Abitus流「英文会計」の学び方〜公認会計士試験の英語出題をチャンスにしよう!


【編集部より】
今年12月実施の公認会計士試験短答式試験から英語での出題が始まり、会計士受験生はもちろん、会計系資格受験生における「英語」への関心は高まっているといえるでしょう。なぜ今、英語での出題が行われるようになったのでしょうか。そもそも英文会計はどのように学ぶとよいのでしょうか。そこで、国際資格の専門校Abitus の馬場氏に英文会計の学び方をアドバイスいただきます。

馬場 成実(株式会社アビタス 執行役員)

はじめに

「会計人コースWeb」をご覧の皆様、こんにちは。
国際資格の専門校アビタス(Abitus)の馬場成実です。

先般、公認会計士試験(JCPA)の短答式試験において、英語での出題が導入される方針が示され、大きな注目を集めています。試験全体に占める割合が5〜6%とされる英語問題について、効率的に得点するための「試験テクニック」や「時間配分」を理解することは、合格を目指す上で重要です。

一方で、長年グローバル会計人材の育成に携わってきた専門スクールAbitusの立場から見ると、今回の英語化を単なる「新しい試験対策」として捉えてしまうことは、非常にもったいないと感じています。なぜなら、この変化の背景には、日本企業の急速なグローバル化があるからです。

現在、日本の上場企業ではIFRS(国際財務報告基準)の適用が広がり、海外子会社監査や英文Reporting Packageのレビューなど、英語を用いた会計実務は着実に増えています。会計士に求められる役割は、国内基準を理解するだけではなく、世界共通の言語である英語を通じて会計情報を理解し、判断する力へと広がっています。

だからこそ、これから英文会計に触れる方には、「試験のための暗記」ではなく、実務で活用できる「本質的な理解」を意識して学んでいただきたいのです。

英文会計は特別な英語力がなくても身につけられる

JCPAとUSCPAの「出題の違い」

JCPAにおける英語出題は、現時点で公表されている情報を見る限り、実務への入り口を意識した「基本的な会計英単語の理解」や「英文資料の読み取り」が中心になると考えられます。

全編英語で出題され、総合的な英語力と専門知識が問われる米国公認会計士試験(USCPA)とは異なり、JCPAではまず、日本語で培った高度な会計知識と英語表現を結びつける力が重要になるでしょう。

しかし、国内会計を中心に学んできた方が、突然英文資料に向き合うことには不安もあるはずです。
そこで重要になるのが、「英語力」そのものを一から高めるのではなく、「会計を理解するための英語」を効率的に身につけることです。

Abitusは30年以上にわたり、日本人学習者が「英語で会計を理解する」プロセスを研究し、教材や指導方法を改善してきました。ベースにあるのは、英文会計の習得に必要なのは特別な英語力ではなく、正しい学習方法であるということです。

Abitus流:効率的な学び方「3つのコツ」

そこで、専門スクールAbitusが導き出した「英文会計が伸びる人の学習パターン」から、今日から使える3つのコツをご紹介します。

① 英語を一からやり直さない(文法より単語!)

英文会計を学ぶ際、基礎レベルの英文法や長文読解から復習しようとする方も多いですが、必ずしも効率的な方法ではありません。会計分野で使われる英文は比較的構造がシンプルで、頻出表現もある程度パターン化されています。

まず優先すべきは、会計英単語を覚えることです。
Revenue(売上高)、Inventory(棚卸資産)、Goodwill(のれん)、Impairment(減損)など、実務で頻出する用語を理解することで、英文資料の読み取りやすさは大きく向上します。

② 既存の会計知識に「英語のラベル」を貼る

読者の皆様の中には、「資産・負債」「費用・収益」といった会計概念をすでに日本語で理解している方も多いはずです。英文会計を学ぶ際に必要なのは、新しい知識をゼロから身につけることではありません。

