり」を意識することが大事なのですね。

ボザイさん そうですね。ただ、どちらかというと財務諸表論のほうが難しいと思っています。消費税法は点と点のつながりが見えやすいのですが、財務諸表論はどこかふわっとしているというか。「法」ではなく「論」で、いわば「考え方」なんですよね。勉強していて、「何を言っているんだ?」と思うような場面は、財務諸表論のほうが多くありました。たとえば、「市場の平均的な期待」の「期待」ってどういうこと? みたいな。日常であまり使わないじゃないですか、そんな言葉(笑)。なので、僕は財務諸表論のほうが苦労しましたね。

――そういう意味では、消費税法は身近な税目ですし、勉強しやすかったのでしょうか?

ボザイさん おそらく消費税法も突き詰めれば難しいと思います。ただ、僕にとっては、財務諸表論の場合は「理解」から大変だったのですが、消費税法は点と点をつなぐ線が見えやすいので、比較的やりやすかったです。理論を頭から抜けないように持っていけたら、消費税法はかなり合格に近づけるのかなと感じました。

理論暗記のカギは「絵」と「色」

――そうは言いつつ、「理論暗記」は受験生にとって悩みのタネです。ボザイさんは、記憶力には自信があったのでしょうか?

ボザイさん 自信をもって言います、ないです! 実は、学生時代から格闘技をやっていて、かなり頭を打っているんです。人より脳にダメージを受けているので、あまり自分の記憶力には期待せず勉強しています(笑)。僕の場合、基本的に理論を暗記するときは、「絵」や「映像」で考えていますね。それこそ、財務諸表論の「体系図」のようなものです。記憶力に自信はありませんが、これが僕に合ったやり方だと思っています。

――他にも、理論暗記の際に工夫していることはありますか?

ボザイさん 「色」も意識するようにしています。たとえば、青いマーカーを引いた部分。これは、他の条文でも登場する言い回しです。つまり、すでに覚えているはずの部分です。一度やったところに色を塗ることで、「覚える範囲が少ないな」と自分に思わせていました。

また、消費税法とは違う「施行令」といわれる部分は四角で囲んでいました。試験だと「施行令は除く」などという指示がされる場合もあるので、普段の学習から消費税法と施行令の区別が視覚的にわかるように工夫していました。

次の税法科目は・・・

――消費税法を選んでよかったと思うことはありますか?

ボザイさん 実務に活きることです。いま働いている税理士事務所には未経験で入っているのですが、消費税法を勉強しはじめたら、所長も一目置いてくれたというか。そういう意味では、未経験でも勉強をしっかり頑張って、税法科目の受験ができるまでになってよかったと感じています。

――次はどの税法科目を受験されるのでしょうか?

ボザイさん 法人税法です。実は、つい最近まで所得税法を受験しようと思っていて、消費税法の受験が終わった後から勉強も始めていたのですが、やはり法人税法を受験しようと決めました。というのも、税理士事務所に入って以来、法人の申告実務に携わっているのですが、勉強していないので「なぜそうなるのかわからない」という場面が多くあったからです。根拠や背景を理解していないと「なんとなく」でしか仕事ができないので、それはよくないと感じ、法人税法を受験することにしました。

また、先ほどお話しした「朝勉部」の存在も決めての1つです。メンバーと話し合った結果、「みんなで法人税法を受験しよう」となり、僕も「消費税法を一緒に乗り越えた仲間たちとまた頑張りたい」と思いました。もともと法人税に苦手意識があって「勉強しないと」と思っていて、以前にも受験しようと考えたことがあったので、結果としては法人税法に落ち着いてよかったです。

――ここでも受験仲間の存在が活きたのですね! 最後まで頑張ってください! これからも応援しています。


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