連結会計の仕訳に強くなる超基礎トレーニング【第3回】資本連結:支配獲得日の会計処理②


関口高弘
(公認会計士)

【編集部より】
会計人コースWebの読者アンケートによると、「連結会計」をマスターしたいという声がちらほら。日商簿記2級でも定番論点の一つとなり、会計士・税理士試験など会計系資格の合格を目指す人にとって避けて通ることのできない論点です。
そこで、本連載では、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』の著者である関口高弘先生(公認会計士)に、「連結会計」の仕訳問題を週1回のペースで出題していただきます(毎週金曜日掲載予定)。
本連載で出題する問題は、連結会計に関する日商簿記2級レベルのインプット学習が一通りできた人を対象に、日商簿記1級や税理士試験・公認会計士試験にステップアップを目指す人にとって「土台」となる内容を想定しています。なお、毎回のテーマによって出題数は変動します。
もし本連載でつまずいた問題があれば、もう一度テキストでしっかり復習しましょう!

「本連載のねらい」はコチラをご覧ください。

さらに問題を解きたい方は、『連結会計の計算に強くなる3ステップ式問題集』をチェック!

今回のポイントー資本連結:支配獲得日の会計処理②

今回のテーマ「資本連結:支配獲得日の会計処理②」について、以下のポイントを確認して仕訳問題を解いてください。

Point.非支配株主持分

非支配株主持分とは、子会社の資本のうち親会社に帰属しない、子会社の非支配株主の持分部分をいいます。

親会社による子会社株式の保有割合が100%に満たないとき、子会社には親会社以外の株主が存在することになり、そのような株主を非支配株主といいます。

非支配株主が存在する場合には、支配獲得日の子会社の資本勘定は、株主の持分比率に基づいて、親会社に帰属する部分(親会社持分)と非支配株主に帰属する部分とに分け、前者は親会社の投資勘定(子会社株式、S社株式等)と相殺消去し、後者は「非支配株主持分」に振り替えます。「非支配株主持分」は、連結貸借対照表の純資産の部に計上します。

なお、非支配株主が存在する場合、のれん(又は負ののれん)の計上額は親会社持分のみとなります。

問題(全6問)

下記の各取引について仕訳しなさい。なお、勘定科目は、設問ごとに最も適当と思われるものを選ぶこと。
(なお、スマホでご覧の方は「画面をヨコ」にすると仕訳や表が見切れないのでオススメです。)

問1

×1年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の80%を¥800で取得して支配を獲得した。×1年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,000であった。×1年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,000 (貸)子会社株式800 
     非支配株主持分200*1

*1 資本金1,000×非支配株主持分比率20%=200

解答の仕訳は、下記の①と②に分けて考えることができる。

① 親会社持分(投資と資本の相殺消去)

(借)資本金800 (貸)子会社株式800 

② 非支配株主持分(非支配株主持分への振り替え)

(借)資本金200 (貸)非支配株主持分200 

問2

×1年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の70%を¥700で取得して支配を獲得した。×1年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥500、資本剰余金は¥500であった。×1年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金500 (貸)子会社株式700 
 資本剰余金500  非支配株主持分300*1

*1 (資本金500+資本剰余金500)×非支配株主持分比率30%=300

解答の仕訳は、下記の①と②に分けて考えることができる。

① 親会社持分(投資と資本の相殺消去)

(借)資本金350 (貸)子会社株式700 
 資本剰余金350     

② 非支配株主持分(非支配株主持分への振り替え)

(借)資本金150 (貸)非支配株主持分300 
 資本剰余金150     

問3

×2年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の60%を¥1,200で取得して支配を獲得した。×2年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,500、資本剰余金¥200、利益剰余金は¥300であった。×2年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,500 (貸)子会社株式1,200 
 資本剰余金200  非支配株主持分800*1
 利益剰余金300     

*1 (資本金1,500+資本剰余金200+利益剰余金300)×非支配株主持分比率40%=800

解答の仕訳は、下記の①と②に分けて考えることができる。

① 親会社持分(投資と資本の相殺消去)

(借)資本金900 (貸)子会社株式1,200 
 資本剰余金120     
 利益剰余金180     

② 非支配株主持分(非支配株主持分への振り替え)

(借)資本金600 (貸)非支配株主持分800 
 資本剰余金80     
 利益剰余金120     

問4

×1年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の80%を¥960で取得して支配を獲得した。×1年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,000であった。×1年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,000 (貸)子会社株式960 
 のれん160*1 非支配株主持分200*2

