
鶴田李華(税理士)
【編集部より】
税理士試験まであと数週間となりました。本試験当日に一番良い状態を作るために、ここからは仕上げの時期となります。そこで、仕事・育児・大学院を両立し、簿・財に独学合格した著者が、本試験2週間前にどのようなことに気づき、どのような戦略を練ったのかを具体的に教えていただきました。ぜひラストスパートの参考にしてください!
【超効率的】仕事・育児・大学院を両立した私の戦略
税理士試験まで、残すところあと数週間となりました。焦りや不安を感じる時期かもしれませんが、この数週間は「十分に合格を勝ち取れる期間」です。
私の実体験が皆さんのラストスパートのヒントになれば幸いです。具体的な勉強法をお話しする前に、まずは当時の私の状況を簡単にご紹介します。
当時は週4日のフルタイム勤務をしつつ、土日は大学院に通う日々。さらに子どもはまだ保育園児だったため、毎日の家事、育児、そして大学院の課題に追われていました。試験勉強に充てられるのは、子どもが寝静まった後のわずかな時間と、直前の2週間だけ。
そんななか「簿記論」と「財務諸表論」の2科目同時受験を決意したものの、圧倒的に勉強時間が足りません。そこで普段は簿記論の計算問題をメインに解き、財務諸表論については、簿記の計算をしながらその裏にある理論的背景をセットで理解する、というスタイルをとっていました。
それでは、私が実際に「試験2週間前」に実践した具体的な戦略をご紹介します。
「知彼知己、百戦不殆!」――最強の試験戦略
「彼(敵)を知り己(自分)を知れば百戦殆(あや)うからず」は、古代中国の兵法書『孫子』にある高名な言葉です。敵の状況(出題傾向や難易度)と、自分の実力(現在地や弱点)を正確に分析できれば、何度戦っても負けることはないという意味ですが、これは資格試験、特に直前期の勉強において極めて有効な戦略となります。
「彼(敵)」を知る――限られた時間で最大得点を狙う分析
残り2週間というタイミングで過去問を再分析しました。ここで重視したのは、「今ある実力を本番で100%発揮するために、どう2週間を過ごすべきか」という一点です。
簿記論の分析
簿記論の試験は、問題冊子が20ページを超えることが多くて、もはや「高い読解力」が問われる試験と言えます。問題文をいかに速く、正確に読み解くか。そして全体の時間配分をどうするか。問題文を読み進めながら「確実に得点できる部分」と「捨てるべき部分」を瞬時に見極め、点数を稼げる場所に時間を集中投下する練習が必要です。
財務諸表論の分析
この2週間で第一問・第二問(理論)のレベルを底上げするのは至難の業だと判断し、配点の大きい「第三問(計算)」をメインに据えました。普段、財務諸表論としての独立した勉強時間はゼロに近かったため、一からテキストを開くのではなく、「いかに簿記論の知識と紐づけて得点するか」を考えました。
両者の過去問を見比べると、仕訳自体の難易度は簿記論の方が高いことが分かります。つまり「簿記論が解けるなら、財務諸表論の第三問も解ける」のです。
違いは実務でいう「どう表示・開示するか」という点だけ。そのため、財務諸表論の表示科目を徹底して暗記し、どの勘定科目をどの表示科目に集約させるか、という点に絞って強化しました。
「己(自分)」を知る――過去の経験から勝ちパターンを導く
私たちは学生時代から数多くの試験を経験してきています。これまでの人生を振り返れば、自分自身の「勉強スタイル」や「行動特性」を分析する材料はたくさんあるはずです。
1時間だけでも良いので机に向かって自分自身を振り返り、残り2週間で「長所を活かし、短所をカバーする」ための戦略を立ててください。
私の長所:驚異的な集中力とストイックさ
