12月短答合格へ! もう一問を確実に正答するための実戦的学習法


瀧本 祐和(公認会計士 / スタディング公認会計士講座 講師)

【編集部より】
公認会計士短答式試験の直前期になりました。実戦演習を通して、計算ミスや時間ロスなどの改善点が浮き彫りになることもあるかもしれません。 どうすれば問われていることに最短距離で解けるのか、直前期の実戦演習にはどう取り組み、復習をするとよいか。受験指導経験豊富な瀧本先生にアドバイスをいただきました! 

はじめに

近年の短答式試験は受験者の増加等もあり、非常に厳しい試験であると感じている方が多いのではないでしょうか。また、令和9年第Ⅰ回短答式試験から英語による出題がなされることから、ご自身が合格を勝ち取れるのか不安に感じている方もいらっしゃると思います。

ですが、試験制度が変わっても、合格のために求められるものは変わりません。合格に必要なことは、正答すべき問題を確実に正答することです。つまり、合格のために必要な知識を体系的に習得(インプット)し、ミスなく実力を発揮(アウトプット)することが求められます。

本稿が公開される時期は、短答式試験直前期であり、受験生の多くは答案練習などの実戦演習に注力されている時期だと思います。

本稿では、短答式試験の合格に向けてのインプットを終えた受験生が、答案練習などのアウトプット練習を効果的に実施するために留意すべきポイントについて解説します。

もう一問を確実に正答するためには

短答式試験の合格ラインを突破するには、正答すべき問題を確実に正答することが不可欠です。あと一問で悔しい思いをしないために、もう一問を確実に正答するために何をすべきかをお伝えします。

正答すべき問題とは

正答すべき問題とは、受験生の多くが正答にたどり着ける問題のことであり、目安としては、受験生全体の4割が正答できるような問題です。このような問題は、試験における得点獲得において極めて重要であり、いかに取りこぼさないかが勝負の鍵となります。頻出の論点のみならず、出題頻度はそれほど高くなくても比較的容易に解答できる論点についても、万全の対策を講じる必要があります。

確実に正答するためには

講義の受講やテキストの読み込みといった適切なインプットは、正答すべき問題を確実に正答するために不可欠であることは言うまでもありません(なお、本稿ではインプットについては取り上げません)。

答案練習などのアウトプットの面では、次の点に留意することが重要です。

・問われていることに答えよう

「短答式試験なのだから、選択肢から答えるだけでしょ?」と思うかもしれません。しかし、受験生の質問や相談などから伺う限り、問題の柱書や資料を十分に読み込まずに解答を試みている受験生が一定数いらっしゃいます。このような受験生は、問題集を繰り返し解き、解法を習得しているものの、問題を深く理解せず、反射的に解答している傾向が見られます。

たとえば、令和8年第Ⅱ回短答式試験 問題21の柱書では、「次の〔資料〕に基づき,A社のX2年度(X2年4月1日〜X3年3月31日)の期末における未認識数理計算上の差異の金額として正しいものの番号を一つ選びなさい。」と指示されています。この問題において、見慣れた資料に飛びついて退職給付費用や退職給付引当金の金額を算定したあとに、選択肢に該当する金額が存在しないことに気付くなどの事例もあります。その後、問題文を再確認し、正解を選択できたとしても、無駄な作業に時間を費やしたことが、最終的な合否に影響を及ぼす可能性もあります。

確実に正答するためには、問題を解く際に、まず問題の柱書を確認し、問題の指示を明確に理解したうえで解答を開始することが不可欠です。

・下書きには書いてあったのに…

「下書きには書いてあったのに…」という受験生の声を耳にすることがあります。これを単なるケアレスミスと捉えることは、成績向上にとって大きな障害となります。このような受験生の下書きは雑然としていることが多く、また、同一の問題でも下書きの書き方が統一されていない傾向が見られます。勘定科目の省略や金額の表記方法など、下書きの書き方が毎回異なるため、集計時にミスが出てしまったり、一度計算した内容を再度計算する必要が生じたりと、時間を浪費することにつながります。

復習や解き直しの際には、正答に至ったことに満足するのではなく、下書きの書き方についても精査することが不可欠です。

・急がば回れ

問題によっては正式な手順を踏まずにショートカット的な解法を用いることが可能な場合があります。このような問題の復習の際には、闇雲にショートカット的な解法を覚えることは控えるようにしましょう。理解の裏付けのないショートカットは再現性に欠け、効果的な学習に繋がりません。

ショートカット的な解法は、当該論点の全体像や会計処理の流れを十分に理解している場合に、その場で導き出すことができるものです。したがって、復習の際には、なぜそのショートカットが有効なのかを理解することに重点を置きましょう。

スピードより精度

短答式試験、特に計算科目は、時間的制約の厳しい試験です。試験時間、問題数などの改善が図られてはいますが、余裕をもって解答できる受験生は多くはないでしょう。したがって、試験対策としては、無駄な作業を避け、効率よく解答することが求められます。しかしながら、短答式試験は満点が要求される試験ではありません。合格ラインは実施回ごとに変動しますが、仮に合格ラインが75%であったとしても25%の誤答は許される試験です。

たとえば、総得点の8割の問題にしか着手できなくても95%の精度で解答できれば、単純計算で80%×95%=76%の点数比率となります。一方で、全問に着手しても精度が低い解答であれば、点数比率は大きく低下してしまいます。そのため、焦って解答精度を低下させることは得策ではないといえます。

計算科目は理論科目比べて時間制約が厳しくなりがちですが、だからこそ、問題文を精読し、無駄な作業を排除することで、解答精度を高めることが重要となります。

最後に

答案練習はあくまで練習であり、その結果よりも、答案練習への取り組み方と答案練習後の復習が重要です。また、インプットした知識を正確にアウトプットできなければ、試験では評価されません。

答案練習などのアウトプットの練習機会を通じて、時間内に一問でも多くの正答を得られるように対策を講じましょう。

<プロフィール>

瀧本 祐和(たきもと ひろかず)

公認会計士 / スタディング公認会計士講座 講師
信託銀行勤務(1999年〜2005年)を経て、2006年より資格試験業界に転身。簿記検定、税理士試験、公認会計士試験などの会計系資格の教材開発および講座企画を担当。2009年から公認会計士講座の担当講師として受験指導に携わる。現在は、2025年3月に開講したスタディング公認会計士講座において財務会計論を担当している。
・Xアカウント(@z_takimoto)


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