落ちこぼれ税理士受験生がUSCPAになって年収アップした話
- 2025/6/27
- 就職・転職

たけぞう(米国公認会計士・30代中盤)
はじめに
はじめまして。米国公認会計士(ワシントン州)のたけぞうです。
私は20代前半に、税理士を目指し3年間勉強していました。
しかし、1科目も受からないという落ちこぼれぶり。
途中で、米国公認会計士(以下、USCPA)に切り替えました。
結果、1年半でに合格し、転職してキャリアアップすることができ、年収も2倍以上アップしました。
現在は、M&A業務という本業の傍ら、私と同じように勉強や年収で悩んでいる方に向けて、USCPA情報サイト「迷ったらUSCPA!」を運営しています。
ここでは、私の体験記を執筆させていただきます。
やや珍しい経歴ですが、試験に苦しみ、進路に悩む方のお役に立てば幸いです。
銀行に就職も1年で退職。挽回のため税理士を目指す
私は新卒で北陸の地方銀行に入行しました。
しかし、営業ノルマや昭和体質についていけず、親に反対されながらも1年で退職しました。
その後、「税理士になって独立開業したい、周りに凄いと思われたい」と会計事務所に転職しました。
そして、働きながら税理士試験に挑戦します。
税理士試験は3年間で科目合格ゼロ
3年間もの間、主に簿財を学習していましたが、科目合格はゼロでした。
今振り返ると、合格できなかった理由が思い当たります。
・最初の2年は独学だった
・学習量が圧倒的に足りなかった(問題は3回くらい解けばOKと考えていた)
・復習に適したタイミングを意識していなかった(忘却曲線について意識していなかった)
親に反対されながら銀行を辞めて税理士を目指したのに、全く結果が出ません。
これには、焦りと自己嫌悪がピークに達しました。
3年目の試験の後は転職活動をしていましたが、不採用の通知と不合格通知が同時に来て、大変落ち込みました。

同級生の活躍を見て、USCPAに興味を持つ
税理士試験で結果が出ず落ち込んでいた頃、たまたま予備校の校舎でUSCPAのパンフレットを手にしました。
なんと、私の同級生の合格体験記が掲載されているではありませんか!
体験記によると、彼は大学時代に公認会計士に合格し、四大監査法人に就職し、ダブルライセンスホルダーとしてUSCPAを取得後、海外に出張しながらバリバリ働いているようでした。
自分自身との差に、とてつもなく劣等感を抱きました。
同時に、USCPAが気になり、調べてみることにしました。
税理士や公認会計士よりも比較的簡単だけど、監査法人や外資系企業など高年収の企業に転職できる資格だと知り、大変魅力的に感じました。
改めて、「自分はなぜ税理士になりたいのか」「独立したいのはなぜか」「将来どうなっていたいか」など徹底的に深堀りし、「税理士資格はあくまで自分の夢を叶える手段で、固執しなくてもよいのでは?」と気づきました。
USCPAの予備校に話を聞きに北陸から東京に行き、「もう自分にはUSCPAしかない!」と講座に申し込みました。
働きながら1年10カ月でUSCPAに合格
USCPAは、予備校代や受験料を含めると合格までに約100万円かかります(現在は講座費用が安い予備校も出てきていますが…)。
税理士試験のような失敗を絶対に繰り返さないため、以下の点に気を付けて勉強しました。
・問題集は量をこなす(最低6周、苦手な問題は8周まで)
・過去問(AICPAリリース問題)を重視する
・復習のタイミングを徹底する(翌日、1週間後、1カ月後に復習)
・1週間の時間の使い方を工夫する(土日と平日で学習内容を変える)
・頭の中に「タンス」を作るイメージで、入れた衣類(インプット)をすぐ引き出せる(アウトプット)よう整理する
結果的に、スタートから1年10カ月で全科目合格できました。
今までの苦労が報われたという気持ちで一杯でした。
四大監査法人への転職に成功
USCPA合格後は、四大監査法人に転職しました。
それまでは北陸に住んでいましたが、「都会でバリバリ働いてみたい」という気持ちがあったので、上京を決意しました。
USCPA予備校が運営するエージェントサービスを利用した転職活動では、四大監査法人のうち3法人の書類選考を通過しました。
改めて、USCPAという資格の威力を認識しました。
年収が380万から610万にアップ!
