わたしの独立開業日誌 #税理士・廣瀬充


【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

税理士を目指したきっかけ

税理士を目指したきっかけとなったのは、ひとりで自由に働く税理士の方々のブログ。
当時は、一般企業の経理職として働いていて、早朝に出勤、残業、帰宅する頃には家族が寝ているといった生活でした。
そんな時期にブログを見つけて「こんな働き方があるのか」と驚いたのを覚えています。
税理士というと、事務所を構えて従業員を雇ってというイメージしかありませんでしたから。

6年間の受験生活

税理士試験に合格するまでに、6年という期間を要しました。

一番の課題は勉強時間の確保。
夜の時間は、残業や飲み会、子供の病院などイレギュラーが発生しやすく、時間の確保が難しいと感じていました。そのため、早朝の時間を勉強時間として活用したのです。

試験勉強をしていたときの勉強時間のスケジュールとしては、朝4時に起床して2時間の勉強、昼食の時間と移動時間は理論の暗唱、帰宅後に1時間勉強というものでした。
税法の理論を、通勤中やお客さま先への移動中にひたすら暗唱していたのを覚えています。

独立開業の準備

2023年11月末の合格発表を受けて、12月の頭に勤務先へ独立する旨を伝えました。
2024年9月まで勤務を続け、2024年10月1日に独立開業しました。

独立までにやっていてよかったと感じたのが、以下の3つです。

・ブログ
・ホームページ作成
・創業融資

1つめは、ブログ。
ブログは、独立の6ヵ月前から始め、現在も毎日更新を続けています。
税理士を目指したきっかけがブログであり、独立後の営業としても活用したいと考えていたのです。
ブログを始めても、すぐにアクセスが増えるわけではないので、できるだけ早めからスタートさせることをおすすめしています。

最初は文章を書くことに慣れておらず、1記事書くのに2時間は平気でかかっていました。
それでも毎日続けることで、少しずつ習慣化していき、今では私に欠かせないものになっています。

毎日更新を続けているブログ

2つめは、ホームページの作成。
独立前から少しずつ作成を始めて、独立と同時に開設。
ブログとホームページの両輪で、自分自身の強みや人となりを出しておくことが、ネットからご依頼を受けるためには必要なことと考えたのです。
プロフィールはもちろんですが、サービスメニューや料金を載せておくことも欠かせません。

3つめは、創業融資。
融資・資金繰りを強みにしようと考えていたので、自分自身でも一連の流れを経験しておきたかったのです(もちろん、事業資金を多めに持っておくという意味でも大事なこと)。
日本政策金融公庫で面談をしたのが独立の2ヵ月前、それから1ヵ月後に融資が実行という流れでした。
書類の準備から面談まで、実際にやってみると準備の大変さがよくわかります。
通帳や返済予定表はもちろん、固定資産税の領収書など、必要書類は意外と多いものですから。
お客さまにアドバイスをする立場として、自分でも体験しておく意味は大きかったと感じています。

一方で、失敗したと感じることもあります。
例えば、サービスメニューの値付け。
「このぐらいかなぁ」という感覚で決めてしまったので、独立後は非常に悩んだのを覚えています。
値付けをすることに慣れていないのは仕方のないことですが、独立前から、「値付けをすること」にもう少し向き合っていればよかったと、今は感じています。

最初にぶつかった壁

独立後、すぐに現実にぶつかりました。
ネットからご依頼をいただきたいと考えていましたが、なかなかうまくいかず、最初の年にネットからのご依頼は、わずか3件。
ゼロからのスタートで、売上がない時期が数ヵ月続き、預金残高は目減りしていく一方。おカネが減っていく感覚は、今となればいい経験ですが、当時は恐怖でしかありませんでした。

改めて、融資を受けておいてよかったなと。
何が起こるかわからないので、手元資金はできるだけ多めに確保しておくことをおすすめします。
おカネは困ってから借りるものではなく、借りられるときに借りておくもの。
自分自身がそれを体験したからこそ、今はお客さまにも自信を持って伝えられます。

