編集部が税理士(税法)科目免除大学院のオンライン説明会に参加してみた!―東洋大学大学院経営学研究科編②:参加者からの質問に教授が率直に答える!


第1回の記事での依田先生の説明のあと、参加者からの質問について金子先生が回答されていました。
以下ではその質疑応答について、Q&A形式で紹介します。

*編集部が税理士(税法)科目免除大学院のオンライン説明会に参加してみた!―東洋大学大学院経営学研究科編①:大学院選択、入試、院生生活、修士論文の書き方等

Q1 研究計画書は具体的にどのような内容が書かれているとよいでしょうか?

 金子(前回の記事の内容とも重複しますが、より詳細には)以下のような内容を書くとよいでしょう。

  • 研究の動機・問題意識(必ず!)
  • その問題意識をもとに具体的な問題提起(現行制度上弊害が生じていてそれを解決したい)
  • 先行研究のリサーチ
  • 何をどのように検討していくか
  • 文献

 特に研究の動機・問題意識がわからないと評価できないので、ここはしっかり示すことがポイントです。

 なお、研究計画書は完璧なものを求めてはいません。
 2年間で仕上げればよいですし、入学後研究テーマが変わることも当然あり得ます。

Q2 入試の面接に際してはどのような準備が必要でしょうか?

 金子 過度な準備は必要ではありません。
 主に以下について質問を通して合否を判断します。

  • 2年で修士論文が書けるか?
  • ヤル気があるか?

 税法の知識がないから不合格ということは全くないのですが、楽をして免除の資格を得ようという姿勢の方は合格できないと考えてよいと思います。

 なお、面接時の服装については、スーツが無難でしょうね。
 服装によって合否が変わることはもちろんないのですが・・・。

Q3 近年の税法論文のトレンドは何でしょうか?

 金子 馬券による所得が雑所得に当たるとした最高裁判例や路線価に基づく相続財産の評価は不適切であるとした最高裁判例など、注目される判例等はトレンドといえそうです。

 なお、近年のトレンドを知るには、たとえば『税理』『税務弘報』『税経通信』などの月刊誌やその他の税務関係の雑誌の目次を過去2~3年分見てみると把握できるので、ぜひ図書館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

Q4 本コースに所属されている依田先生・金子先生の論文を見たい場合は、どのように探せばよいでしょうか?

 金子 CiNii(NII学術情報ナビゲータ〔サイニィ〕)というデータベース・サービスで、論文、図書・雑誌や博士論文などの学術情報を検索できます。
 ここで、「依田俊伸」「金子友裕」と入力して検索すれば、過去に執筆した雑誌論文や書籍が表示されます。
 検索結果にでてくる雑誌論文は国立国会図書館にいけばたいてい見られますし、最近ではこのCiNiiからダウンロードできる場合もありますね。

Q5 本コースの定員は何人でしょうか?

 金子 会計ファイナンス専門家養成コースの定員は形式的には4人になります。
 ただし、大学院の場合多少の融通は利くので、もう少し多くの入学が認められる場合もありますね。

Q6 大学院と税理士試験は両立できますか?

 金子 大学院によっては在学中の税理士試験受験は許さないという方針のところもあるようですが、本コースではそのような制限はなく、院生の判断に委ねています。
 これまで在学中に科目合格をした方も多くいますね。
 ただ、依田先生の説明にもあったように税理士試験と大学院での研究は問われる能力が異なるので、両立は楽ではないでしょう。
 両立するためには、バランスをとることが重要だと思います。

Q7 税理士試験と大学院での科目免除はどちらが大変ですか?

 金子 依田先生のお話にもあったように修士論文の作成は楽ではありません。 
 試験合格と同じ、もしくはそれ以上の難易度と考えてください。

 とはいえ、税理士試験は1年に1回で試験時の状況に合否が左右されることもありえますが、修士論文の作成の場合はしっかり取り組めば2年で完成するので、その不確実性を回避できることは大きなメリットだと思います。

 なお、どちらが楽かはその人のタイプによる部分もありますね。
 たとえば、暗記や計算が得意という方は、論理的思考力を問われる修士論文の作成はかえって大変だと思います。

 ですので、ご自身のタイプをよく考慮して進学するかを検討しましょう。

 質疑応答の間、個別に質問したい方はZoomのブレイクアウトルームで依田先生と1対1で相談に乗ってもらっていました。
 対面だけでなく、オンラインでもこのような対応もできるのは驚きでしたね。

 今回参加して、HPを見ただけでは得られないより突っ込んだ内容のお話を聞けました。
 また、質疑応答でも、参加者の質問に対して、金子先生はより踏み込んだ回答をされていたのがとても印象的でした。
 特に社会人にとっては仕事や家庭との兼ね合い等、すぐに大学院に進学できないという方も多いと思います。
 すぐに進学できないという場合でも、このような説明会に参加してみることでさまざまな可能性を発見できるかもしれません。
 大学院が気になる方は、まずは気になる大学院の説明会にぜひ参加されることをオススメします。

◆東洋大学大学院経営学研究科ビジネス・会計ファイナンス専攻・会計ファイナンス専門家養成コースの次回個別相談会のご案内
開催日:①12月3日(土)19時~20時30分 ②12月7日(水)19時~20時30分
開催方法:オンライン
申し込み方法:東洋大学HPからお申し込み下さい。

◎大学院進学を検討される方は、以下の依田先生・金子先生の記事もあわせてご覧ください!

今春から税法免除で大学院に進学する方へのアドバイス―思考法、金子『租税法』の読み方、修論テーマの選び方、試験との両立について

新刊『課税所得計算の形成と展開』の編著者・金子友裕先生にきく 本書の読みどころと税法・税務会計研究のヒント

【大学院ルートで税理士になるには?】依田俊伸教授に聞く コロナ禍の大学院生活・入試、大学院選びのポイント

【税理士科目免除】大学院は冬入試シーズン! 研究計画書のポイントを最終チェック

<依田先生・金子先生の書籍紹介>

金子友裕著『法人税法入門講義(第6版)』
→計算と理論の基礎が同時に学べる入門テキストです。
ご購入はこちら

金子友裕編著『課税所得計算の形成と展開』
→法人税の基礎概念である課税所得計算に関する歴史的な経緯や先行研究の在り方を整理し、さらに現在から将来に影響すると思われる論点について詳細な検討した研究書。特に院での研究に有益な内容です。
ご購入はこちら

菊谷正人・依田俊伸著『財務会計論の基礎と応用(第2版)』
→第1部で財務会計の基本事項を説明し、第2部で個別会計基準ごとの意義や会計処理を解説。財務会計の基礎知識の習得に最適です。
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