連載 『会計士・税理士・簿記検定 財務会計のセンスが身につくプチドリル』(本試験直前総復習26)ー 連結会計


長島 正浩(茨城キリスト教大学教授)

*税理士、会計士論文式試験直前の総復習として、本連載の復習問題を再掲載します。

Q1 連結財務諸表とは何か?

A
連結財務諸表は,支配従属関係にある2つ以上の企業からなる集団(企業集団)を単一の組織体とみなして,親会社が当該企業集団の財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況を総合的に報告するために作成するものである。
*連結会計基準1項
『ちなみに日立グループの連結子会社は760社もある!』(2022年12月31日現在)

Q2(空欄補充)
連結財務諸表の作成については,(  ①  )と(  ②  )の二つの考え方がある。いずれの考え方においても,単一の指揮下にある(  ③  )全体の資産・負債と収益・費用を連結財務諸表に表示するという点では変わりはないが,資本に関しては,(  ①  )は,連結財務諸表を親会社の財務諸表の(  ④  )に位置づけて,親会社の(  ⑤  )のみを反映させる考え方であるのに対して,(  ②  )は,連結財務諸表を親会社とは区別される(  ③  )全体の財務諸表と位置づけて,(  ③  )を構成するすべての連結会社の(  ⑤  )を反映させる考え方であるという点で異なっている。


① 親会社説
② 経済的単一体説
③ 企業集団
④ 延長線上
⑤ 株主の持分
*連結会計基準51項
『連結財務諸表は誰に向けて作っているのか・・・連結会計主体論』(桜井23版,329-330頁)

Q3 連結財務諸表を6つ列挙しなさい。

A
(1) 連結貸借対照表
(2) 連結損益計算書
(3) 連結包括利益計算書
(4) 連結株主資本等変動計算書
(5) 連結キャッシュ・フロー計算書
(6) 連結附属明細表
*連結財務諸表等規則1条1項
『連結精算表がどのように利用されているか確認しておこう!』(桜井23版,343-347頁)

Q4 連結会計基準では,「親会社説」と「経済的単一体説」のうち,どちらの考え方を採っているか?

A
連結財務諸表が2以上の法的実体からなる企業集団を単一の組織体とみなして,当該企業集団の立場から,その財政状態および経営成績などを総合的に報告するのであれば,経済的単一体説を採用するのが整合的であるが,連結会計基準では基本的には,親会社説の考え方に立っている。これは,連結財務諸表が提供する情報は主として,親会社の投資者を対象とするものであると考えられるとともに,親会社説による処理方法が企業集団の経営を巡る現実感覚により適合すると考えられるからである。しかし,国際的な会計基準が経済的単一体説を採用しているため,連結会計基準でもこれと整合した会計処理の適用範囲が徐々に拡大されてきている。
*連結会計基準51項
『[図表13-2]がわかりやすいので確認しておこう!』(桜井23版,330頁)

Q5 連結会計基準では,非支配株主持分の会計的性格をどのように捉えているか?

A
非支配株主持分の会計的性格は,親会社説によるか経済的単一体説によるかにより異なる。親会社説によれば,非支配株主持分は基本的には,株主資本ではないが負債でもないから,負債と株主資本の中間に位置する連結会計固有の項目と解される。また,経済的単一体説によれば,非支配株主持分も親会社持分と同様に株主資本である。親会社説を採る連結会計基準では,非支配株主持分は,返済義務のある負債ではないから,純資産の部に株主資本と区別して記載することとなる。
*連結会計基準55,55-2項
『全面時価評価法だけでなく,部分時価評価法も理解を深めておこう!』(桜井23版,341-342頁)

Q6 持分法とはどのような方法か? 

A
持分法とは,投資会社が被投資会社の資本及び損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて,その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法をいう。非連結子会社及び関連会社に対する投資については,原則として持分法を適用しなければならない。
*持分法会計基準4項,6項
『純額連結(one-line consolidation)と呼ばれることがある。一行連結とも』(桜井23版,377頁)

◎復習しましょう!
1.CF計算書
2.一株当たり当期純利益
3₋1.金融商品会計①‐⑦
3₋2.金融商品会計⑧‐⑭
3‐3.金融商品会計⑮‐⑳
4-1.棚卸資産会計①‐⑥
4-2. 棚卸資産会計⑦‐⑫
5‐1.収益認識会計①‐⑦
5₋2.収益認識会計⑧-⑫
6.リース会計①‐⑥
7.固定資産の減損①‐⑩
8.ソフトウェア会計①‐⑥
9.研究開発費会計①‐⑦
10.繰延資産①‐⑦
11.退職給付会計①‐⑥
12.資産除去債務①‐⑥
13.税効果会計①‐⑥
14.ストック・オプション会計と役員賞与(報酬)会計①‐⑧
15.自己株式①‐⑦
16.準備金の減少①‐⑥
17.純資産の部の表示①‐⑦
18.株主資本等変動計算書①‐⑤
19-1.企業結合会計①‐⑦
19-2.企業結合会計⑧‐⑫
20.事業分離会計①‐⑤

〈執筆者紹介〉
長島 正浩
(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師,会計事務所(監査法人),証券会社勤務を経て,専門学校,短大,大学,大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後,松本大学松商短期大学部准教授を経て,現在に至る。この間35年以上にわたり,簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

*本連載は,『会計人コース』2020年1月号付録『まいにち1問ポケット財表理論』に加筆修正したものです。


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