日本でも専門性をアピールできる! 目からウロコの「会計・監査系」国際資格


毛利弘通(株式会社アビタス 執行役員)

はじめに

「会計人コースWeb」をご覧の皆様、こんにちは。
国際資格の専門校アビタス(Abitus)の毛利弘通です。

皆さんは「国際資格」と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。

「海外で働く人が取るもの」「英語が得意でないと難しい」「日本で働く自分には関係がない」といった印象を持つ方も少なくないでしょう。
しかし、実際はそうではありません。日本で受験できる国際資格や、日本語で受験できる国際資格が多くあります。そして何より、国際資格で学ぶ知識は、日本で働く中でも活かせる場面が着実に広がっています。

今回は、そんな国際資格をめぐる「思い込み」を一つずつ解いていきます。

そもそも「国際資格」とは?

「国際資格」という言葉に厳密な定義があるわけではありません。

ここでは、特定の一国だけで完結する資格ではなく、複数の国・地域の受験者や実務家を想定して制度が設計され、その知識や専門能力が国境を越えて評価される資格、と捉えておきましょう。

国内資格には、その国の法制度や独占業務と強く結びついたものが多くあります。一方、国際資格の大きな特徴は、会計、監査、IT、ガバナンスといった「職能」そのものをグローバルに示せることです。

自分の専門性を社外や海外の相手にも説明できる「共通言語」を持てることは、国際資格の大きな魅力です。

誤解①「海外に行かなければ受験できない」

まず解いておきたい誤解が、「海外まで受験しに行かなければならない」というものです。

例えばUSCPA(米国公認会計士)試験は、日本を含む複数の国で受験できます。実は、これから紹介させていただく国際資格は全て日本受験が可能です。

今や、国際資格は「海外に行ける人だけの挑戦」ではありません。日本にいながら取得し、日本でのキャリアに組み込むことができる時代になっています。

誤解②「英語ができないと国際資格は無理」

次によくあるのが、「国際資格は英語で受験しなければいけない」というイメージです。

もちろん、USCPAのように英語での受験が必要な資格もあります。しかし、すべての国際資格がそうではありません。CIA(公認内部監査人)やCISA(公認情報システム監査人)は日本語で受験でき、USCMA(米国公認管理会計士)も2025年6月から日本語試験が導入されました。

語学力の測定が試験の目的ではありませんので、日本語で合格しても、英語で合格しても、資格の価値に違いはありません。母国語で実力を広く証明できる資格の存在は、もっと知られてよいはずです。

誤解③「勉強も全部英語でしなければならない」

英語で受験する資格であっても、学習段階からすべて英語で勉強する必要はありません。
特に初学者の場合、難しい専門概念と英語を同時に学習しようとすると、どうしても負荷が高くなります。

そこで有効なのが、まず日本語で専門知識をしっかり理解し、その後、問題演習を通じて英語の専門用語や出題表現に慣れていく方法です。近年はこうした学習を支える日本語テキストや、日本語解説付きの問題演習が、専門校を中心に整っています。

英語を勉強してから国際資格に進むのではなく、国際資格の学習を通じて専門英語も身につけていく。この順番が、効率的な資格取得にもつながります。

誤解④「国際資格は難しすぎる」

「興味はあるけれど、難関資格だろうから自分には無理そう」という声もよく聞きます。
もちろん、国際資格においても資格ごとに難易度は様々で、取得のためには難易度に応じた学習量と学習時間が求められます。ただし、「難しさの種類」は日本の一部の難関試験とは少し違います。

例えばUSCPA試験は、各科目75点以上(最高99点)を取れば合格人数に制限は無く、他の受験者との相対評価で合否が決まる試験ではありません。

これは意外に大きなポイントです。
「誰に勝つか」ではなく、「必要な知識水準に自分が到達できているか」が勝負になります。学習範囲と合格基準を理解し、計画的に積み上げていくことで合格を目指しやすい試験といえます。

では、どの国際資格を選べばいい?

ここで重要なのは、「自分は何を強みにしたいのか」から逆算すること、そして複数の強みの「掛け算」を意識することです。

USCPAは、財務会計や、監査、税務、連結、海外子会社管理など、「会計×英語」の掛け算を軸にキャリアの幅を広げたい人に向いています。
USCMAは、予算管理、業績管理、FP&A、経営の意思決定支援などに関心がある人に向いています。財務情報を作るだけでなく、使って経営を動かす「会計×経営」の掛け算を磨けるのが魅力です。
CFEは、不正対策・対応について学びます。不正に立ち向かうため、「法務×会計×不正対策」の掛け算を身につけます。

そして、これから特に注目したいのがIT・ガバナンス系の国際資格です。
代表例のCISAは、IT監査、IT統制、情報システムにかかわるリスクなどを扱います。あらゆる業務で、ITを切り離して考えることが難しくなった現在、「IT×監査」の掛け算の重要性が高まっています。

さらに、AI監査に特化した新しい資格としてAAIA(AI監査上級資格)があります。2025年に試験が開始されたばかりの資格で、「Advanced in AI Audit」の略です。上級資格のため、USCPA、日本の公認会計士、CISA、CIAなどの資格保有者で、次の専門性を考える方にとって有力な選択肢です。
「会計×監査」「会計×IT」「監査×AI」のように専門性を掛け合わせていく。ぜひそうした観点で様々な国際資格を調べてみてください。

「海外でしか活かせない」はむしろ逆

最後に解いておきたいのが、「国際資格を取っても、海外で働かなければ意味がない」という誤解です。
日本企業の中であっても、国際資格の知識が必要になる場面は増えています。

海外取引先との折衝、英文開示、海外子会社管理、サイバーセキュリティ、ITガバナンス、さらにはAIリスク管理。こうしたテーマは、もはや一部のグローバル企業だけのものではありません。海外赴任をしなくても、仕事の現場そのものが国際化しているのです。

だからこそ国際資格は、「海外で働くためのパスポート」というより、「国内外を問わず、自分が持つ専門性を示すための共通言語」と考えたほうが、実態を表しています。

おわりに

国際資格は、これまで培ってきた専門性、これから身につけたい専門性を体系的に学び、仕事の守備範囲を一段深めたり広げたりする手段として、非常に有効です。

思っていたより身近で、思っていたより選択肢が多く、思っていたより手が届く。そんな“目からウロコ”の第一歩として、気になる国際資格をチェックしてみてはいかがでしょうか。

【おまけ】日本で受験できる国際資格

<プロフィール>
毛利 弘通(もうり ひろみち)

株式会社アビタス 執行役員
東京大学法学部卒。2012年にCISA(情報システム監査人)を取得。「自分の成長を会社の成長に。会社の成長を自分の成長に。」をモットーに学びの支援に取り組む。現在、アビタス教育総研 所長を務める。 

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