ブログやホームページなどのネット営業だけでなく、紹介会社の活用もしました。ただ、紹介会社の手数料は高めなので、利用する場合は短期的な利用にとどめることをおすすめします。
私の場合は、「ここまで到達したら受けない」というラインを決めておきました。

また、自分自身の営業スキルを磨くためにも、依存しすぎるのはおすすめしません。そのためにも、早めから自分に合う営業スタイルを見つけるようにしましょう。
私の場合は、ブログやメルマガ、Kindle本の執筆といった文章を書くことが好きなので、今のスタイルを磨くようにしています。

普段持ち歩くアイテム

独立してからの仕事術

受験生時代の早起きの習慣は、今も継続中です。
朝は4時前に起床して、メルマガやブログの更新をしています。

ウォーキングや筋トレといった運動も、私にとっては重要な習慣の1つ。長く働き続けるためには、身体のメンテナンスも欠かせません。特に、私のように1人で仕事をするのであればなおさらです。

税理士というと会計ソフトや税務ソフトを使うことが多いですが、GAS(Google Apps Script)やExcel、タイピングといった汎用性の高いスキルを磨くことも意識しています。

GASは、独立後から磨き始めたものの1つ。
今の時代、AIにプログラミングコードを書いてもらうこともできます。ですが、基本を知らなければコードを読むこともできません。「どこが合っていて、どこが間違っているのか」を確認するのは、最終的に人間です。
AIの時代になり、プログラミングに対するハードルも下がったと感じています。1から調べなくても、AIとやり取りをしながら学習をすることも可能なので、少しずつでも学んでおくと、業務効率UPにもつながるのでおすすめです。

Excelは、経理時代から磨いているスキルの1つ。
お客さまへの報告資料は、Excelを活用しています。特に、決算予測や資金繰り表は、お客さまと話をしながら実際に数字を動かして確認したいもの。そういった場合にExcelは大いに役立ちます。
お客さま、それぞれに合わせて資料をカスタマイズできるのも便利です。
関数、ショートカットキー、ピボットテーブル、パワークエリなど磨いておきたいスキルはたくさんあります。

タイピングは地味ですが、業務を効率化するには欠かせないスキルです。毎日パソコンを使うなら、なおさら磨いておいて損はありません。とはいえ、私の場合は、タイピングの練習時間を毎日確保しているわけではありません。
やっているのは、ブログやメルマガを書く際に、タイピングスピードをいつもより気持ち早めに入力するということ。少し間違えたりしますが、負荷を与えることでスピードを底上げすることができます。

独立後の働き方として、自分自身で基準をつくることが大切です。
勤務時代のルールや名残に引っ張られると、せっかく独立したのに「自由に動けない」ということにもなりかねません。

探し続ければ、自分に合った働き方を見つけることができます(私自身、常に模索中です)。
今では当たり前のように、カフェでブログ記事やKindle本の執筆をしていますが、独立直後は少し抵抗があったのを覚えています。「平日の昼間にカフェに行くなんて…」と。

今思うと、勤務していた頃のルールや名残に引っ張られていたのだと思います。
独立後は、働き方も生き方も自由。
考え方を自由にして独立生活を楽しむことが大切です。

【プロフィール】
廣瀬充
大分県在住・1988年生まれの税理士。2024年10月に独立開業。融資・資金繰り支援を強みとし、「困った会社を助ける」のではなく「困らない会社を増やす」ことを目標に活動。「おカネは困ってから借りるのではなく、借りられるときに借りておく」という考え方を軸に、中小企業経営者の資金面をサポート。Kindle本『中小企業経営者のための融資超入門』『資金繰りを考えなくていい会社のつくり方』を出版。ブログ「TSURU’S BLOG」では習慣・独立・おカネをテーマに毎日発信中。無料メルマガ「ひとり経営ライフログ」も毎朝配信中。
ブログ:https://3tsuru-blog.com
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