村上翔一(敬愛大学准教授)
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問題
有形固定資産の取得原価から減価償却等を控除した金額が期末の評価額として貸借対照表価額となる。しかし、資産の( ア )が低下し、資産への投資額の回収が見込めなくなった場合、( イ )を反映させるように帳簿価額を減額する処理を行う。この処理を( ウ )処理と呼び、( エ )の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額である。
解答・解説
ア 収益性
イ 回収可能性
ウ 減損
エ 取得原価主義
固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書、三・1、三・3
従来、耐用年数の短縮や残存価額の修正に基づいて一時的に行われる処理として臨時償却が存在した。臨時償却と減損の違いは、対象となる固定資産の収益性の低下の存在である(固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書、三・2)。なお、臨時償却は、新たな事実の発生に伴う見積りの変更を将来の期間に反映させる方法(プロスペクティブ方式)の採用により、廃止された(会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準、par.57)。
◎復習しましょう!(バックナンバー)
第1回 棚卸資産①
第2回 棚卸資産②
第3回 棚卸資産③
第4回 棚卸資産④
第5回 棚卸資産⑤
第6回 有価証券①
第7回 有価証券②
第8回 有価証券③
第9回 有価証券④
第10回 有価証券⑤
第11回 有形固定資産①
第12回 有形固定資産②
第13回 有形固定資産③
第14回 有形固定資産④
第15回 有形固定資産⑤
【執筆者紹介】
村上 翔一(むらかみ しょういち)
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程修了(博士(経営学))。明治大学専門職大学院会計専門職研究科教育補助講師、敬愛大学専任講師を経て現在敬愛大学経済学部准教授。
<主な論文>
「保有者における電子マネーの会計処理」『簿記研究』(日本簿記学会)第2巻第1号、2019年(日本簿記学会奨励賞)
「ICOに関する会計処理」『敬愛大学研究論集』第98号、2020年
「ブロックチェーン技術の進展と簿記」『AI時代に複式簿記は終焉するか』(岩崎勇編著)、税務経理協会、2021年
「コンセンサス・アルゴリズムの観点に基づく暗号資産の会計処理―マイニング、ステーキング、ハーベスティングの理解を通じて―」『敬愛大学研究論集』第100号、2021年 他
*本連載は、「会計人コース」2019年11月号「特集:勉強したくなる「習慣化」のススメ 7日間理論ドリル」を大幅に加筆修正したものです。