【日商簿記から税理士へ】第4回:ポジティブな心でプラスに成長すべし!


渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)

日商簿記から税理士へ
第1回 いつ、何から学習するか計画すべし!
第2回 計算は、己を知ってケアレスミス対策すべし!
第3回 理論は、暗記より理解を優先すべし!
第4回 ポジティブな心でプラスに成長すべし!

日商簿記2級や1級から税理士試験をはじめて目指す方に向け、全4回にわたって「受験の心得」をご紹介する企画。

最後となる第4回は、私の受験生時代の話を踏まえながら、メンタル面のお話をします。

ネガティブな考えをプラスに変換!

税理士試験の学習は長期かつ内容も難しいものばかりです。勉強に手がつかない、点数が伸びない……ネガティブに考えてしまう時期が出てくるでしょう。しかし、このようなネガティブな考えに負けない強い精神力を養うことも、受験勉強の一部です。

心の中は自由に構築することができます。プラスな考え方は自己を成長させますが、一方でネガティブな心になれば、マイナス成長もしてしまいます。

たとえば、友達から「点数が伸びないなら勉強やめたら?」と言われて、学習をやめたとしましょう。その場合、意見を示した友達ではなく、自己の責任で学習をやめたと考えなくてはいけません。  

点数が伸びないということは、まだ伸びしろがあると考えることができます。点数が伸びない原因を分析し、それを解決することで、さらに知識を深めることができるのです。

逆に、毎回模試で高得点をとっているのに本試験で合格できない受験生もいます。重要なのは、自分のレベルを的確に把握し、それに対応した学習を行うことです。

つまり、本試験までは獲得した点数ではなく、獲得できなかった点数が重要なのです。獲得できなかった点数のほうが獲得した点数よりも多ければ、できなかった部分を対策することで、より大きく成長することができます。

「点数が伸びないなら勉強やめたら?」といったようなネガティブな考えを、どのように捉えるかで行動が大きく変化します。

周りの支えがあってこその合格

税理士試験には、自分の努力もですが、指導者、家族や仲間の支えが必要になります。そして、受験生は、支えてくれる人に対して感謝する心を身につけることが大切です。

私は、受験生時代に税理士になるか教員になるかで悩んでいました。というのも、父が小学2年生のときに他界したのですが、父方の祖母が実家で小さい飲食店を個人経営しており、母はそこを手伝いながら、1人で私を育ててくれました。そのため、資格を取って母に楽をさせてあげたいという気持ちから受験勉強を始めました。

この思いが、時には「早く合格しなければ」というプレッシャーになったこともあります。母には「勉強がんばって」とよく言われましたが、ありがたい反面、「これ以上どう頑張ればいいのだ」と思うこともありました。

しかし、今でも家族、仲間、先生方には感謝しきれないほど恩を感じています。

指導者に相談したり、仲間同士で励ましあったり、周りの人に支えられながら資格を「取得」できるという自覚をもち、それに感謝する気持ちで受験勉強をしていきましょう。

自信の損益分岐点

受験生のときは、勉強に使えるお金がなかったので、祖父・祖母に借金をしたり、模試を購入するのが他の受験生よりも遅れたり、昨年度用の問題集で学習した時期もあります。このまま合格できなければどうなるのだろう、と不安で眠れないこともありました。また、理論の暗記ノートを読みながら眠りについて、夢の中で理論を復唱しようとし、言葉が浮かばずにうなされることもありました(笑)。

しかし、そんな不安なときでも、自分から簿記を抜いたら何も残らない、だから勉強するしかない、今まで勉強してきた量を振り返れば自信をもっても大丈夫、と気持ちを奮い立たせていました。

不安を完全に消すことはできません。不安は49%あってもいいです。それを上回る自信を51%身につけられれば、決して心が折れることはありません。

休むことも受験勉強

税理士試験は、受験生にとって今まで挑戦した資格の中でも非常に難易度の高い試験になると思います。学習計画を立てても消化できない、仕事や家事、学業などで勉強が進まないこともあるでしょう。

そのため、時には心身を酷使して勉強してしまうこともあります。このようなときは、思い切って休んでください。精神面のケアも合格するためには必要です。学習計画を立てるときは、休暇日も踏まえて作成するようにしましょう!

たとえば、簿記論・財務諸表論の個別問題集を1冊2週間単位で学習しようと計画したときは、2、3日の予備日を設けます。学習できない事象が起きたとき、予備日を設定しておくことで学習計画通りに勉強できます。予備日が余ったら、頑張った自分へのご褒美として余暇に費やすこともよいでしょう。

人生を変えた簿記との出会い

私は中学1年生のとき、数学の中間テストで7点をとりました。そこから自分なりの勉強方法を模索し、なんとか大学に入ることができました。高校は普通高校だったので、簿記との出会いは大学からです。私にとって簿記は、普通高校出身の友達と同じスタートラインで学習できる科目だったので、楽しく勉強することができました。

大学1年生から簿記を勉強し、かれこれ16年以上の年月が流れました。今でも勉強に終わりが見えず悪戦苦闘しています。しかし、簿記を通じて、さまざまな人と出会い人生が変わりました。これも、簿記の勉強を続けてきたからだと思います。

諦めなければ必ず試験に合格することができます。支えてくれる人たちに感謝をしながら、諦めないで勉強を続けてください。

<執筆者紹介>
渡邉 圭(わたなべ・けい)
千葉商科大学基盤教育機構で准教授を務める傍ら、会計教育研究所「瑞穂会」で税理士試験講座(簿記論・財務諸表論)と日商簿記検定1級~3級講座を開講し、ともに多数の合格者を輩出している。


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