大学受験の際、睡眠と食事以外はすべて勉強に注ぎ込むほど極端な生活をしていました。当時は1ヵ月ほどで限界を迎えて体調を崩すこともありましたが、今回は「たったの2週間」です。どれだけストイックに追い込んでも、2週間なら絶対に倒れないという根拠のない自信がありました。
私の短所:スピードを意識するあまり、復習を後回しにすること
「大量の問題を早く解きたい」という気持ちが先行し、間違えた問題をそのままにしてしまう傾向がありました。
そこで今回は、ただがむしゃらに解き続けるのをやめました。「解いた後の失点分析」と「理解できていない論点をつぶす時間」をスケジュールの中にカチッと組み込むことを最優先したのです。
「戦略」を立てて機械的に実行する
分析が終わったら、次はスケジューリングです。もう迷っている時間はありません。立てた戦略を2週間で淡々とやり遂げるのみです。
まずは全体でどれだけの時間が確保できるかを可視化します。 私のケースでは、1週目は仕事があったため夜間のみ。2週目は直前休暇を取得できたため、全日を勉強に充てることができました。
【直前休暇中のタイムスケジュール例】
- 05:30~07:30 お弁当作り、子どもの保育園送り
- 08:00~10:00 過去問①(本番想定)
- 10:00~11:00 過去問①の分析・見直し
- 11:00~13:00 過去問②(本番想定)
- 13:00~13:30 昼食・休憩
- 13:30~15:30 過去問②の分析・見直し
- 15:30~17:30 過去問③(本番想定)
- 17:30~19:00 子どもをお迎え、夕飯準備
- 19:00~20:00 過去問③の分析・見直し
- 21:00~24:00 本日の総振り返り・弱点補強
最初の5日間(夜間のみ)で過去問を5回。後半の9日間(休暇中)で毎日3回解くとして、9日間×3回=27回。合計で「32回分」の過去問を解く時間を確保しました。
これを簿記論と財務諸表論にどう配分したかというと、以下の通りです。
・最初の5日間:
簿記論の過去問のみ。ただし、解いた後の分析時間を使って「これを財務諸表論で開示する場合、どの表示科目になるか」を一問一問シミュレーションする。
・後半の9日間:
簿記論を毎日2回、財務諸表論を毎日1回。結果として、簿記論は計18回、財務諸表論は計9回。
トータルで簿記論23回、財務諸表論9回分の枠ができます。過去問は少なくとも2回は解き直したかったため、最終的に回す過去問を「簿記論は7回分(7回×3周=21回)」「財務諸表論は3回分(3回×3周=9回)」に厳選して絞り込みました。
このように2週間のスケジュールとやるべき範囲をカチッと決めた後は、感情を排して徹底的にスケジュールに従うことです。「この計画で本当に大丈夫か」「自分は本当に受かるのだろうか」といった雑念は一切捨てください。悩む時間さえもったいない時期です。この2週間は、まるでプログラムされたロボットのように、淡々とタスクをこなしていきましょう。
この時期、ストップウォッチは必須の相棒です。特に簿記論においては、大問ごとの時間配分をどうコントロールすべきか、解き終わった後の分析時間を使って「自分なりの最適解」をぜひ導き出してください。
最後に
今回ご紹介した『孫子』の戦略はいかがでしたか? 残された時間を最大限に活かすために、ぜひ活用してみてください。
皆様のこれまでの努力が実を結び、素晴らしい形で合格の日を迎えられるよう、心より応援しております!
【プロフィール】
鶴田 李華
税理士・宅地建物取引士
中国出身。中国の理系大学を卒業後、会計とは全く無縁の職種を経験。2012年の来日を機に、日本での就職を目指して一念発起し、自身の強みである「数字への強さ」を活かせる簿記の学習を開始。知識ゼロの完全未経験から、わずか半年間で日商簿記1級に一発合格。その後は税理士法人、不動産会社の経理部にて実務経験を積みながら勉強を続け、税理士登録。現在は金融系企業の経理財務部に所属。











