ライフプランナー/会計士・菊池諒介、事務所経営者の素顔に迫る File2:ユニヴィスグループ代表・森 陽平氏(前編)


【編集部より】
税理士法人や会計事務所はたくさんありますが、いざ自分の就職先として選ぶ場合、どういう点に特徴があるのか見出しにくいこともあるかもしれません。そこで、本企画では日頃からライフプランナーとして、さまざまな会計事務所等と関わりを持つ菊池諒介先生(公認会計士/写真左)が、いま注目の法人・事務所経営者の素顔に迫ります。
File2は東京・福岡・ニューヨークに展開するユニヴィスグループ代表・森 陽平先生(公認会計士・税理士/写真右)との対談。今回の記事では、事務所を創業したきっかけから組織化するに至るまでについて伺います。

監査法人、ベンチャーCFOを経て独立を決意

菊池 税理士受験生や若手会計士の方は就職先・転職先として会計事務所が選択肢にあがりますが、ホームページやネットの情報だけではなかなか事務所の特徴や違い、良さが伝わりにくい面があるのではないかと思っています。

そこで、本企画では会計事務所経営者の方にフォーカスして、日々どんなことを考えて事務所経営しているのか、人材育成についてどう考えていらっしゃるかなどのお話を伺いたいと思います。

第2回目のゲストは、ユニヴィスグループ代表の森さんです。森さんにはユニヴィス創業当時から大変お世話になっているので、本日は対談させていただけるのを楽しみにしていました。
森さんは普段、こういうメディアにあまり出られない方なので、今回は森さんやユニヴィスさんの魅力をたくさん語っていただきたいと思います。
早速ですが、まずは簡単なキャリアヒストリーを教えて頂けますか。

 はい、公認会計士試験に合格後、あずさ監査法人の金融事業部に所属しました。当時、金融事業部は大手銀行、大手証券、大手保険会社、その他という4つのグループに分かれていて、そのうちの「その他」のグループに入ったんですけど、このクライアントは地銀や小規模の保険会社、地場の証券会社から不動産系で、僕自身は「将来的に独立したい」と思っていたこともあって希望しました。

入所1年目なら、メインクライアントはおそらく3社程を担当するケースが多いですが、僕のいたグループでは6社程にアサインされました。それがなぜかというと、たとえば不動産のリート(REIT)は半期決算で5月・11月決算や2月・8月決算が多く、主要な決算時期に重ならないので、一気にアサインできてしまうからです。他には信用金庫も担当していましたけれども、信金は決算発表が遅いこともあり、1年中ずっと監査をしているような状態で結構忙しかったですね。

菊池 監査法人の入所は何年でしたでしょうか。

 2008年入所で、すぐリーマンショックが起きました。そのため、2009~10年は転職しようにもできず、2011年には修了考査があるので辞めず、その後シニアに昇進して「インチャージ(主査)しましょうか」と、あっという間に時間が過ぎていきました。周りにいる人たちも面白く、「もう少しここで経験を積もう」と思っていました。
インチャージも1年経験し、「そろそろ外に出たいな」と思い始めた頃、同期がベンチャーに転職して楽しそうだったことと、「事業会社でIPO準備をしてみたい」という考えがあったのでベンチャー企業に転職しました。

菊池 転職したベンチャーではどんなことをされていたのでしょうか?

 そこでは、IPO(新規株式公開)の準備を全般的に行っていて、主幹事証券・監査法人の対応や経理・総務・労務・法務を統括していました。管理部員が僕を含めて2人だったので、それは相当な激務でした(笑)。

なぜ、会計士を目指そうと思ったのか?

