連載 『会計士・税理士・簿記検定 財務会計のセンスが身につくプチドリル』(第178回)ー 企業結合会計⑬


長島 正浩(茨城キリスト教大学教授)

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問題

なぜのれんについて規則的な償却を行う方法を採用したのか?

解答・解説

「規則的な償却を行う」方法によれば,企業結合の成果たる収益と,その対価の一部を構成する投資消去差額の償却という費用の対応が可能になる。のれんは投資原価の一部であることに鑑みれば,投資原価を超えて回収された超過額を企業にとっての利益とみる考え方とも首尾一貫している。さらに,取得したのれんは時間の経過とともに自己創設のれんに入れ替わる可能性があるので,取得したのれんの非償却による自己創設のれんの実質的な資産計上を防ぐことができ,「規則的な償却を行う」方法に一定の合理性があると考えられる。

*企業結合会計基準105項
『 “規則的な償却を行う” のは日本だけ。コンバージェンスの推進? あれっ? ここは譲れないか…』

◎復習しましょう!
1.CF計算書
2.一株当たり当期純利益
3₋1.金融商品会計①‐⑦
3₋2.金融商品会計⑧‐⑭
3‐3.金融商品会計⑮‐⑳
4-1.棚卸資産会計①‐⑥
4-2. 棚卸資産会計⑦‐⑫
5‐1.収益認識会計①‐⑦
5₋2.収益認識会計⑧-⑫
6.リース会計①‐⑥
7.固定資産の減損①‐⑩
8.ソフトウェア会計①‐⑥
9.研究開発費会計①‐⑦
10.繰延資産①‐⑦
11.退職給付会計①‐⑥
12.資産除去債務①‐⑥
13.税効果会計①‐⑥
14.ストック・オプション会計と役員賞与(報酬)会計①‐⑧
15.自己株式①‐⑦
16.準備金の減少①‐⑥
17.純資産の部の表示①‐⑦
18.株主資本等変動計算書①‐⑤
19-1.企業結合会計①‐⑦
19-8.企業結合会計⑧
19-9.企業結合会計⑨
19-10.企業結合会計⑩
19-11.企業結合会計⑪
19-12.企業結合会計⑫

〈執筆者紹介〉
長島 正浩
(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師,会計事務所(監査法人),証券会社勤務を経て,専門学校,短大,大学,大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後,松本大学松商短期大学部准教授を経て,現在に至る。この間35年以上にわたり,簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

*本連載は,『会計人コース』2020年1月号付録『まいにち1問ポケット財表理論』に加筆修正したものです。


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