【連載】<税理士試験簿記論&財務諸表論> 敏腕講師・かえる先生の独学合格ロードマップ2023(最終回) 


諸角 崇順

【編集部から】
会計人コースWebの記事を解析すると、税理士試験・会計士試験ともに独学での学習法についてPV(ページビュー)が非常に多いです。でも、独学の場合「いつ・何を・どう勉強していけばよいか」を自分自身で考えて実行しなければならず、この点が受験生の大きな悩みどころではないでしょうか。
そこで、本連載では、敏腕講師のかえる先生(諸角崇順先生)に、主に独学で税理士試験の簿記論・財務諸表論の学習をスタートする方、もしくは前回の試験までは専門学校を受講していたものの次回は独学で再チャレンジしようという方に向けて、毎月1回、その時々で実践すべき学習内容を提示して合格をナビゲートしていただきます(毎月1日更新予定・23年8月1日まで全11回予定)。
独学の方はもちろん、専門学校の講義を受講している方も是非参考にしていただければと思います。
それでは今月の学習ナビゲーション、スタート!

いざ、本試験会場へ!!

みなさん、こんにちは! 昨年10月から始まった本連載『独学合格ロードマップ2023』も、いよいよ最終回となりました。最後までお付き合いくださった受験生の皆さま、本当にありがとうございました。

1週間後、いよいよ税理士試験となります。
「あれが出たらどうしよう??」
「この論点もしておいた方がいいかな??」
不安は尽きないと思いますが、ここまでくれば「自」分を「信」じて、「自信」を持って本試験に臨んでくださいね!

本試験会場にもっていくもの

受験票受験票をスマホで写真に撮っておきましょう(試験会場について、掲示板で自分の席を探すとき、わざわざカバンから受験票を出さずに済む)。
筆記用具・黒又は青のボールペン(最低でも3本以上。机に傾斜があるかもしれないのでコロコロ転がらないようにしておきましょう)
・(使う方は)修正テープ2個
※必要に応じてマーカーなど
電卓(可能であれば同じ機種を)2台 電池切れは確認してありますか?
時計スマートウォッチは不可です。
※電子音の鳴らないもの
※試験会場の正面に時計があるとは限りません。
飲み物、軽食飲み物はできるだけ常温のもの
※簿記論開始前に口をつけたペットボトル飲料は、財務諸表論開始前(お昼ごはん時)に飲み直さないようにしましょう(その都度、買い直す)。
※食事は傷みにくいものを少しだけ持っていきましょう。間違っても、自分で作ったお弁当を持っていくのは避けましょう(食中毒の可能性)。
※ちなみに試験会場近くのコンビニの食料は、一瞬で蒸発します。
教材使い慣れた教材を1、2冊。
※「本試験日は軽く確認するだけで充分、という状態にしておいてください」という意味です。
現金何があるかわからないので多めに持っていきましょう!
※1万円札、5千円札は避けましょう。
※通信障害で電子マネーが使えなくなる可能性もあるので「キャッシュ」を準備しておきましょう。
上着何か羽織れるもの。
※自分の席がエアコンの吹き出し口の真横(真下)ということもありえます。
※前ボタンで留められるタイプのものにしておかないと、試験時間中の着脱ができず不便です。
その他ハンドタオル(ハンカチ)、ティッシュ、常備薬、冷却スプレー、着替え、除菌シート、イヤホン、コンタクトの方はメガネ、髪留め、虫刺されスプレー など。

 帰りの切符等は、朝のうちに買っておきましょう。

本試験会場にて

自分の席に着いたら、まず、机を揺らしましょう。

大学が試験会場だと机はしっかりと床に固定されているのでガタガタすることはないと思いますが、ホールみたいなところの机(もしくは床)は当たりはずれがあります。

机がガタガタするようなら試験官に申し出て机を交換してもらうか、机の脚に紙などをかませてもらいましょう。

簿記論終了後、財務諸表論を受験される方は、知り合いと簿記論の答え合わせなどせず、(まわりに迷惑がかからない程度の音量で)イヤホンなどで音楽を聴きながら、財務諸表論の最終確認をしてください。お昼ごはんは食べすぎないように。

本試験後

できるだけ復元答案(特に財務諸表論。「理論でどんな内容を書いたのか」を自宅に帰ってから書き出しておく)を作成して、大手専門学校が後日、ネットで発表する解答速報を参考に自己採点してください。

