連結会計の仕訳に強くなる超基礎トレーニング【第1回】本連載のねらい


関口高弘
(公認会計士)

【編集部より】
会計人コースWebの読者アンケートによると、「連結会計」をマスターしたいという声がちらほら。日商簿記2級でも定番論点の一つとなり、会計士・税理士試験など会計系資格の合格を目指す人にとって避けて通ることのできない論点です。
そこで、本連載では、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』の著者である関口高弘先生(公認会計士)に、「連結会計」の仕訳問題を週1回のペースで出題していただきます(毎週金曜日掲載予定)。
本連載で出題する問題は、連結会計に関する日商簿記2級レベルのインプット学習が一通りできた人を対象に、日商簿記1級や税理士試験・公認会計士試験にステップアップを目指す人にとって「土台」となる内容を想定しています。なお、毎回のテーマによって出題数は変動します。
もし本連載でつまずいた問題があれば、もう一度テキストでしっかり復習しましょう!

「本連載のねらい」はコチラをご覧ください。

さらに問題を解きたい方は、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』をチェック!

本連載のねらい

連結会計の重要性

多くの企業では、親会社の下に複数の子会社を有することで企業集団を構成し、企業グループとして経営活動を行っています。

そして、このような企業集団を経済的に単一の組織体とみなして、その集団全体の財政状態及び経営成績等を表す連結財務諸表を作成することが、企業集団に係る適切な実態を表すことになると考えられています。

そのため、連結財務諸表に基づき、企業集団の情報を投資家をはじめとした財務諸表の読み手に提供することが有用であり、このような観点で連結財務諸表は個別財務諸表に勝るものであり、その重要性は非常に高いものであります。

実際の会計実務においても上場企業等で連結財務諸表の作成能力がある人材は重宝されるとともに、株式投資等を行う投資家においても、投資先の企業の状況を理解するためには連結財務諸表を分析できる能力が必要となってきます。

本連載で身につける力

以上のような連結財務諸表の重要性を裏付けるように、2017年より日商簿記検定2級(商業簿記)でも連結会計が試験範囲となり、日商簿記検定1級では、商業簿記か会計学でほぼ毎回何らかの形で連結会計に関する出題がなされています。

また、公認会計士試験(財務会計論)においても、短答式試験と論文式試験の両方で、毎回、連結財務諸表に関する総合問題が出題されています。

さらに、税理士試験(簿記論・財務諸表論)や全経簿記能力検定上級(商業簿記・会計学)においても、出題頻度は日商簿記検定1級や公認会計士試験ほどではないですが、連結会計が出題されることがあります。

日商簿記検定2級における連結会計の出題形式は、連結精算表作成もしくは、連結財務諸表作成の形式で出題されることが多いですが、このような総合問題で高得点をとるには、前提として日商簿記検定2級の出題範囲である連結修正仕訳について、正確に仕訳ができることが必要です。

今後、日商簿記検定1級や税理士試験、公認会計士試験にチャレンジしてゆく上でも、日商簿記検定2級における基本的な連結修正仕訳をしっかりマスターしていることが重要であるため、この連載では、日商簿記検定2級の連結会計における連結修正仕訳を網羅的に確認していくことを目的とします。

連結会計の基礎

連結財務諸表とは

「連結財務諸表に関する会計基準」によると、「連結財務諸表は、支配従属関係にある2つ以上の企業からなる集団(企業集団)を単一の組織体とみなして、親会社が当該企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を総合的に報告するために作成するものである。」とされています。

企業は個々の会社として独立に存在しますが、親会社とその支配下にある子会社がグループとなり企業集団を形成し、企業グループとして経済活動を営んでいる場合が多く、企業集団を構成する個々の会社を総合して1つの会計単位として取扱い、企業集団としての財務諸表である連結財務諸表を作成することが経済的な実態に合致しているといえます。

連結財務諸表の種類

連結財務諸表は、「連結貸借対照表」、「連結損益計算書」、「連結株主資本等変動計算書」、「連結包括利益計算書」、「連結キャッシュ・フロー計算書」及び「連結附属明細表」から構成されますが、日商簿記検定2級で出題の対象となるのは、「連結貸借対照表」、「連結損益計算書」、「連結株主資本等変動計算書」の3つです。

連結の範囲

連結財務諸表に含められる企業の範囲を連結の範囲といいます。

親会社は、原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めることになっていますが、ある企業が連結の範囲に含められるか否かは、支配力基準という考え方に従って、その企業と親会社の間に支配従属関係が存在するか否かによって決定されます。

日商簿記検定2級では、議決権の過半数(50%超)を所有している企業が子会社に該当することが理解できればよいですが、議決権の所有割合が50%以下の場合であっても、特定の条件を満たすことで子会社となる場合があります。

連結財務諸表の作成方法

連結財務諸表は、親会社と子会社の個別財務諸表を単純合算し、連結修正仕訳を行なうことで作成します。連結修正仕訳は、連結精算表において行われる仕訳であって、親会社及び子会社の会計帳簿には一切反映しません。

日商簿記検定2級で、主として必要となる連結修正仕訳の種類は、資本連結(投資と資本の相殺消去)、成果連結(取引高と債権債務の相殺消去、貸倒引当金の調整、未実現損益の消去)になります。

以上の点をしっかり復習して、次回以降で出題する仕訳問題にチャレンジしましょう!
次回は4月21日(金)に公開予定です。

【執筆者紹介】
関口 高弘(せきぐち・たかひろ)
1976年5月神奈川県生まれ。1998年10月公認会計士試験合格。1999年3月中央大学商学部会計学科卒業、2001年3月中央大学大学院商学研究科博士前期課程修了。公認会計士試験合格後、大手監査法人で上場企業を中心とした会計監査に従事。2002年4月公認会計士登録。日商簿記検定試験(商業簿記・会計学)、税理士試験(簿記論・財務諸表論)、公認会計士試験(財務会計論)の受験指導歴17年。現在は、中央大学経理研究所専任講師、中央大学商学部客員講師、朝日大学経営学部非常勤講師、高崎商科大学商学部特命講師他を務める。

<連載バックナンバー>
【第2回】資本連結:支配獲得日の会計処理①
【第3回】資本連結:支配獲得日の会計処理②
【第4回】資本連結:支配獲得後の会計処理①
【第5回】資本連結:支配獲得後の会計処理②
【第6回】成果連結:債権債務の相殺消去(資金取引)、期末貸倒引当金の調整
【第7回】成果連結:債権債務の相殺消去(ダウン・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第8回】 成果連結:期末未実現損益の消去(ダウン・ストリーム)
【第9回】成果連結:債権債務の相殺消去(アップ・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第10回】 成果連結:期末未実現損益の消去(アップ・ストリーム)
【第11回】 資本連結:開始仕訳①
【第12回】 資本連結:開始仕訳②株主資本等変動計算書の勘定科目
【第13回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(ダウン・ストリーム)
【第14回】成果連結:前期末未実現損益の消去・実現(ダウン・ストリーム)
【第15回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(アップ・ストリーム)

<もっと問題が解きたい人へオススメ問題集>

会計士・税理士・簿記検定 連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集
(関口高弘 著・中央経済社)
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