
【編集部より】
本を読むのにぴったりな季節。「何かオススメはないかな~」と探している人もいるのではないでしょうか。
そこで、本企画では、実務家などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「読書の秋の課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
はじめに
知ってる方はこんにちは。知らない方ははじめまして。
関西方面で独立公認会計士をやっております、ぱるふじと申します。
日頃から実務に携われている職業会計人の皆さん、8月に各種試験に挑まれた皆さん、今まさに資格試験の勉強中の皆さん。
今回はそんな皆さんに向けて、「新しい発見」のあるオススメ書籍を紹介してほしい、とお声掛けいただきました。
そこで、私のいくつかの顔にちなんだ本を3冊ご紹介します。
え、会計の書籍がない?
まあ、会計から遠い本のほうが、かえっていつもの景色を変えてくれたりするものでして。
オススメ書籍①『アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち』(鈴木忠平、文藝春秋)
総工費約600億円を投じた、巨大な固定資産。
その名はエスコンフィールドHOKKAIDO。
野球と会計の交差点についてnoteを書いている人間として、実際にこの球場へ行ってきました。
そこにあったのは、ビールの醸造所、大勢の人で賑わうフードコート、子どもたちが遊べるボーネルンドの遊び場。
それは、まるで大きなショッピングモールの中で野球が見られるような感覚。
試合のない日でも人が集まる仕掛けが、球場の内にも外にも随所にあるのです。
球場とその周辺を合わせた2025年の来場者は、459万人。
そのうち半分以上が、公式戦以外での来場だったそうです。
本書は、この固定資産に思いを込めた人たちの物語です。
印象的なのは、勝者だけの物語にしていないところ。
誘致に敗れた札幌市や、批判の対象として語られがちだった当時の市長にも、こういう考えがあったのか。
迎え入れた北広島市は、何を賭けていたのか。
敗者の側の視点まで描かれているからこそ、総工費約600億円の向こうにある決断の重さが、別の角度からも見えてきます。
オススメ書籍②『ものの言いかた西東』(小林隆・澤村美幸、岩波新書)
「致死量の関西弁」と言われることもある、生粋の関西人です。
そんな私が本書で驚いたのは、ほかでもない、自分たちのものの言い方。
例えば、関西人といえば、思ったことをストレートに口にするイメージがないでしょうか。
実は、逆。
本書によれば、物事を遠回しに言う傾向が強いのは、むしろ関西の側。
ほら、京言葉を思い出してみてください。
あの遠回しな感じ、実は京都だけの話ではないのです。
そして本書には、「言葉によるオモテナシ」という一節があります。
関西の会話は、用件を済ませたら終わり、ではない。
用件とは別のところで、わざわざ一言二言、ごじゃごじゃと絡む。
それも込みで会話、という感覚なのだそうです。
言われてみれば、私も何か聞かれたら、ついひとこと多く返してしまいます。
遠回しに言うのも、ごじゃごじゃと絡むのも、相手がいてこそ。
どちらも、目の前の一人との関係をおろそかにしないための工夫なのだと、私には思えました。
だから、関西以外の皆さん。
関西弁を怖がらなくても大丈夫です。
気兼ねなく、関西弁の世界へいらっしゃいませ。
オススメ書籍③『ウナギが故郷に帰るとき』(パトリック・スヴェンソン著/大沢章子訳、新潮文庫)
週末は息子と虫取りに出かける、一人の父親。
そんな私が最後に挙げるのは、ウナギの本です。
といっても、鰻を食べる話ではありません。
父と子の記憶の話。
ウナギがどこで生まれるのか、人類は長いあいだ知りませんでした。
アリストテレスは泥から湧くと考え、若き日のフロイトは挫折し、デンマークの海洋学者は大西洋を20年探し続けた。
それでも、天然ウナギが産卵する瞬間を直接見た人は、まだいないのだそう。
本書では、この謎を追う科学の物語と、著者が父とウナギを釣った記憶とが、交互に出てきます。
スウェーデンの田舎の川で、父と仕掛けた罠。
そして、父の最期。
科学ノンフィクションでありながら、追悼の文学でもあります。
ウナギの謎を追いかけているつもりが、読み終えて考えていたのは、息子と過ごすいまの時間のこと。
とりあえず今週末も、虫取りには付き合おうと思います。
鰻好きの”界隈”の皆さんも食べるばかりではなく、ウナギについて知り、ウナギの物語に浸るのもいかがでしょうか。
*
以上、「野球マニア」「関西人」「1児の父」という私の3つの顔にちなんで選んだ3冊でした。
勉強や仕事の合間に、気になった一冊をふと手に取ってもらえたら。
皆さんの秋が、よい読書の季節になりますように。
【プロフィール】
ぱるふじ(@parparfuji)
関西のどこかで活動する独立公認会計士。一般就職を経て会計士試験に合格し、監査法人→事業会社経理を経て独立。以来、IFRSや米国基準まわりを生業にしている。大学非常勤講師。電卓はSHARP派。共働きの妻と育児に奮闘中の、1児の父にしてただの野球マニア(楽天推し)。














