連結会計の仕訳に強くなる超基礎トレーニング【第6回】成果連結:債権債務の相殺消去(資金取引)、期末貸倒引当金の調整


関口高弘
(公認会計士)

【編集部より】
会計人コースWebの読者アンケートによると、「連結会計」をマスターしたいという声がちらほら。日商簿記2級でも定番論点の一つとなり、会計士・税理士試験など会計系資格の合格を目指す人にとって避けて通ることのできない論点です。
そこで、本連載では、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』の著者である関口高弘先生(公認会計士)に、「連結会計」の仕訳問題を週1回のペースで出題していただきます(毎週金曜日掲載予定)。
本連載で出題する問題は、連結会計に関する日商簿記2級レベルのインプット学習が一通りできた人を対象に、日商簿記1級や税理士試験・公認会計士試験にステップアップを目指す人にとって「土台」となる内容を想定しています。なお、毎回のテーマによって出題数は変動します。
もし本連載でつまずいた問題があれば、もう一度テキストでしっかり復習しましょう!

「本連載のねらい」はコチラをご覧ください。

さらに問題を解きたい方は、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』をチェック!

今回のポイントー成果連結:債権債務の相殺消去(資金取引)、期末貸倒引当金の調整

今回のテーマについて、以下のポイントを確認して仕訳問題を解いてください。

Point1.債権債務の相殺消去(資金取引)

連結財務諸表は企業集団と連結外部との取引を表示するものであるため、連結財務諸表に計上される取引や債権債務は連結外部との取引によって生じたものに限定されます。そのため、連結会社間の資金取引(金銭の消費貸借取引)から生じた受取利息や支払利息貸付金や借入金が存在する場合には、連結決算上、これを相殺消去する必要があります。
なお、相殺消去の対象となる債権債務には、当該資金取引から生じた経過勘定(前払費用、未収収益、前受収益、未払費用)が含まれます。

Point2.貸倒引当金の調整

連結会社相互間の債権債務は期末残高を相殺消去しますが、相殺消去した債権(貸付金、未収収益等)に個別財務諸表上、貸倒引当金を設定している場合、債権が消去される以上、対応する貸倒引当金を減少させる必要があります。

問題(全3問)

下記の各取引について仕訳しなさい。なお、勘定科目は、設問ごとに最も適当と思われるものを選ぶこと。
(なお、スマホでご覧の方は「画面をヨコ」にすると仕訳や表が見切れないのでオススメです。)

問1

東京商事株式会社は、×5年度中に貸付期間1年で、大阪商事株式会社に¥600の貸付けを行った。×5年度中の当該貸付金に係る受取利息は¥16であった。受取利息のうち、大阪商事株式会社から受け取った金額は¥12であり、残額は翌年度に受け取ることになっている。なお、東京商事株式会社は、×4年度末に大阪商事株式会社の発行済株式数の80%を取得して支配を獲得している。×5年度末の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

利益剰余金未払利息受取利息非支配株主持分
短期貸付金短期借入金支払利息未収利息

解答

(借)短期借入金600 (貸)短期貸付金600 
(借)受取利息16 (貸)支払利息16 
(借)未払利息4 (貸)未収利息4*1

*1 貸付金に係る受取利息16-利息受取額12=4

問2

東京商事株式会社(3月決算)は、×5年10月1日に貸付期間1年、利率年10%、利払日は年1回(9月末)で、大阪商事株式会社に¥1,000の貸付けを行った。東京商事株式会社は、短期貸付金及び未収利益の期末残高に対し、貸倒実績率4%で貸倒引当金を設定している。なお、東京商事株式会社は、×4年度末に大阪商事株式会社の発行済株式数の90%を取得して支配を獲得している。×5年度末(×6年3月31日)の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

貸倒引当金繰入未払利息受取利息貸倒引当金
短期貸付金短期借入金支払利息未収利息

解答

(借)短期借入金1,000 (貸)短期貸付金1,000 
(借)受取利息50*1(貸)支払利息50 
(借)未払利息50 (貸)未収利息50*1
(借)貸倒引当金42*2(貸)貸倒引当金繰入42 

*1 1,000×利率10%×6ヶ月(×5年10月1日~×6年3月31日)/12ヶ月=50
*2(短期貸付金1,000+未収利息50)×貸倒実績率4%=42

問3

東京商事株式会社(3月決算)は、×5年6月1日に貸付期間5年、利率年6%、利払日は年2回(5月末と11月末)で、大阪商事株式会社に¥1,000の貸付けを行った。東京商事株式会社は、長期貸付金の期末残高に対し、貸倒実績率3%で貸倒引当金を設定している。なお、東京商事株式会社は、×4年度末に大阪商事株式会社の発行済株式数の80%を取得して支配を獲得している。×5年度末(×6年3月31日)の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

貸倒引当金繰入未払利息受取利息貸倒引当金
長期貸付金長期借入金支払利息未収利息

解答

(借)長期借入金1,000 (貸)長期貸付金1,000 
(借)受取利息50*1(貸)支払利息50 
(借)未払利息20 (貸)未収利息20*2
(借)貸倒引当金30*3(貸)貸倒引当金繰入30 

*1 1,000×利率6%×10ヶ月(×5年6月1日~×6年3月31日)/12ヶ月=50
*2 1,000×利率6%×4ヶ月(×5年12月1日~×6年3月31日)/12ヶ月=20
*3  長期貸付金1,000×貸倒実績率3%=30

今回のトレーニングは以上です!
次回は6月2日(金)に公開予定です。それまでにしっかり今回の復習をしておきましょう!

【執筆者紹介】
関口 高弘(せきぐち・たかひろ)
1976年5月神奈川県生まれ。1998年10月公認会計士試験合格。1999年3月中央大学商学部会計学科卒業、2001年3月中央大学大学院商学研究科博士前期課程修了。公認会計士試験合格後、大手監査法人で上場企業を中心とした会計監査に従事。2002年4月公認会計士登録。日商簿記検定試験(商業簿記・会計学)、税理士試験(簿記論・財務諸表論)、公認会計士試験(財務会計論)の受験指導歴17年。現在は、中央大学経理研究所専任講師、中央大学商学部客員講師、朝日大学経営学部非常勤講師、高崎商科大学商学部特命講師他を務める。

<連載バックナンバー>
【第2回】資本連結:支配獲得日の会計処理①
【第3回】資本連結:支配獲得日の会計処理②
【第4回】資本連結:支配獲得後の会計処理①
【第5回】資本連結:支配獲得後の会計処理②
【第6回】成果連結:債権債務の相殺消去(資金取引)、期末貸倒引当金の調整
【第7回】成果連結:債権債務の相殺消去(ダウン・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第8回】 成果連結:期末未実現損益の消去(ダウン・ストリーム)
【第9回】成果連結:債権債務の相殺消去(アップ・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第10回】 成果連結:期末未実現損益の消去(アップ・ストリーム)
【第11回】 資本連結:開始仕訳①
【第12回】 資本連結:開始仕訳②株主資本等変動計算書の勘定科目
【第13回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(ダウン・ストリーム)
【第14回】成果連結:前期末未実現損益の消去・実現(ダウン・ストリーム)
【第15回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(アップ・ストリーム)

<もっと問題が解きたい人へオススメ問題集>

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(関口高弘 著・中央経済社)
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