*1 子会社株式の取得価額960-資本金1,000×親会社持分比率80%=160
*2 資本金1,000×非支配株主持分比率20%=200

解答の仕訳は、下記の①と②に分けて考えることができる。

① 親会社持分(投資と資本の相殺消去)

(借)資本金800 (貸)子会社株式960 
 のれん160     

② 非支配株主持分(非支配株主持分への振り替え)

(借)資本金200 (貸)非支配株主持分200 

問5

×2年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の90%を¥2,070で取得して支配を獲得した。×2年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,500、資本剰余金¥200、利益剰余金は¥300であった。×2年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,500 (貸)子会社株式2,070 
 資本剰余金200  非支配株主持分200*2
 利益剰余金300     
 のれん270*1    

*1 子会社株式の取得価額2,070-(資本金1,500+資本剰余金200+利益剰余金300)×P社持分比率90%=270
*2  (資本金1,500+資本剰余金200+利益剰余金300)×非支配株主持分比率10%=200

解答の仕訳は、下記の①と②に分けて考えることができる。

① 親会社持分(投資と資本の相殺消去)

(借)資本金1,350 (貸)子会社株式2,070 
 利益剰余金180     
 利益剰余金270     
 のれん270     

② 非支配株主持分(非支配株主持分への振り替え)

(借)資本金150 (貸)非支配株主持分200 
 資本剰余金20     
 利益剰余金30     

問6

×2年度末に、東京商事株式会社は、大阪商事株式会社の発行済株式の80%を¥1,520で取得して支配を獲得した。×2年度末の大阪商事株式会社の資本金は¥1,500、資本剰余金¥200、利益剰余金は¥300であった。×2年度末の東京商事株式会社の連結財務諸表作成上、必要な仕訳を答えなさい。

 〔勘定科目〕

当座預金のれん子会社株式資本金
資本剰余金利益剰余金非支配株主持分負ののれん発生益

解答

(借)資本金1,500 (貸)子会社株式1,520 
 資本剰余金200  非支配株主持分400*1
 利益剰余金300  負ののれん発生益80*2

*1  (資本金1,500+資本剰余金200+利益剰余金300)×非支配株主持分比率20%=400
*2 (資本金1,500+資本剰余金200+利益剰余金300)×親会社持分比率80%-子会社株式の取得価額1,520=80

解答の仕訳は、下記の①と②に分けて考えることができる。

① 親会社持分(投資と資本の相殺消去)

(借)資本金1,200 (貸)子会社株式1,520 
 利益剰余金160  負ののれん発生益80 
 利益剰余金240     

② 非支配株主持分(非支配株主持分への振り替え)

(借)資本金300 (貸)非支配株主持分400 
 資本剰余金40     
 利益剰余金60     

今回のトレーニングは以上です!
次回は5月12日(金)に公開予定です。それまでにしっかり今回の復習をしておきましょう!

【執筆者紹介】
関口 高弘(せきぐち・たかひろ)
1976年5月神奈川県生まれ。1998年10月公認会計士試験合格。1999年3月中央大学商学部会計学科卒業、2001年3月中央大学大学院商学研究科博士前期課程修了。公認会計士試験合格後、大手監査法人で上場企業を中心とした会計監査に従事。2002年4月公認会計士登録。日商簿記検定試験(商業簿記・会計学)、税理士試験(簿記論・財務諸表論)、公認会計士試験(財務会計論)の受験指導歴17年。現在は、中央大学経理研究所専任講師、中央大学商学部客員講師、朝日大学経営学部非常勤講師、高崎商科大学商学部特命講師他を務める。

<連載バックナンバー>
【第2回】資本連結:支配獲得日の会計処理①
【第3回】資本連結:支配獲得日の会計処理②
【第4回】資本連結:支配獲得後の会計処理①
【第5回】資本連結:支配獲得後の会計処理②
【第6回】成果連結:債権債務の相殺消去(資金取引)、期末貸倒引当金の調整
【第7回】成果連結:債権債務の相殺消去(ダウン・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第8回】 成果連結:期末未実現損益の消去(ダウン・ストリーム)
【第9回】成果連結:債権債務の相殺消去(アップ・ストリーム)、期末貸倒引当金の調整
【第10回】 成果連結:期末未実現損益の消去(アップ・ストリーム)
【第11回】 資本連結:開始仕訳①
【第12回】 資本連結:開始仕訳②株主資本等変動計算書の勘定科目
【第13回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(ダウン・ストリーム)
【第14回】成果連結:前期末未実現損益の消去・実現(ダウン・ストリーム)
【第15回】成果連結:前期末貸倒引当金の調整(アップ・ストリーム)

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