【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
宮崎で障害年金をメインに開業
宮崎で社労士をしている⽥中晶⼦と申します。
障害年⾦をメインに扱う社労士事務所を令和2年10月に開設しました。
早いもので4年が経過しました。
私⾃⾝も、病気(強直性脊椎炎)で、障害年⾦2級を受給しています。
病気による手術や自身の障害年金の請求等の経験が、障害年金に携わるきっかけになりました。
現在、障害年金をより多くの方に知ってもらいたいと思い、少しずつではありますが活動しています。
治療がひと段落した段階で開業
私が開業に至った経緯は、当初から積極的に開業しようと思っていたわけではありません。
まったくの成り行きでした。
社会保険労務士の試験に合格した時は、資格をもとに就職したいと考えていました。
試験の合格後、まったくの実務未経験だったので、経験を積むために、社労士事務所に勤務しました。
社労士事務所では、一通りの給与計算や手続きの仕事を経験しました。
勤務して5年程たって、開業するか、就職するか悩んでいた時に、社労士会経由で年金事務所の窓口の仕事を募集している事を知り、開業登録をする事にしました。
開業登録後、週に2回程度、年金事務所の窓口で年金に関する相談や受付の業務に携わりました。
徐々にいろんな仕事をしていこうと思っていた矢先、持病の影響で歩くことも難しくなりました。
複数回手術して、なんとか歩けるようになりました。
1年程して、ようやく治療がひと段落したので、障害年金をメインに扱う社労士事務所を開業する事にしました。
開業時にやったこと
ホームページの開設
社労士事務所を開業するにあたり、まず事務所のホームページを開設することにしました。
障害年金のご相談は、個人のお客様がメインになるためです。
ホームページを自分で調べながら作るのは難しい点や長期的なセキュリティ対策等を考えて、作成は専門の企業に依頼しました。
ただ、ホームページの作成を専門の企業にお任せするといっても、どのような内容にするか、および文章は、自身で決めなければなりません。
そこでまず、障害年金をメインにしている他の社労士のホームページをいくつか参考にしながら、自身の事務所のホームページをイメージをしていきました。
次に、あいさつ文を考える・料金体系を考える・・・という作業をしました。
その作業は、意外に時間がかかりました。
ホームページが完成してインターネット上で公開するまで、最初に依頼してから数カ月かかりました。
ホームページのアクセス数を増やすためにSNS等で情報発信
さて、ホームページが公開されたら、ホームページを、より多くの人に見てもらうようにする必要があります。
ホームページを公開しても、検索したらすぐに上位で表示され、多くの方に見てもらえるわけではありません。
アクセス数が増えないと、検索しても上位のページに表示されず、あまり閲覧されません。
そこで、X(旧Twitter)で情報を発信し、自身のホームページのリンクを載せ、より多くの人に、ホームページをみてもらう事にしました。
アカウントを作成し、毎日、情報の発信を続けました。
現在はフォローしてくれる方が千人を超えています。
ホームページの拡充
ホームページの開設当初から、週に1回程度、障害年金等の情報を発信しています。
今年からは、ホームページに実績紹介の欄を追加しました。
それらの成果もあり、アクセス数が徐々に増えてきています。
検索して上位に表示されるようになったことに伴い、問い合わせも増えてきました。
DMの送付
障害年金をメインに扱う事務所なので、開業当初から福祉事業所等をターゲットにDMを送付してきました。
障害年金の相談が来ることを想定してDMを送付していましたが、事業者から就業規則作成等の労務関係の相談が来ることも多いです。
DMをきっかけに顧問契約をし、定期的に関与している事業所もあります。
おわりに
残念ながら、ホームページもDMも、始めたらすぐに仕事の依頼が来るわけではありません。
しばらくは、まったく反応がなく、仕事がない暇な状況が続きました。
その間、ホームページに掲載する原稿を書き溜めたり、障害年金に関するレジュメをパワーポイントで作成していましたが、現在、それらが非常に役にたっています。
特に、障害年金に関するレジュメは、福祉事業所の方に障害年金のお話をする際に欠かせません。
何が役に立つかはわからないものです。
おかげさまで、本格的に開業して5年目になりました。
障害年金のご相談は、地元のみならず、全国から受けています。
パソコンとインターネットがあれば、障害年金の手続きに関する書類のやりとりはスムーズにできます(なお、障害年金の請求は全国どの年金事務所でも対応可能です)。
最近では、過去に障害年金の代理請求の依頼があった方や事業所からの紹介で新たな依頼が来ています。
zoomがあるので、地元に限らず、全国の様々な方々と繋がる事ができるのが楽しいです。
複数名で集まって本を出したり(ある先生とXで繋がったおかげです)、他県の方々と「難病しおり」を作成したり、県を跨いで活動しています。
社会保険の適用拡大やパワハラについて事業所に話をする機会もいただきました。
このような経験や人との繋がりができるのも、社労士の資格を取得して開業したからこそであると思っています。
今後も、いただいたご縁を大事に、仕事をしていきたいと思います。
<プロフィール>
田中晶子(たなか・あきこ)
宮崎の社会保険労務士(特定社労士)。田中社会保険労務士事務所代表。
令和2年10月に障害年⾦の代理請求業務等を行う事務所を開設し、5年。病気(強直性脊椎炎)で障害年⾦2級を受給。病気による手術や自身の障害年金の請求等の経験が、障害年金に携わるきっかけ。障害年金をより多くの方に知ってもらうため活動を続ける。
ホームページ:https://roumu-tanaka.jp/
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