【マイ・オフ・タイム】“フットワーク”軽く 今日も走る


西村和朗

はじめまして、公認会計士の西村と申します。

みなさんは何か趣味をお持ちでしょうか? 自分は人に明言できるような趣味はないのですが、学生の頃から続いている習慣の一つにランニングがあります。

なぜ走るのか? 体調や体形を整える、思考がポジティブになる、ご飯が美味しくなるなど、世に言われている運動の効果もありますが、自分の場合は「結果的に続いていたな」という感覚です。

“走り出した”きっかけは

陸上競技を始めたきっかけは、単純に足が速い子どもだったから。

「走るのが好きでたまらない!」という情動的な動機でなく,「ここなら活躍できそうだな」という合理的な理由で中学は陸上部へ入部しました。

思えばめちゃくちゃ冷静な子どもですね。

最初は短距離を走っていましたが、部内の罰ゲームで大会の1500m走に出場し、そこでまさかの優勝をしてしまったことから,長距離走へ転向しました。

あの罰ゲームがなければ今の自分はいないので、何を転機に人生が動くかわからないものです。

高校でも陸上を続けましたが、思うように成績が伸びず、高校三年生の時、教師から「会計士は儲かるぞ」と言われて会計士を目指し始めました。大学進学後は会計士の受験勉強と並行し、陸上競技サークルの活動とランニングを続けました。

なんだかんだで、完全に走ることを止めた時期はなかったように思います。受験勉強で家にこもっている間、気晴らしにランニングで外へ出たら、知らぬ間に新しい道路が完成していた、なんてこともありました。

モチベーションは駅伝

今は年一度の駅伝大会に向けてタイムを縮めることを目標とし、最低でも週に一度は時間を作って走るようにしています。

昔ほど全力ではありませんが、小さくても目標があることはモチベーションの向上につながりますし、ちょっとした楽しみを生んでくれます。

駅伝チームは高校時代の友人たちで構成されており、集まるとちょっとした同窓会になります。メンバーの多くは会計士や税理士等、同業者が多いので「最近どう?」なんて世間話の中にも意外と仕事のヒントが潜んでいます。

みなさんには大学や予備校など、同じ目標に向かって頑張る仲間はいますか? 

受験中は無我夢中で、個人の戦いに没頭する期間が長いでしょう。ですが長い目で見れば、受験生時代に知り合った人々は、いつか一緒に仕事をする可能性のある人たちです。ライバルであり仲間ですね。大事にしてください。

駅伝は会計士の仕事に似ています。

サポートしてくれる人はいても、手足を動かすのは基本的には自分一人。

つなげる相手が困らないように、その先にいるクライアントや仲間に合わせて柔軟に襷(たすき)を渡す必要があります。それぞれに任された範囲があり、その部分は責任を持って担う。そういうものだと思います。

こだわらない生き方も大事

振り返ってみると状況や人の言葉に流されてきたことのほうが多いですが、流されるのも案外悪くないものです。

長期ビジョンを掲げることに偏ると、予測不可な出来事が起こった時に対処しづらいですし、やりたい仕事に執着するとシンプルにつらいです。

同じことをやっていると飽きますし、なにより成長のきっかけを失いかねないですからね。趣味も仕事も一つのことに固執しすぎないという選択肢も大事ですよ。

……などと偉そうに言ってみたものの、自分も深く考えていません。受験も仕事も趣味も人生も、運が左右する要素は大きいので、フットワーク軽くその時々の自分を楽しんでみることをおすすめします。

〈執筆者紹介〉
西村 和朗(にしむら・かずあき)
公認会計士・税理士
2007年4月、新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に入所。製造業・小売業などの会計監査に従事。その後、準大手税理士法人、上場企業の経営企画部を経て、2018年7月に独立開業し、現在は主に法人向けにコンサルティングサービスを提供している。

※ 本稿は、『会計人コース』2020年5月号に掲載した記事を編集部で再編成したものです。


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