菊池 ところで、森さんが会計士を目指そうと思ったきっかけは何でしょうか。僕もたくさんの会計士の方々とお会いしてきましたが、正直なところあまり会計士を目指すタイプではなさそうな印象なのですが。

 小学校からの友人が、大学受験の頃に「将来、会計士になる」って言っていたんですよね。結局、その友人は目指さなかったですけれど、その時に「会計士っていう資格があるのか」と知りました。少し詳しく聞くと、会計の専門家で、いろんな働き方をしている人がいて、将来は独立もできて、税理士資格も取れるんだよ、と教えてくれたんです。

大学に進学して、ちょうど1年生の春頃に、大学OBの会計士が教える簿記講座があったので、ちょっと意識高く申し込んでみたんですよね。
その時、体育会系のサッカー部にも入っていたので、その講座が終わった時に、そのOBの方に「会計士っていつ頃から目指せばいいですか?」って聞いたら、そのOBの方は大学在学中に合格した人で、「今思うと、いつ受かっても監査法人とかには入れるから、それよりも自分は大学時代の思い出がないから学生生活を満喫したほうがいいよ」ってアドバイスをしてくださったんです。

それを聞いて、「そうなんだ」と僕は思って、大学1〜2年生の間は週6日でサッカー部の活動、バイトは3つ掛け持ちと忙しくしていたんです。そうしたら、ちょっと思い出を作りすぎちゃって、2年生の時に単位が少なくて…。「これはさすがにマズイ。本当に会計士を受けなきゃいけないやつだ!」と思って、バイトして貯めたお金で、専門学校の受講料70万円くらいを現金一括払いしてすぐに申し込んだんですよ。

菊池 予備校代も自分で稼いでたなんて、めっちゃ親孝行な受験生じゃないですか!

 いえいえ、そう聞こえるかもしれませんが、僕自身としては「留年するかも…」なんてことを親に言えないから、「俺、会計士目指すわ! 受講料とかは本当に気にしないで、むしろほっといてくれ‼︎」みたいな勢いで宣言して、でも内心は「ちゃんと卒業できるかな…」とハラハラものだったんです。
だから、大学3年生の時は単位の取得とバイトに全力投球していました。正直、会計士試験の勉強より単位を取るほうがキツかったんですよ。

菊池 会計士受験より大学卒業のほうが大変だったなんて方なかなかいないですよ(笑)。

 冬休み・夏休み・春休みの長期休みには会計士試験の勉強に集中して、大学4年の前期頃までになんとか単位を取り終わりました。その後からはまた会計士試験の勉強にものすごく集中して、大学を卒業して半年で公認会計士試験に合格しました。

菊池 森さんって出会った時からバイタリティがすごいという印象が強いんですけど、その根源を今のエピソードで少し理解できた気がしますね(笑)。

監査法人で学んだこと

菊池 監査法人に入ってどれくらいで「独立をしよう」と思っていらっしゃったのですか。

 当時は論文式試験の合格発表前に監査法人の採用面接があったんですけど、僕自身は、その面接が始まる直前に「監査法人が何をするところか」を知ったような感じだったので、「すぐに辞めよう」というより、「いろいろなことを経験したい」と思っていました。
入所後、パートナーから何がやりたいかと聞かれたときに、特に何の情報もないので「銀行です」って答えたんですけれども、いろいろな経験が積めて結果的には良かったです。

菊池 監査法人でのご経験で、印象に残っていることはありますか。

 当時、「プロフェッショナルだろう」って言われることが多かったですね。逆に言えば、新人とはいえ手取り足取り教えられるというわけではあまりなかったですね。

今だったらパワハラって言われるのかもしれないですけど、シニアマネージャーから「君らの給料が高い理由は『監査六法』とか専門書や実務書を買うためだから、どんどん勉強しよう! プロフェッショナルなんだから」と言われることもありましたよ。
“一人前”として見られているからこそ、1年目の新人とパートナーが「これ、どう思う?」なんていう意見交換を普通にしていましたから、そのことは今も印象に残っていて、経験として活きています。徐々に任されるというよりも、「気づかされる状態」に自然と導かれていたなと思います。もしかしたら最初はキツイかもしれないですけれども、でもそのほうが絶対に成長は早いですし、自分で調べる力が身についたなと感じています。

