【1日1問!〇×会計クイズ】純資産・外貨建取引⑮


加藤大吾
(公認会計士・税理士)

公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題! 

もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。

○×問題

決算整理に際して、その他有価証券として保有する市場価格のないC社株式(取得価額100ドル、取得時の為替相場1ドル=120円)について、決算時の為替相場1ドル=110円となった。

(借)為替差損 1,000
 (貸)投資有価証券 1,000

解答

×

為替差損ではなく、その他有価証券評価差額金として処理する。

(借)その他有価証券評価差額金 1,000
 (貸)投資有価証券 1,000

根 拠

会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」

外貨建その他有価証券の決算時の会計処理

15.外貨建その他有価証券の決算時の円貨額は、原則として外貨による時価を決算時の直物為替相場により換算して算定する。市場価格のない外貨建株式等については、取得原価又は償却原価を決算時の直物為替相場により換算する。その他有価証券に区分された外貨建債券に金融商品会計実務指針第74項に基づき償却原価法を適用する場合の当期償却額は、第13項①に準じて処理する。

外貨建その他有価証券の換算差額の処理

16.外貨建その他有価証券の換算差額は、外貨基準一 2(2)により、原則として、金融商品会計基準第18項の評価差額に関する処理方法に従うものとされており、この方法によれば取得原価又は償却原価に係る換算差額も評価差額と同様に処理されることになる。ただし、外貨建債券については、注解(注10)により、外国通貨による時価を決算時の為替相場で換算した金額のうち、外国通貨による時価の変動に係る換算差額(外貨ベースでの評価差額を決算時の直物為替相場で換算した金額)を評価差額とし、それ以外の差額については為替差損益として処理することができる。

なお、連結財務諸表においては、純資産の部に計上される評価差額の当期変動額をその他の包括利益として、包括利益会計基準に従い、連結包括利益計算書又は連結損益及び包括利益計算書に表示する必要がある。

ワンポイントアドバイス

外貨建その他有価証券で市場価格のない株式は、価格変動リスクは負っていませんが、為替変動リスクを負っていることになるので、換算差額はその他有価証券評価差額金として処理します。

ただし、外貨建債券の場合は、その他有価証券評価差額金と為替差損益を区分して処理することが容認されています。

〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。


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