計算については、計算用紙に下書きをしている(仮計を作成している)方は、それを試験会場から持ち帰ってくるだけでよいのですが、下書きをしていない方(仮計を作成していない方)は、計算のほうも復元答案を作成しておきましょう。

税理士試験の合格発表は11月末ですので、ある程度、精度の高い自己採点に基づく合否判定をしておかないと、次に法人税法や所得税法のような負担の大きい科目に進むのか、国税徴収法や酒税法などのように負担の少ない科目に進むのか、決めることが難しくなるからです。

本試験後、すぐに開放的な気持ちになると思いますが、「復元答案を作るまでが本試験」だと思って、本試験当日になんとか復元答案を作っておくようにしてください。

贈る言葉

本試験までの1週間。最後の苦しみに打ち克つために次の言葉を贈ります。

『少にして学べば、則ち壮にして為すことあり

 壮にして学べば、則ち老いて衰えず

 老いて学べば、則ち死して朽ちず。』

佐藤一斎「言志四録」の一節です。

佐藤一斎という人は、かの西郷隆盛も心酔した幕末の儒学者で、昌平坂学問所(後の東京大学)の所長だった人です。

言葉の意味としては、「若い頃勉強しておけば、30、40歳代において、何か大きな事を成し遂げるであろう。30、40歳代において、しっかり勉強しておけば、年をとってからも若い者と対等に活躍できるであろう。年をとってからの勉強は、体は死してもなお精神を生き続けさせるであろう。」といった感じです。

佐藤一斎の言葉の本当の答えはみなさんの心の中にあります。

くじけそうになる心を奮い立たせてください。

人生の中で「死ぬほど勉強した」という時期があることは、後々の大きな支えとなってくれます。

ちなみに西郷隆盛は佐藤一斎の言志四録の影響を受け、こんなことも言っています。

『人を相手にせず、天を相手にしなさい。    

 己を尽くし、人を咎めず、自分の足りなさこそ恥ずべきである。』

ここまで来れば、他人との闘いではなく、自分との闘いです。

勉強しない(勉強できない)理由はいっぱいあると思います。しかし、今はもう勉強するしかありません。精一杯やったのなら、あとは天に祈りましょう。

きっと、合格できるはずです。

人は「過去」や「未来」を生きることはできません。「今」しか生きることができません。

そのかけがえのない「今」を「未来」において「過去」として振り返ったとき、決して後悔することのないよう「今」を必死にがんばってください。

応援しています!

<執筆者紹介>
諸角 崇順
(もろずみ・たかのぶ)
大学3年生の9月から税理士試験の学習を始め、23歳で大手資格学校にて財務諸表論の講師として教壇に立つ。その後、法人税法の講師も兼任。大手資格学校に17年間勤めた後、関西から福岡県へ。さらに、佐賀県唐津市に移住してセミリタイア生活をしていたが、さまざまなご縁に恵まれ、2020年から税理士試験の教育現場に復帰。現在は、質問・採点・添削も基本的に24時間以内の対応を心がける資格学校を個人で運営している。
ホームページ:「かえるの簿記論・財務諸表論」

【連載バックナンバー】
第1回(10月の学習ナビ)
第2回(11月の学習ナビ)
第3回(12月の学習ナビ)
第4回(1月の学習ナビ)
第5回(2月の学習ナビ)
第6回(3月の学習ナビ)
第7回(4月の学習ナビ)
第8回(5月の学習ナビ)
第9回(6月の学習ナビ)
第10回(7月の学習ナビ)
第11回(8月の学習ナビ)

【書籍紹介】

『税理士試験 財務諸表論 直前予想問題集』(中央経済社)
本記事の執筆者である諸角崇順先生が運営する「かえるの財務諸表論」出題の予想問題も掲載した、他流試合にピッタリな問題集です。
ぜひ「初見の問題」を解くトレーニングにご活用ください!
姉妹書に『税理士試験 簿記論 直前予想問題集』もあります。
『次こそ!税理士試験に合格する方法』(中央経済社)
本記事の執筆者である諸角崇順先生の学習アドバイスをはじめ、合格体験記や独立開業日誌など会計人コースWebの記事に加筆・編集をしてまとめた1冊です。
ぜひご覧ください!

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