読書の秋! yukiさん(組織内会計士)がオススメする課題図書


【編集部より】
本を読むのにぴったりな季節。「何かオススメはないかな~」と探している人もいるのではないでしょうか。
そこで、本企画では、実務家などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「読書の秋の課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!

組織内会計士として働いているyukiです!
読書の秋ということで、受験生時代から今に至るまで読んでおいてよかったと思える書籍を紹介できればと思います。
社会人として働きながら合格したこともあり、限られた時間の質をどう高めるか、そして会計の知識が実務でどう生きるかを、ずっと考えてきました。試験勉強中の方にも、経理・財務の実務に携わる方にも、それぞれの立場で読み方がある3冊を皆さんに紹介します。

オススメ書籍①『フロー体験入門―楽しみと創造の心理学』(M.チクセントミハイ、世界思想社

「フロー」とは、何かに没頭して時間を忘れてしまう、あの状態を指します。言葉を知らなくても、誰もが一度は経験しているはずです。本書は、その状態がどのような条件で生まれるのかを心理学の知見から解き明かします。

鍵になるのは、課題の難易度と自分の能力が釣り合っていること、目標が明確で手応え(フィードバック)がすぐ得られること。答練で必ず時間を計る、論点ごとに「今日はここまで」と基準を決める。仕事であれば、着手する前に締切と完了の条件を先に決めておく——受験勉強にも日々の業務にもそのまま応用できる示唆が多くあります。

本書を読んだだけで自在にフローへ入れるようになるわけではありませんが、絶対的な時間が不足していた私が「時間当たりの質」へ目を向ける契機になった一冊です。月 次・四半期の決算に追われる経理の方にも、勉強時間を増やせない受験生の方にも、読む価値があると思います。

オススメ書籍②『青い蜃気楼 小説エンロン』(黒木亮、KADOKAWA)

J-SOX(内部統制報告制度)が生まれるきっかけの一つとなったエンロン事件を、経済小説として描いた作品です。企業が利益を追うこと自体は当然ですが、内部統制が機能しないまま利益だけを追い続けた組織がどこへ向かうのか、その成れの果てを登場人物の視点から追体験できます。

特別目的事業体を用いた簿外債務、監査法人との距離感——監査論や企業法のテキストでは無味乾燥に見えた論点が、生々しい人間の判断の連なりとして立ち上がってきます。受験生にとっては、テキスト上の制度が何を防ぐために存在するのかが腹に落ちるはずです。

実務に携わる方にとっては、日々の証憑チェックや稟議、見積りの見直しといった地味な手続や規程の整備・運用が、どこで効いているのかを再確認する機会になります。黒木亮さんの小説は本作以外もとても面白いので、ぜひ手に取ってみてください。

オススメ書籍③『図解&設例 連結会計の基本と実務がわかる本』(飯塚幸子、中央経済社)

連結会計に苦手意識を持つ方は受験生にも実務家にも多いと思いますが、私は、会計士試験で学んだことがそのまま生きる領域として連結会計以上のものはないと考えています。

本書は図解と設例で、資本連結・成果連結・持分法といった論点が実務でどう処理されるのかを丁寧に示してくれます。受験生であれば、暗記のように覚えた手続が実務の作業手順としてそのまま使われていることを実感できますし、連結業務に携わり始めた方であれば、目の前の作業が理診のどこに紐づくのかを整理し直せます。

もちろん実務では、あるべき修正仕訳を自ら考える、連結システムへどう連携するかを設計するといった、テキストには出てこない悩みも待っています。それでも土台になるのは試験で学ぶ知識です。学び直しの起点としても薦めやすい一冊です。

時間の質を上げる、制度の意味を知る、学んだことの先を見る。いずれも、受験生のときと実務に就いてからとで読み方が変わる本です。この秋の一冊選びの参考になれば嬉しいです。

<執筆者紹介>
yuki
公認会計士
IPO準備会社の経理財務部長
Xアカウント(@yuki0821bk


関連記事

ページ上部へ戻る