菊池 手取り足取りだと、結局、「ちょっとミスしても、誰かがカバーしてくれるだろう」という意識にいつまで経ってもなりがちですからね。
そう言う意味では、最近はリモートワークが中心なので、上司・先輩やクライアントからの直接的な視線を感じにくい環境かもしれませんね。

 そうですね。クライアントからの視線も、先輩からのプレッシャーも感じづらいでしょうし。あとは、隣で見ていないと気づかないことも意外とたくさんあるんですよね。たとえば、Excelでどういうふうにデータ作りをしているか、「それって、どうやっているんですか?」というような会話は、リアルな環境では何気なく交わされますけれども、そういった体験はリモートワークだとどうしてもできないのは少しもったいないな、とは思います。
「何が無駄か」は自分だけでは気づかないことも結構ありますからね。なので、通勤時間が減ったというメリットよりも、そもそも「非効率な仕事のやり方をその後何年間も続けていくことのほうが、時間的に損なのではないか」というところはあるような気もします。

監査法人にいた当時を思い返すと、たとえばExcelがずば抜けて得意な先輩とかもいて、周りで噂になるんですよね。「その分野なら、あの人に聞くといいよ」という雑談が意外と大切で、同期の誰かがそういった情報を入手すれば「あの先輩すごいらしいよ!」と、すぐに同期内でナレッジシェアされていくんですよね。
「その分野の達人は私だ!」なんてわざわざ自己申告しないですからね。そういうことは後輩の誰かが広めますし、その情報を聞いた誰かが直接その先輩に聞きに行けば、聞かれた人も嬉しいですよね。
だから、決して手取り足取りではないんですが、聞けば絶対にいろいろと教えてくれるので、「能動的に情報を取りに行くこと」を心がけるといいと思いますよ。

菊池 そういった意味では、どんどん聞く人と、全然聞かないで黙々とやる人とでは、すごく差がつきそうですね。

 そうですね。それは今も僕自身が仕事をしていて、お客さんやその業界のことが全然わからなかったら、どんどんヒアリングしますし、そこに抵抗はありません。相手に低姿勢で聞ける姿勢はずっと持っておいたほうがいいと思います。

ベンチャー企業を経て独立を決意するまで

 監査法人の後、ベンチャーに転職されたということですが、どういった事業をされている会社だったのでしょうか。

 Googleマップの位置情報を使ってトラッキングデータを作るソフトウェアの受託開発をしている会社です。
例えば、箱根駅伝のようなテレビ中継される駅伝大会では、選手の後ろを走る自動車に、位置情報端末を埋め込んでいて、今、どのチームが何位かを追跡できるようになっているんですが、そのシステムを作っている会社で、他にも自社開発のアプリとかも作っていて、入社した当時はIPOを準備しようというフェーズでした。

菊池 転職の経緯もお聞きして良いですか。

 転職活動自体は、ベンチャーに強いエージェント、同期や知り合いの紹介で活動していました。当時、監査法人にいたので外の世界が全くわからなかったのですが、ただ、社長の喋りが上手で覇気があったのと、楽しそうだなと思って最終的にその会社に決めました。

菊池 ちなみに、ベンチャーには何年くらいいらっしゃったのですか。

 1年弱ですね。正直、きつかったですから…。

菊池 森さんのバイタリティをもってしてもきつかったとは相当ですね。

 結局、「IPOを目指さない」って結論づけるまでにそんなに時間がかからなかったっていうのもありました。資本政策表や監査方針など色々と作っていて、上場するだけだったらできたかもしれませんが、「その後、どう伸ばしていくか」、「その資金をどう使うか」などを考えたら、「資金調達する必要がない」という判断に総合的になりましたので。

菊池 そこから、独立するまでも早いですよね。専門学校時代の出会いも大きかったのではないでしょうか。

 1ヵ月くらいですね。共同創業者の渡邉は専門学校時代の友人で、ニューヨーク事務所の代表2人も同じ専門学校つながりです。僕がベンチャーを辞めると決めた時に、渡邉から「一緒にやろうよ」と話を持ってきてくれました。独立したばかりの時は先輩会計士の手伝いをしたり、一緒にオフィスを借りていた会社のお手伝いをしたり、それ以外にも税務やコンサルなど色々なことをやっていましたね。

