【大学院ルートで税理士になるには?】依田俊伸教授に聞く コロナ禍の大学院生活・入試、大学院選びのポイント


みなさん、こんにちは! 「会計人コースWeb」編集部です。

2020年12月18日の税理士試験合格発表を受けて、改めて「今後どうするか」を考えている方が多いのではないでしょうか。

なかには、大学院を修了して科目免除を受けて税理士になるという、いわゆる「大学院ルート」を本格的に検討しはじめた方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこで、税理士試験科目免除を目的に大学院進学を検討されている皆さんの参考になるように、コロナ禍の大学院生活や入試、さらに大学院の選び方について、お話を伺いました!

お話を伺ったのは、会計人コースBOOKS『大学院ルートで税理士になる!』にもご執筆いただいた依田俊伸先生です。

大学院への進学を検討しているなら、必ず目を通しておきたい情報が満載です。

コロナ禍の大学院生活

--本日はよろしくお願いします。今年は、コロナ禍で大学院にはどのような変化がありましたか?

例にもれず、私が教えている大学院でも、オンラインが主流になりました。

週に1回、「修士論文指導」があるのですが、これもオンラインでしています。

ただ、オンラインになったからこそ、以前より柔軟に学生に対応できるようになりました

というのも、以前の「修士論文指導」は、学生に学校に来てもらい対面でするものだったので、曜日や時間が決まっていました。

もちろんオンラインでも曜日や時間を決めてはいますが、たとえば社会人の方だと、突然仕事が入ってしまって、その時間に指導が受けられないということもありました。

その場合、オンラインだと、曜日や時間をずらして指導すればよいので、そういった緊急事態にも柔軟に対応できています。

また、週に1回といわず、修士論文を書いている途中で疑問や悩みが出てきた学生がいれば、ほんの数十分ですがオンラインで話を聞いてアドバイスをしています。

コロナ禍で実際に会って話す機会は減りましたが、教員と学生の距離は縮まったように思います。

--オンラインならではの良い変化ですね。逆に,コロナ禍で大変になったことはありますか?

資料を集めることに苦労されていた学生が多かったです。

特に1年生の場合、修士論文のテーマを決め、関連する文献や資料を集める必要があるので、学校の図書館が閉まっているときには大変そうでした。

ただ、租税資料館日税連の図書館が開いていたので、そこを利用してなんとかやっていたようです。

また、大学院は、みんなで切磋琢磨しあって税理士をめざせる場所で、大学院でできた友人は、いずれ一生付き合える専門職の仲間になります。

「専門職として一生付き合える仲間ができる」というのは、実際に会って話して、その人を理解するからこそできるものなので、コロナ禍でその機会が少なくなったことは残念に思っています。

早くコロナが収まって、学生が一堂に会することができるようになればいいですね。

コロナ禍の大学院入試

--年を越したら冬入試が行われますが、コロナ禍での大学院入試はどのようなものでしょうか?

私が所属している大学院では、事前に研究計画書を提出してもらう点はいつもどおりで、コロナ禍で何かが特段変わったということはありません

10月に実施した秋入試でも、前年と同じく対面で面接を行いました。

当初はオンラインでの面接も検討されたのですが、「密」を避ければ問題ないということで、前年より大きい教室を使って、面接官と受験生の距離を十分にとって行いました。

ただ、前年より大きい教室を使っているとか、アルコール消毒をしているとか、今年ならではの環境に緊張される方はいらっしゃいました。

しかし、入試のフローや方針は例年どおりなので、面接では、変に緊張しすぎたりせず、めいっぱい自分の思いや考えをお伝えください。

大学院の選び方

--合格発表を受け、これから大学院を検討する方も多いと思うのですが、大学院はどう選べばよいのでしょうか?

一番に伝えたいのは、「大学院ではなく指導教授を選んでください」ということです。

大学院を選ぶ場合、ネームブランドは、必ずしもいい判断基準ではありません。

大学院に入ったら、修士論文を書くために指導教授と密に付き合っていくことになるので、「○○大学の大学院に入りたい」だけではなく、「△△先生に教わりたい」まで決める必要があります。

よりよい修士論文を完成させるには、大学院のネームブランドより指導教授の良し悪しやその指導教授との関係性が大事です。

そのためにも、可能であれば、事前に面談をしてもらったり、授業を聴講したりしましょう。

他の大学院の話ですが、過去に、指導教授について何も調べず、ネームブランドに惹かれて大学院に入ったところ、指導教授が途中で別の機関に異動となり、1年生と2年生で指導教授が違った、という学生もいたようです。

大学院の場合、指導教授が変わるというのは時には致命的なパターンで、一貫した指導をきちんと受けられなかったために、2年で修了できないこともありえます。

大学院が学生を選ぶのではなく、学生が大学院や指導教授を選ぶのです。

入学後に「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、大学院だけではなく、しっかり指導教授まで検討するようにしましょう。

--ありがとうございました。

〈お話を聞いた人〉
依田 俊伸(よだ・としのぶ)
東洋大学経営学部・大学院経営学研究科教授 博士(経営学)
租税実務研究学会理事、日本社会関連会計学会理事、財務会計研究学会監事
【主な著書】
『財務会計論の基礎と応用(第2版)』(共著、中央経済社、2020年)
『会計学と租税法の現状と課題』(共著、税務経理協会、2019年)
『公共経営の変容と会計学の機能』(共著、同文舘出版、2016年)
『租税法入門』(共著、同文舘出版、2016年)
『IFRSにおける資産会計の総合的検討Ⅰ』(共著、税務経理協会、2014年)
『租税法要説』(共著、同文舘出版、2012年)
『IFRS・IAS徹底解説』(共著、税務経理協会、2009年)
『公共性志向の会計学』(共著、中央経済社、2009年)


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