【税理士試験】本試験まで心を整える7つのルール


並木秀明
(千葉経済大学短期大学部教授)

季節は、冬がすぎ春もすぎ、夏がそこまで来ている。そんな時期、過去に学習した論点を背負いながら勉強に励んでいることと思うが、ふと「やる気が起きない」という思いが脳裏をかすめることもあるだろう。

しかし、勉強なしに合格する天才はいない。ここでは、思いつくまま、ささやかなアドバイスをしよう。

1 受験勉強にパーフェクトはない

5月から試験直前期といわれる。①自信がついている受験生、②自信をもてていない受験生、③伸び悩んでいる受験生、④まるで5月病かのように士気が高まっていない受験生など、気持ちの持ちようはそれぞれであり、性格も影響している。

しかし、共通する点は、受験勉強にパーフェクトを求めている点であろう。まずは、安心のために一言。1年足らずで「受験勉強にパーフェクトはない」

2 本気の失敗には価値がある

まんが『宇宙兄弟』に「本気の失敗には価値がある」とあった。なるほどである。だらだらの失敗は「当然の失敗」。「本気の失敗」は理由を考えよう。

本気の失敗は、再度失敗しないように「間違いを記憶」しているはずである。「間違いの記憶」を残すため、間違いノートを作成するのもよい。そこに進歩があるはずである。

3 「忘れる」を恐れずに「覚える」

脳みそは、猛烈にうまく作られている。努力して覚えたことは、「忘れる」のではなく、必ず脳みそに刻み込まれている。引き出すための何かを刺激することで、「思い出す」ことができるはずなのである。そして、受験勉強における刺激とは、問題を解くことである。

受験勉強で刻む情報量は、脳みそにとっては「ささやかな」ものだ。「こんなに覚えられるはずはない」と考えたら、脳みそに限界を与えてしまう。記憶量の限界を勝手に決めるべきではない。

しかしながら、「覚えていないこと」を「忘れた」というのは矛盾している。まずは「忘れる」を恐れずに「覚える」ことである。試験のような非常事態でも、問題文という刺激さえあれば「思い出す」はずだから。「覚える」努力をすることが理解であり、理解を前提とすると暗記も楽(不要)になる。

4 多くを望まず、問題を絞り込もう

この時期は、ほとんどの論点の学習が終了しているはずである。

また、この時期は、試験日までの残りの勉強時間が具体的に測定できる。日々、刻一刻と残り時間が少なくなる。そんなとき、多くを望むと「膨大な復習量」に圧倒されて、かえって勉強量が減少するものである。

ストックされたされた問題から重要論点または記憶から抜けた論点を発見し、復習の優先順位を決定しよう。つまり、問題の絞り込みをして、自信と確信のある有効な勉強をする時期なのである。

5 「こだわり」は捨てる

司馬遼太郎『坂の上の雲』は、何回となく読んでいる小説である。主人公の1人である秋山真之は、バルチック艦隊を破った参謀長官である。彼は、4年間の海軍兵学校で試験の主席を取り続けた。彼は、「人間の頭に上下などない。要点をつかむ能力と、不要不急のものは切り捨てるという大胆さだけが問題だ」と言っている。

今、学習している論点は、出題頻度の低い、または程度の高すぎる論点ではないか? 受験勉強は、1論点の研究ではない。合格点をとれば十分なのである。この時期は、「こだわり」という言葉は捨ててしまおう。

6 何が起こるかわからない

未知の試験は、大変に怖いし、それなりに勇気を必要とする。試験は、準備したことがすべて出題されるわけではない。そんなとき、「何が起こるかわからない」と事前に意識しておくことで、動じることのない心構えもできるはずである。

ただし、「火事場の馬鹿力」という言葉もある。生きていると誰しも経験のあることであろう。試験でいえば、できるはずはないと思っていた問題が解けてしまうことである。これぞ、数ヵ月、努力した結晶であろう。

7 試験日は受験勉強の途中で訪れる

これからの日々の積み重ねは厳しいものである。しかし、その苦労を味わったもの、成すべきことを成したものは、試験監督の「始め」の声がかかったとき、「無心」に近づくことができる。努力の成果が集中力を生み、そうでないものは不安なまま試験に飛び込んでいく。

……とはいっても、なかなか満足のいく状態でスタート・ラインに立つことは難しい。しかし、これからできる努力はしたいものである。試験日は受験勉強の途中で訪れる。中途半端でも試験会場に向かわなければならない。これが受験勉強である。なにしろ、受験勉強にパーフェクトはないのだから。

<執筆者紹介>
並木 秀明
(なみき・ひであき)
千葉経済大学短期大学部教授
中央大学商学部会計学科卒業。千葉経済大学短期大学部教授。東京リーガルマインド講師。企業研修講師((株)伊勢丹、(株)JTB、経済産業省など)。青山学院大学専門職大学院会計プロフェッション研究科元助手。主な著書に『はじめての会計基準〈第2版〉』『日商簿記3級をゆっくりていねいに学ぶ本』『簿記論の集中講義30』『財務諸表論の集中講義30』(いずれも中央経済社)、『世界一わかりやすい財務諸表の授業』(サンマーク出版) などがある。

※ 本記事は、会計人コース2017年6月号掲載「本試験までの心の整え方」を編集部で再構成したものです。バックナンバーはこちらからお買い求めください。


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