この連載講座では、「日商簿記では学ばないけれど、税理士試験の簿記論・財務諸表論では必要になる論点」を学習します。
簿記論・財務諸表論の学習は広範囲にわたるため、日商簿記では深く学んでいない論点も対策しなければなりません。
税理士を目指して簿記論・財務諸表論の学習を始めた方、「いずれは税理士に」と考えている方は、この連載講座を使って効率的に学習を進めていきましょう。
千葉商科大学基盤教育機構専任講師 渡邉 圭
―商品売買編―
1 学習済項目と未学習項目の整理
日商2級までの学習項目 | 分記法・三分法・売上原価対立法 |
未学習項目 | 総記法・小売棚卸法・売価還元法 |
2 本試験の出題傾向
毎年、本試験で問われています。
仕訳、総勘定元帳から金額の推定問題、総合問題など日商簿記検定よりも出題形式が多様です。
本問以外の問題集などを使い、簿記論の論点を中心に学習することで、財務諸表論もカバーすることができます。
第8回 総まとめ2:見本品費
商品を見本として取引先に無償で提供する場合があります。
商品売買の記帳方法を三分法で記帳している場合、次のように仕訳を行います。
借方科目 | 金 額 | 貸方科目 | 金 額 | |
仕訳例 | 見本品費 | ××× | 仕入 | ××× |
損益計算書には、当期商品仕入高を総額で表示しますので、そこから見本品として商品を消費した金額を表示して、売上原価から差引きます。
差引いた分は見本品費として、販売費及び一般管理費に表示します。
練習問題を通じて、金額の表示箇所と加算・減算を考えながら演習してみましょう。
<練習問題>
次の資料に基づいて、損益計算書(一部)及び貸借対照表に表示される商品の金額を答えなさい。なお、会計期間はX2年4月1日からX3年3月31日である。
<資料>
当社は甲商品を販売しており、商品の評価方法は月次総平均法である。決算整理前残高試算表の繰越商品は前期末残高である。
(1)甲商品
2月末の棚卸高は、20,200個(375円)で、3月中の受払は以下のとおりである。
月 日 | 摘要 | 仕入単価 | 受入(個) | 払出(個) |
3月10日 | 売上 | ― | ― | 8,250個 |
3月14日 | 仕入 | 360円 | 16,200個 | ― |
3月19日 | 売上 | ― | 9,000個 | |
3月25日 | 仕入 | 380円 | 13,600個 | ― |
3月30日 | 売上 | ― | 10,250個 | |
3月31日 | 売上 | ― | ― | 500個 |
3月末の実地棚卸数量は20,900個であり、見本品として3月に100個を無償で提供したが、会計処理も受払記録もされていなかった。それ以外は不明のため棚卸減耗損として処理する。甲商品に収益性の低下は認められなかった。
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