菊池 そうすると、最初は会計士同士のネットワークから、お仕事を受注されていたということなのでしょうか。

 そうですね。その仕事で、自分たちの経験値を高めるのと生活資金を稼いで、その一方で、将来につながるような仕事は「起業したい」という人から、「とりあえずやってみる」というスタンスで、ほとんどお金ももらわずに税務や事業計画策定などをして、「そのうち全部を任されるようになる」という流れで始めました。

僕の持論として「同じことを大体3回くらいやればできるようになる」と思っています。だから、同じような案件でも3社分に取り組めばだいたいのケースに当たれて、「他のお客さんではこうで…」と事例としても話せるようになります。感覚値として同じ領域を3社分やれば8割程度はカバーできるような気がするので、独立当初はその経験を高速で積むようにしていました。

どのように顧客基盤を作り上げるか

菊池 最初の顧客基盤は地道に自らの足で稼いで作り上げていったんですね。

 そうですね。一般的の人たちには、「会計士って何をする人なのか」がよく知られていませんが、ある意味それがいいところでもあって、いろんな相談が集まってくるんですよね。だから、とりあえず相談に乗ること。
どう解決してくんだろうという好奇心もありますし、もちろんうまく行く時と行かない時もありますけれども、もしうまく行かなくても、仕事ではなくてお金をもらっていないので、「親身になって一緒に考えてあげた」で終われますし。人と接するところや悩みがあるところでないと、仕事にはつながりません。「どこが1番お金が動くところだろう」、「お金をもらいやすいのはどれなんだろうな」ということをずっと考えていました。

菊池 これから独立をする人たちの中には、「経営者の知り合いなんていないし」とか、「そんなに人脈もないし」といって、ブレーキをかけてしまう人もいると思うのですが、外に出てみて、いろんな人に会ってみれば、自ずと相談は来るという感覚でしょうか。

 相談は来ますよ! それをどう仕事にするかというのは、自分次第ですけれども。
たとえ若手の時に、経営者の知り合いや人脈があったとしても、提供できるほどのサービスはまだ何もないので、その経営者は何も仕事はくれないんですよね。なので、その人脈は別にあってもなくても変わりません。
僕も独立した時にいろんな人の紹介で、いろんな社長に会いましたが、結局は挨拶して終わりなんですよ。自分に経験やスキルなどが何もない時に会った人との出会いは、何も生まないで終わってしまうんですよね。
でも、今の僕なら「何か」ができるから、今、会えば違うと思います。だから、知り合いがいないということよりも、「何かできること」を考えるといいと思いますよ。

菊池 自分にすごいスキルがあって、「でも知り合いがいないから誰か紹介して」ならわかりますけど、逆になりがちなんですよね。僕もとにかく経営者に会いたいと思って動いていた自分の新人時代を思い出すと、ちょっと耳が痛いですが。ただ、それも自分で経験しないとわからないことですよね。
森さんって、「いや、ノリでいけるよ〜」みたいなことを仰いそうな雰囲気があるので、地道な努力をされてきたお話が聞けてよかったです(笑)。

 そのバランスが難しくて、「コツコツやる能力」が必要な一方で、「決断」はしなくてはなりません。だから、独立に向けて準備をしたとしても、その力が100%になる時って絶対になくて、最後は勘なんですよね。
会計士の人は、会計士試験をクリアしているわけですから「コツコツ」は絶対にできるはずです。でも、この最後に、「右脳で」とか、「勘でやる」というのができない人が多すぎるのかもしれません。

もし、独立した身近な先輩3~5人に経験を聞いたら、「自分はこれがまだ経験できていないから、まだ独立しないほうがいいな」って考えてしまう人が多いのではないでしょうか。そして、いざ独立する時には、似たようなサービスになってしまう可能性が高いですよね。むしろ、とりあえず色々チャレンジしてみるほうがいい気がします。

