【税理士合格体験記】 決め手は「基本書」と「苦手論点の克服」  あきらめずに12年かけて官報合格!


たあ
(44歳、会社員)

合格科目:財務諸表論・消費税法(2013年)、簿記論・固定資産税(2014年)、法人税法(2021年)
学習スタイル:専門学校(資格の大原)

12年がかりで税理士試験に合格しました、たあと申します。事業会社に勤務しながら受験を続け、官報合格を契機に会計事務所へ転職予定です。

当初の計画から合格までに時間はかかってしまいましたが、この体験記が今後受験される方の参考に少しでもなれば嬉しいです。

税理士を目指したきっかけ

私が税理士を目指したきっかけは、会社で大規模なリストラがあったことです。

もし自分がリストラされたとしても、何か資格があれば、その後もなんとか生きていけるのではないかと考えました。そして、1科目ずつ合格を積み上げていく税理士試験であれば、仕事をしながらでも合格できるのではないかと思い、2010年に受験を始めました。

受験当初は「3年で5科目合格」を目標に掲げましたが、かなり考えが甘く、最終的には12年かかりました。

苦戦した受験期間

私は、固定資産税以外は複数回受験しました。

2010年から簿記論・財務諸表論の学習を始めましたが、ともに不合格。

2011年は消費税法を追加するも、3科目すべて不合格。当時は「3年で5科目合格」が目標だったので、一発逆転を狙っての3科目受験です。

2012年も同様に3科目すべて不合格となり、この3年間で1科目にも合格できなかったので、税理士試験は自分には無理なのではないか、と思うようになりました。

ただ、財務諸表論はずっとAランク(59~50点)だったので、もう少しで合格できるはずだと思って2013年も受験し、ついに財務諸表論と消費税法に合格! 簿記論は不合格でした。

続く2014年に、簿記論と固定資産税を受験し、ともに合格。

5年で4科目、2年連続で2科目に合格できたので、勢いに乗って2015年に法人税法を受験しました。

しかし、法人税法は計7回受験と大苦戦……。一生合格できないのではないかと思ったこともありますが、なんとか合格することができたので、法人税法の「合格の決め手」についてお話しします。

法人税法の「合格の決め手」

はじめて勉強する法人税法は、本当にちんぷんかんぷんで、「加算・減算」が何なのか、はっきり理解できないまま試験に臨んだほどだったのですが、なぜかAランクでした。

ここでAランクだったことで、すっかり法人税法を舐めてしまったのがよくありませんでした。

最初の年でAランクなら、これは数年で合格できるだろう。少なくとも簿記論のように5年もかからないはずだ。そう考えてしまったのです。2016年もAランクで、この考えは強まります。

しかし、もう合格できるだろうと思った2017年でCランク(39~30点)になってしまいました。たしか試験委員が代わり、問題の傾向も変わった年で、まったく歯が立たなかったのです。

それ以降は、2018年が37点、2019年が48点、2020年が46点と不合格が続きます。

ただ、2018年の不合格が勉強のスタイルを変えるきっかけとなりました。

このまま専門学校の勉強だけをしていても合格できないのではないか、法人税法を体系的に勉強して全体像をつかんだほうがいいのではないかと思い、テキストとは別に法人税法の基礎が解説された本を読むようにしたのです。

読んだ本は、松尾隆信著『知っておきたい 法人税の常識』(税務経理協会)です。

このおかげで法人税法の理解が進み、2019年から少しずつレベルが上がり、合格できるかもしれないと思えるようになりました。

また、合格を一押ししたのは、苦手論点を捨てることなく諦めずに取り組んだことです。

法人税法は論点が多く、なかには苦手な論点もあるかもしれませんが、それが苦手なまま試験に臨むのか、苦手意識をなくして試験に臨むのかで、精神状態がだいぶ違ってくると思います。

勉強しても出題されない論点も多いですが、「ここまでやったなら大丈夫」という気持ちで試験に臨むことができます。

私はいくら勉強しても「寄付修正」が苦手で、理論を読んでも何が言いたいのかわからず、最後まで苦戦しましたが、諦めずに取り組んだことで、試験前ギリギリに苦手意識を克服できました。

実際に、合格した昨年の試験では、グループ法人の論点が多く問われ、「寄付修正」も理論・計算ともに出題されました。

試験問題を見たときは、「おお寄付修正が来たかあ、あれだけやったんだから絶対に正解してやる。頑張る税!」という気持ちになり、うまく解くことができました。

また、計算で「解散欠損金」の問題が出ました。一度も解いたことのない問題でしたが、必ず部分点は取れるはずだ、絶対に諦めるな、と自分に言い聞かせて問題を解いたことも、合格に大きくつながったと思っています。

家族やSNSの受験仲間がモチベーションに

仕事では2011年に管理職となり、受験期間はほとんど忙しい日々だったのですが、週末の土曜日に専門学校で集中して勉強することがいい気分転換になっていました。

平日どんなに忙しくても、必ず土曜日には専門学校に行けるように時間を確保していました。

これは家族の理解があったからできたことで、嫌な顔をせずに送り出してくれた家族には本当に感謝しています。

息子からは試験前に自作のお守り(トップ画像参照)をもらい、試験会場に持って行ってパワーにしていました。

また、3年前からツイッターで勉強や日常のことを発信するなかで勉強仲間ができ、そんな仲間たちから刺激を受けたことも勉強のモチベーション維持につながりました。

専門学校に通うといっても、教室通学ではなく映像通学だったので、勉強仲間はいませんでした。

ツイッターを見ると、忙しいなかでも勉強を頑張っている方が多かったので、「自分も頑張ろう」と思うことができ、実際にいただいたコメントで励まされたことも何度もあります。

法人税法を受ける日の朝、試験会場へ出発したことをつぶやいたら、たくさんの励ましのコメントをいただきました。それも試験に臨むうえで大きな力になったと思っており、とても感謝しています。

メッセージ

税理士試験は1科目ずつ合格を積み上げていくことができるので、諦めなければ、時間はかかるかもしれませんが、合格できる試験だと思います。

短い時間で合格されるに越したことはありませんが、たとえ長い時間がかかったとしても、諦めずに挑戦し、官報合格されることを願っています。

コツコツ勉強を続けていれば、必ず合格できます。私もできたので、皆さんもできるはずです。頑張ってください!


関連記事

ページ上部へ戻る