中国から見たコロナウイルスの進展


望月一央(MAZARSパートナー・公認会計士)

新型コロナウィルスとの戦いが日に日に激しさを増し、私も含め多くの人々が、漠然とした不安の中での生活を強いられていると思います。ただ、同時に、今の状況を客観的に捉えようとしている自分があり、今回はその考えをつづってみたいと思います。

1 上海では完全に封じ込めに成功

中国において新型コロナウィルスが意識され始めたのは本当にギリギリになってからです。年末頃より報道もなされ認識はあったのですが、少なくとも私の知る限り、誰一人意識することなく普段通りの生活を送っていました。それが突然、1月21日朝仕事に向かうと半分以上の人々がマスクを着けていました。てっきり最近気にすることも少なくなったPM2.5ではと思い職場の同僚に尋ねると、前日にWHOの緊急会議開催が決まったとの報道があり、皆気にしているとのことでした。

3,000万の人々が暮らす上海において、その時点でどれくらい感染の恐れがあったのかについては、数か月後のピーク時でも感染者数300人程度であったことから考え合わせれば、ほぼないに等しかったものと思われます。そのような状況であっても、半数以上の人々がマスクを着用しているという姿は滑稽とも感じられるほどでした。ただ、今振り返ってみれば、このような意識こそが今回の中国コロナ対策の大きな成功要因の1つであったものと思われます。その後状況は急速に進展し、2日後には武漢が封鎖され、つづいて自宅隔離モードが全国に及ぶことになりました。
 
このような瞬時に極端な人の動きの制限をすれば、感染力が強いといわれるウィルスであっても封じ込めることができるものだと感じられます。17年前SARS収束過程に際し、半年や1年後必ずどこからか再び感染者が出てくるに違いないとの思いに反し、その後本当に感染者がでなかったことから、今では、鳥のなかに生息しているインフルエンザのようなものでない限り、ウィルスの封じ込めはできるのだと確信しています。


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