菊池 僕もプルデンシャルに転職した時、もちろん戦略的なことも考えましたが最後は直感で決めたところがありました。きっと当時、先輩会計士10人に相談したら全員が反対すると思いますね。

 きっとそうでしょうね。どれだけ論理的に考えても会計士資格の意味が薄れるから、その選択はナシってなりますよね。でも、結果、同じような競合が少ないというところで、アリですよね。だから、全く非論理的な選択なんですけど、きっと菊池くんの性格的に向いてたんだと思いますよ。

菊池 そうですね。ありがたいことに、今楽しくやらせてもらってるので。

 自分の性格に向いていることが一番ですよ。だから、先輩に「どういう性格の人がどんな業務をしていますか」と聞くほうが、参考になるかもしれませんね。結局、自分のスペックよりも、最後は「独立することが、自分のマインドやキャラクターにフィットするか」だと思います。

独立を考えている人の中には、「短距離」を走るつもりの人も多いです。確かに、「独立して2〜3年で立ち上がるにはどうするか」という面はありますが、一度独立したら、また会社勤めに戻るということはほとんどないことでしょう。この戦いは、想像の10倍以上長く続くんですよね。つまり、2〜3年ではなく「20〜30年」のスパンで考えることなんです。
正直、独立直後の1~3年は先輩から仕事を回してもらえることもあるでしょうし、おそらくきっと別に困らないので、それよりもその先の10年、20〜30年を考えたほうがいいんだと思いますよ。

菊池 森さんが「10年先も見えるくらいの基盤ができたな」という感覚を持てたのはいつ頃なのでしょうか。

 今も10年先のことは見ていて、将来、何をやっているかは全然わからないですけど、一度自分で試してみて、「これは何回でもやれるな」と思うことだけを選んでいますね。
でも、これは年齢によって変わるとも思っています。40代、50代になったら、「もう少しゆったり仕事がしたい」というようにきっとなるでしょうから、ある意味で、変化の1つだと見ればいいと思います。

3階層できた時に「組織化した」と感じた

菊池 創業当初、渡邉さんと2人から始まって、現在は70人規模まで大きく組織化されました。そこに至るまでのお話に関連して、初期の頃はどのようにスタッフ採用をされていたのでしょうか。

 採用は、ハローワークや菊池くんにも紹介してもらったり、どちらかといえば、「紹介」が中心ですね。「組織化したな」と思った瞬間は、自分を含めて3階層できたときです。2階層だと、まだ上がプレーヤーで、直で下とやりとりする状態ですが、階層が違う3人が集まった時には「コミュニティ」ができるんですよね。

コミュニティができて、真ん中の人が「上はこう言ってるけど、下はこうだから・・・」という調整が始まり出すと、利害関係が少なくとも2つは生まれるので下の人に働いてもらえないと真ん中の人も困るんです。
そこで社会が出来あがって、組織化がどんどん膨らむと、「1人が持てる人数は最大何人か」という話が出てくるようになり、さらに膨らんでいって、今のユニヴィスは4階層くらいあります。コツコツと徐々に伸ばしてきたという感じですね。

ベストなのは、当初1番下だった人が中間に来るということです。というのも、いきなり中間のポジションになる人をポンと採用しても、感情面や文化面において異なりますし、「俺はここでは、こうやってきたよ」ということが語れないのであまり説得力がないんです。
下からどんどん中間層に上がる仕組みや体制を築き上げていかなければいけないなと思うので、若い人を採用して平均28〜29歳くらいを維持したいですね。
具体的には、30歳になるまでにマネージャーになれる素質がありそうな人。他には、何かスキルや一芸を持っている人、たとえばエクセルがすごく得意とか、会計にすごく詳しいとか、そういうふうになれそうな人ですね。

