ステップ③ 目次を見て、論点が頭に浮かんで説明できるか試してみよう
ステップ②で精読できたら、章ごとでも、論点ごとでも、全体でもいいので、目次に戻って、論点が整然と頭に浮かんでくるか、それを階層構造にしたがって説明できるか試してみましょう。これは、誰かに講義するように声に出してみても(周りに人がいないところでしましょう(笑))、書き出してみてもいいです。
インプットできているかどうかは、実際にアウトプットしてみないとわかりません。また、そのアウトプットの精度も、実際にアウトプットすることで細かなところまで見えてきます。「なんとなく」の勉強にならないように、アウトプットに重点を置くのがよいと思います。実際にアウトプットした説明を、『財務会計講義』の本文と照らし合わせるのが有効です。
ここまでくればもう、『財務会計講義』は十分に使い込んだといえるでしょう。実力も相当に伸びているはずです。特に、論文式試験の記述では大きなアドバンテージになります。
ステップ④ 他の教材とうまく融合しよう
ここで、最後に注意してほしいのですが、よく受験生から「『財務会計講義』だけで試験対策は足りますか?」という質問を受けます。正直ベースで、はっきりと「足りない」と明言しておきます。
第1回でも触れたように、『財務会計講義』はあくまでも本質(幹)の部分のみを合理的に、そしてコンパクトにまとめたものです。
資格試験では、重要な部分(本質部分)の比重が高いことはもちろんですが、やはり問題を作るうえでは、詳細な枝葉部分も問わざるをえません。そうしないと受験者間に差がつきませんからね(笑)
また、『財務会計講義』は設例があるものの、詳細な論点については省かれています。ですので、これらの点については、『会計法規集』に収録されている各基準の「結論の背景」や「適用指針」と、それに関連する設例、または予備校のテキストや問題集を活用することが合格のためには必要だと思います。
一方でやはり、『財務会計講義』の重要な本質をコンパクトにまとめている点にはメリットがあります。「予備校のテキストだと重要度が低そうだけど、『財務会計講義』にはしっかりと説明がある」、そんな点には要注意です。たとえば「自己金融効果」などは、その一例かもしれませんね。
また、予備校の理論の解答と『財務会計講義』の表現を比べてみるのも面白いと思います。なにか発見があるはずです。
第2回、いかがだったでしょうか。ステップ①、②、③、④の読み方を組み合わせて、『財務会計講義』を存分に活用してください。
今回の記事も、少しでもお役に立つと嬉しいです!
最後となる第3回は、「実践!最新22版を読んでみた」と題して、ステップ②の部分をより詳細にご紹介したいと思います。お楽しみに!
【書誌情報】
著者:桜井 久勝
定価:4,180円(税込)
発行日:2021/03/17
A5判 / 464頁
ISBN:978-4-502-38641-1