【日商簿記から税理士へ】第2回:計算は、己を知ってケアレスミス対策すべし!


渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)

日商簿記から税理士へ
第1回 いつ、何から学習するか計画すべし!
第2回 計算は、己を知ってケアレスミス対策すべし!
第3回 理論は、暗記より理解を優先すべし!(4月22日公開予定)
第4回 ポジティブな心でプラスに成長すべし!(4月23日公開予定)

日商簿記2級や1級から税理士試験をはじめて目指す方に向け、全4回にわたって「受験の心得」をご紹介する企画。

第2回のテーマは、計算の学習方法です。簿記論にも財務諸表論にも計算問題があります。

税理士試験の計算問題では、日商簿記検定と比べて、ちょっとしたミスが命取りとなります。そこで今回は、この「ケアレスミス対策」を中心に見ていきましょう。

ケアレスミスの傾向を把握しよう

計算におけるケアレスミスは、次の4つに分類できることが多いです。

① 問題の読み間違い

② メモ用紙への記入ミス(金額など)

③ 電卓の誤入力による計算ミス

④ 解答用紙への記入ミス

ケアレスミス対策としては、まず、自分が①~④のどのケアレスミスが多いか、どんな問題でミスをすることが多いか、弱点を分析して把握することが大事です。

たとえば、紙に①~④の項目を記入し、具体的なケアレスミスを箇条書きでメモしておくとよいでしょう。問題を演習するとき、これらのケアレスミスを頭で唱えてから解くと効果的です。

私は受験生のとき、ソフトウェアの償却年数の読み間違い、メモ用紙への記入ミスが多かったのですが、まず自分の弱点を把握したことで、しっかり対策ができるようになり、ケアレスミスも減っていきました。

それでは、4つそれぞれのケアレスミスについて、具体的な対策を見ていきましょう。

① 問題の読み間違い

問題の読み間違いの要因は、解くスピードを上げようとして問題文の読み取りが不十分なこと、問題文の趣旨と異なる解釈をしてしまうことなどが挙げられます。

このケアレスミスは、「自分の考え方が正しい」「得意な問題だから合っているはず」という思いから生じることが多いため、なかなかミスに気がつけないことがあります。

そのため、最初から問題文を読み直して確認することが大事です。

税理士試験は2時間であり、そのなかで振り返る時間を確保することは難しいかもしれません。しかし、減点を加点に変えることができる時間でもあります。問題の読み間違いが多い場合は、問題文を見直す時間を取り入れてみるとよいでしょう。

② メモ用紙への記入ミス

メモ用紙への記入ミスは、たとえばT勘定に金額を貸借反対に記入していた、金額の誤記入などが挙げられます。

私の場合は、連結修正仕訳のうち棚卸資産の未実現利益控除の仕訳を貸借反対にしてしまったことや、退職給付の数理計算上の差異をT勘定に貸借反対に記入してしまったことがありました。

このようなミスも、なかなか気がつかないことが多いので、メモの内容に誤りがないか確認することが大事です。

③ 電卓の誤入力による計算ミス

電卓の誤入力による計算ミスは、問題文の金額・数値の読み間違いによる場合、電卓の打ち間違いなどが挙げられます。

入力内容の再確認だけでなく、問題文を振り返って金額・数値を正しく読み取れているかも確認する必要があります。

④ 解答用紙への記入ミス

解答用紙への記入ミスとは、たとえば、「121,000円」と記入するところを「112,000円」と書いてしまったというようなことです。

どのケアレスミスもそうですが、これらは受験生の油断、注意力の欠如のほか、体調不良や疲労など、体力的な要因もあります。

私も受験生のとき、試験1ヵ月前は、2時間の模試を1日3題(簿記論2題、財務諸表論1題)解いていましたが、3つめの模試は、疲労で多くのケアレスミスを引き起こしていました。頭痛もひどくなり、1日休養しました。

ケアレスミス対策は、テクニック面だけでなく体調面の管理にも努めましょう。

次回は、「理論は、暗記より理解を優先すべし!」と題して、理論の学習方法をご紹介します。それでは、またお会いしましょう!!


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