菊池 10人くらいの規模が会計事務所のターニングポイントの1つと言われることもありますが、当時大変だった話はありますか。

 人を雇って、10人規模になるかならないかの時には、ここに1つの壁があって、トップにとってはこの規模感が一番快適なんですよね。

菊池 あえて、拡大せずにその規模を維持する事務所もありますよね。

森 そうですね。イメージとしては、デキるマネージャーがいて、シニアスタッフが2~3人いて、その下に7~8人いるチーム。すごく効率性がよくて、いい感じに仕事が回るので、「これでいいんじゃないかな」と思うこともなくはないです。しかし、大きなきっかけは、下にいるメンバーたちが成長してくることです。
同じ業務をずっと任せていても不満が出ますし、「もっと新しいことをしたい」と思うのが自然なので、体制としては効率的なんですけれども、勤続疲労というか、「事務所を辞めていっちゃいそうだな」というムードになってしまうのです。
だからといって、その7~8人の中から優秀な1~2人だけを昇進させて、他のマネジメントを任せるのは、される側にとって感情的に受け入れ難いですよね。昨日まで同僚だったのに「どうして?」と思うはずなので。
なので、その下には新しい人を連れてこなければならず、すると、どんどん下を採っていくしかなくなります。そして、そういうループを生まないと、どんどん1年ごとにみんなが歳をとるのに、会社としては成長しません。
また、後輩がすごく優秀だと、先輩も刺激を受けるし、焦り出して、言い訳も何もできなくなります。結果として、みんなの火を一番つけやすくて、勝手に伸びていくんですよね。

菊池 森さんや渡邉さんを焦らせるような部下もいたわけですか。

 もちろん! その時はもう思い切って仕事を任せてしまいますね。でも、僕らは「総合力」というか、今までいろいろな案件に関わったり、組織を作ったりした経験があるので、そこの部分に関しては後方から助言するというイメージで伴走しています。

(つづく(明日掲載予定))


<対談者紹介>

森 陽平(もり・ようへい) 

ユニヴィスグループ代表
公認会計士 ・税理士
立教大学経済学部を卒業後、有限責任あずさ監査法人に入社。その後、国内有力ベンチャー企業にて財務・経理の最高実務責任者としてIPO準備に従事した後、株式会社ユニヴィスコンサルティング(UNIVIS)の取締役に就任。UNIVISでは、主に企業価値算定、デューデリジェンス、M&Aにおけるソーシングを担当し、金融機関、ファンド、買い手企業候補等と多数のネットワークを構築している。


◆菊池 諒介(きくち・りょうすけ)

プルデンシャル生命保険株式会社 東京第三支社
コンサルティング・ライフプランナー
公認会計士
1級ファイナンシャルプランニング技能士

2010年公認会計士試験合格。約3年間の会計事務所勤務を経て、「自身の関わる人・企業のお金の不安や問題を解消したい」という想いで2014年、プルデンシャル生命にライフプランナーとして入社。MDRT(下記参照)5年連続入会の他、社内コンテスト入賞や長期継続率特別表彰など、表彰多数。2016年より会計士の社会貢献活動を推進するNPO法人Accountability for Change理事に就任。公認会計士協会の活動として組織内会計士協議会広報専門委員も務める。趣味はフットサル、カクテル作り、カラオケなど。

MDRTとは
1927年に発足したMillion Dollar Round Table(MDRT)は、卓越した生命保険・金融プロフェッショナルの組織です。世界中の生命保険および金融サービスの専門家が所属するグローバルな独立した組織として、500社、70カ国で会員が活躍しています。MDRT会員は、卓越した専門知識、厳格な倫理的行動、優れた顧客サービスを提供しています。また、生命保険および金融サービス事業における最高水準として世界中で認知されています。

個人ページ:https://mylp.prudential.co.jp/lp/page/ryosuke.kikuchi

【バックナンバー】
ライフプランナー/会計士・菊池諒介、事務所経営者の素顔に迫る
 File1:税理士法人ブラザシップ代表・松原 潤氏  (全3回)
 File2:ユニヴィスグループ代表・森 陽平氏【前編】 【後編】

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