重要なのは、すでに持っている会計知識に英語の表現を結びつけることです。例えば、日本語では「利益」「収益」と訳されることがある言葉でも、英文会計では意味が異なります。

Revenueは本業からの売上、Incomeは利益、Gainは本業以外から生じた利得を表します。また、貸借対照表はBalance Sheet(B/S)として知られていますが、IFRSではStatement of Financial Positionという表現も用いられます。こうした違いを理解することで、英文会計への理解は一段と深まります。

③ Debit / Creditに慣れる

英文会計への第一歩は、借方(Debit / Dr.)と貸方(Credit / Cr.)という表現に慣れることです。

仕訳を考える際に「左・右」と捉えるだけではなく、「Debit」「Credit」という言葉を意識的に使うことで、英語で会計を考える感覚が身についていきます。

小さな習慣の積み重ねが、英文会計への心理的なハードルを大きく下げます。

「どうせ英語で学ぶなら」USCPAが最高の選択肢になる理由

ここで、一つ新しい視点をご提案します。
それは、「どうせ英語で会計を学ぶのであれば、USCPA取得も視野に入れてみる」という選択肢です。

読者の皆様が学びや実務で培っている高度な会計知識は、世界基準で見ても非常に高いレベルです。そこに英語という共通言語を加えることで、グローバルな舞台で活躍できる可能性が大きく広がります。

監査法人でのクロスボーダー案件、海外駐在、外資系企業の経理・財務、さらにはFASやPEファンドなど、英語×会計のスキルは多様なキャリアにつながります。

英語化を「新たな負担」と捉えるのか、それとも「グローバルキャリアへ挑戦するきっかけ」と捉えるのか。その意識の違いが、これからの会計人としての成長を大きく左右するでしょう。

おわりに

生成AIの普及により、外国語翻訳そのもののハードルは大きく下がりました。しかし、AIが翻訳した英文財務諸表や英文会計資料を正しく理解し、その内容を判断できるのは、確かな会計専門性を持つ人材です。だからこそ、「英語を読む力」と「会計を理解する力」を併せ持つ価値は、これからさらに高まっていきます。

英語は、会計人にとって新しい専門分野ではありません。皆様がすでに身につけた会計という専門性を、世界へ広げるための共通言語です。
公認会計士試験の英語化を、新たな可能性への入り口として捉えてみてはいかがでしょうか。

【おまけ】保存版!現場で実際によく見る会計英単語10選
実務の現場や試験で頻出する、押さえておきたい10単語を厳選しました。
1 Revenue(収益・売上):企業活動で一番よく見る単語。Salesとの違いも知っておくと便利です。
2 Inventory(棚卸資産):在庫。監査法人の実務では「棚卸立会(Inventory Observation)」でよく耳にする単語です。
3 Goodwill(のれん):M&Aの際に発生する買収プレミアム。
4 Allowance(引当金・評価性引当金):Allowance for doubtful accounts(貸倒引当金)など。
5 Impairment(減損):固定資産やのれんの価値が下落した際に行う処理。
6 Deferred Tax(繰延税金):Deferred tax asset(繰延税金資産)など、税効果会計の必須用語。
7 Lease(リース):IFRS16号導入以降、実務で急速に重要度が高まっている論点です。
8 Accrual(発生主義・未払費用):現金の収支に関わらず、事象が発生した期に計上する概念。
9 Provision(引当金 ※負債性):将来の支出に備える負債。IFRS実務で頻出します。
10 Equity(資本・純資産):Shareholders’ equity(株主資本)など。

<執筆者紹介>
馬場 成実(ばば なるみ)

株式会社アビタス 執行役員 
1985年生まれの九州男児。これまで、学習塾・語学スクール・キャリアデザインスクールなど、多岐にわたる教育サービスに従事。現在は、Abitusにおいて会計系国際資格やMBAの取得支援事業を統括。「教育を通じた機会の平等」がモットー。


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