四大監査法人では、地方銀行の勤務経験があったこともあり、地方銀行を監査する金融部門に配属されました。
監査法人にいる人はみんな公認会計士ばかりです。
優秀な方しかいません。
「こんな環境でついていけるだろうか」と常に不安でした。
特に、上京したての頃は、東京での生活にも慣れるのも大変でした。
それでも、周りのメンバーに助けられながらなんとか1年経過し、年収が610万円に到達しました。
会計事務所時代は380万円だったので230万円アップです。
この頃は毎月給与明細を見るのがささやかな楽しみでした。
FASに異動し、年収900万を超える
監査法人も3年目になると、ある程度業務に慣れてきました。
監査業務は形式的な側面も多く、つまらないと感じる部分もありました。
また、周りの人たちは公認会計士ばかりで、会計知識面において劣等感がありました。
「公認会計士の人たちと何か差別化できないだろうか」「年収も今以上に稼げるキャリアはあるのだろうか」と、今後のキャリアについて考えるようになりました。
そんな中、『未来をつくるキャリアの授業』(日経ビジネス人文庫)という本に出合います。
年収が上がる業界のことや、自分のキャリアは戦略的に設計しなければならないことなどが書かれていました。
この本をきっかけに、FASという財務系コンサルティングファーム業界に興味を持ちました。
幸い、所属する監査法人グループにはFASがあり、希望してグループ内で異動しました。
異動先では、主にM&Aの財務デューデリジェンス業務に従事しました。
かなりハードでしたが、今まで経験してきた形式的な業務とは違い、アドバイザリー業務としての面白さを感じました。
専門家としても一気に成長できたと思います。
FAS2年目には、残業も多かったことから、年収は900万円を超えました。
結果、USCPA取得からの5年間で、年収が380万円から910万円までアップしました。
おわりに
現在は別の職場になりますが、引き続きM&A業務に従事しています。
落ちこぼれの税理士受験生だった私が飛躍的に年収をアップできたのは、自分の「執着心」を上手く扱えるようになったからだと思います。
もし私が、今までの自分の努力を正当化するために税理士試験に執着し続けていたら、今の年収に到達するのは10年以上かかっていたでしょう。
もし、なかなか結果が出ないのなら、「何のために資格を取得するのか」を考えてみてもいいかもしれません。
「税理士試験に合格できないと自分の人生は終わりだ」と悲観的になるくらいなら、別の方法を模索してはどうでしょうか。
逆に、USCPAではスムーズに合格できたのは、「なにがなんでも難関資格を取得したい」「周りを見返したい」という執着心のおかげです。
試験勉強中は、劣等感や自己嫌悪といったマイナスな感情をモチベーションにしていました。
実際に、この期間は学習に集中するため、友人とはほとんど連絡を取りませんでした。
皆さんも、受験中は学習以外の誘惑から強制的に離れることも必要かと思います。
「目的達成のためには手段には執着せず、達成することには執着することが大事」というのが私が得た教訓です。
本記事が、皆さんの資格取得やキャリアを検討するうえで参考になれば幸いです。
<筆者紹介>
たけぞう(米国公認会計士)
・「米国公認会計士(USCPA)」の凄さと魅力をUSCPA情報サイト「迷ったらUSCPA!(https://uscpa-self-investment.com/)」とX(https://x.com/takezo_uscpa)で発信中。
・地元の駅弁大学卒業後、地方銀行を1年で退職し、独立開業に憧れ税理士を目指すも3年間で科目合格ゼロ。
・USCPAの魅力に気づき、働きながら全科目合格。Big4監査法人に転職し金融機関の監査業務に従事する。その後FASに異動しM&Aの財務デューデリジェンス業務に従事。USCPA取得後5年間で年収380万円から910万円に到達。