財務諸表論 独学者に最適な基本書『財務会計講義』の効果的な読み方


長島正浩
(茨城キリスト教大学経営学部准教授)

私がかねてより薦めている財務諸表論の「基本書」である『財務会計講義』。

独学者にとって『財務会計講義』のような「基本書」は試験合格に必須アイテムであり、理論学習で拠り所となる唯一のテキストでもある。

というのも、予備校のテキストのように講義スケジュールに合わせて分冊になっていないので、1冊に理論のエッセンスがぎゅっと詰まっているからだ。

この「1冊にコンパクトに収まっている」ということは、単に持ち運びに便利という利点もあるが、学習上もっとすぐれた効果をもたらしてくれる。

今回は、財務諸表論の学習において「基本書」をどう使うか、その効果的な読み方を紹介しよう。

※ ここからいう「基本書」は、上記で紹介した『財務会計講義』(第21版)を前提とするが、これとは違う本を選んでいる場合は、その本を当てはめても支障はない。

索引で論点と論点をつなげる

たとえば基本書で「有価証券の減損処理」(財務会計講義ではp.104)を勉強しているとき、専門用語として使われているキーワードをチェックするとしよう。

ここでは「減損処理」がキーワードなので、その意味や処理方法をノートにまとめたりするだろう。

しかし、基本書を使った学習では、なんともうワンステップ進むことができる。

ここで巻末の索引(p.433~)を開いて「減損処理」を探してみると、p.436に〔減損処理……104,190〕とある。

p.104は勉強していたページなので、p.190のほうを見ると、こちらでは固定資産の減損処理について書かれているではないか。

あとで見ればいいかぁ……じゃない! いつやるの? 「今でしょ!」

これが予備校であれば、金融商品会計と固定資産会計という別々のカテゴリーに分けられてしまうので、学習時期はかなりずれてしまうだろう。

そもそも予備校のテキストには索引がないし、別冊になっていたらなおさら論点同士のつながりに気づくことができない。

この点で、基本書を使って学習している方は、別々の小枝(論点)が実は隣り合っていて幹が同じであることに気づく。

こんなちょっとした気づきが重要である。

通読をルーティンに

基本書を教科書として「使う」ということとは別に、小説のように「読む」ということも大切である。

すなわち「通読」である。

通読を本試験までどのくらい(何回転)すればよいのか。人によってスピードが違うので、ひとえに何回転とはいえない。

それよりも大事なのは「毎日読む」ということである。

朝晩の歯磨きのように習慣化してしまえば、「あっ今日は忘れてた」なんてことはなくなる。

毎日の読む量もその日の気分でよい。

どんどん読めてしまう日もあれば、あまり気分が乗らない日もある。

たまに忘れてしまっても自分を責めないで気楽にやればよい。

歯磨きだってたまに忘れて寝てしまうこともあるでしょう。

1本のしっかりした樹木を育てよう

こんな気まぐれ的な通読でどんな効果があるのか、と思う方もいるかもしれない。

しかし、通読のポイントは、とにかく「立ち止まらないで最終ページまで読み進めていく」ことだ。

読みながらマーカーを引いたり付箋紙を貼ったりしてはいけない。

もちろん「この章はよくわかっているから抜かして次にいこう」なんて厳禁である。

そうやって最終ページまで読破したら、また先頭ページに戻って第2ラウンド開始となる。

これを本試験まで何度も繰り返すのだ。

その間に前述の索引を使った学習も進めていき、通読のほうもその進度とは無関係に淡々と繰り返すのみである。

こうして基本書の通読を繰り返していくと、頭の中で財表理論の体系が構築される

枝(論点)を支える太い幹(会計理論の根幹)を育てることにつながる。

好きな作家の小説を何度も繰り返し読むと、1度目、2度目、3度目…それぞれ感じ方が違ってくるのと同様、基本書もそのつど新たな発見があるはずだ。

だからこそ、ひとりの人が書いた基本書は首尾一貫しており、樹木を育てるのに役立つ。

葉や花を咲かすためにも、まずはしっかりした樹木を育てる必要がある。

そのために、ぜひ「基本書」を有効活用してほしい。

※ 本記事で紹介した『財務会計講義』はコチラ

〈執筆者紹介〉
長島 正浩(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部准教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師、会計事務所(監査法人)、証券会社勤務を経て、資格予備校、専門学校、短大、大学、大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後、松本大学松商短期大学部准教授を経て、現在に至る。この間30年以上にわたり、簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。


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