長島 正浩(茨城キリスト教大学教授)
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Q1(空欄補充)
税効果会計は,企業会計上の( ① )又は( ② )と課税所得計算上の( ③ )又は( ④ )の認識時点の相違等により,企業会計上の( ⑤ )又は( ⑥ )の額と課税所得計算上の( ⑤ )又は( ⑥ )の額に相違がある場合において,法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(法人税等)の額を適切に( ⑦ )することにより,法人税等を控除する前の( ⑧ )と法人税等を合理的に( ⑨ )させることを目的とする手続である。
A
① 収益
② 費用
③ 益金
④ 損金
⑤ 資産
⑥ 負債
⑦ 期間配分
⑧ 当期純利益
⑨ 対応
*税効果意見書一
『税効果ってどんな効果があるのかな?』
Q2(空欄補充)
税効果会計を適用しない場合には,課税所得を基礎とした法人税等の額が( ① )として計上され,法人税等を控除する前の企業会計上の利益と課税所得とに差異があるときは,法人税等の額が法人税等を控除する前の( ② )と期間的に( ③ )せず,また,将来の法人税等の支払額に対する影響が表示されないことになる。
A
① 費用
② 当期純利益
③ 対応
*税効果意見書二1
『税効果会計の必要性をみるとき,これがなかったらどんな悪影響が出るかを考える』
Q3 「法人税等」を何とみるかについては,主に2つの説(考え方)がある。その説を2つ答えなさい。
A
(1) 費用説
(2) 利益処分説
※税効果会計基準においては,法人税等を費用と捉えている。
*桜井23版,224頁
『法人税等を費用と考え,発生主義会計のもとで税金費用を税引前利益に対応させる』
Q4 税効果会計の方法としての「資産負債法」について,説明しなさい。
A
資産負債法とは,会計上の資産又は負債の金額と税務上の資産又は負債の金額との間に差異があり,会計上の資産又は負債が将来回収又は決済されるなどにより当該差異が解消されるときに,税金を減額又は増額させる効果がある場合に,当該差異(一時差異)の発生年度にそれに対する繰延税金資産又は繰延税金負債を計上する方法である。
したがって,資産負債法に適用される税率は,一時差異が解消される将来の年度に適用される税率である。
※税効果会計基準では,資産負債法を採用している。
*税効果実務指針33項(廃止済)参照
『資産・負債アプローチに立脚して,一時差異にまで拡大される』(桜井23版,226頁)
Q5 税効果会計の方法としての「繰延法」について,説明しなさい。
A
繰延法とは,会計上の収益又は費用の金額と税務上の益金又は損金の額に相違がある場合,その相違項目のうち,損益の期間帰属の相違に基づく差異(期間差異)について,発生した年度の当該差異に対する税金軽減額又は税金負担額を差異が解消する年度まで貸借対照表上,繰延税金資産又は繰延税金負債として計上する方法である。
したがって,税効果会計に適用される税率は期間差異が発生した年度の課税所得に適用された税率である。
*税効果実務指針33項(廃止済)参照
『収益・費用アプローチに立脚して,適用範囲は期間差異までとなる』(桜井23版,226頁)
Q6 繰延税金資産はなぜ資産としての性格を有するのか?
A
繰延税金資産は,将来の法人税等の支払額を減額する効果を有し,一般的には法人税等の前払額に相当するため。
*税効果意見書二2
『資産とは,過去の取引または事象の結果として,報告主体が支配している経済的資源をいう』(概念フレームワーク)
◎復習しましょう!
1.CF計算書
2.一株当たり当期純利益
3₋1.金融商品会計①‐⑦
3₋2.金融商品会計⑧‐⑭
3‐3.金融商品会計⑮‐⑳
4-1.棚卸資産会計①‐⑥
4-2. 棚卸資産会計⑦‐⑫
5‐1.収益認識会計①‐⑦
5₋2.収益認識会計⑧-⑫
6.リース会計①‐⑥
7.固定資産の減損①‐⑩
8.ソフトウェア会計①‐⑥
9.研究開発費会計①‐⑦
10.繰延資産①‐⑦
11.退職給付会計①‐⑥
12.資産除去債務①‐⑥
〈執筆者紹介〉
長島 正浩(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師,会計事務所(監査法人),証券会社勤務を経て,専門学校,短大,大学,大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後,松本大学松商短期大学部准教授を経て,現在に至る。この間35年以上にわたり,簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。
*本連載は,『会計人コース』2020年1月号付録『まいにち1問ポケット財表理論』に加筆修正したものです。