加藤大吾
(公認会計士・税理士)
本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。
【問い】
次の〔資料〕に掲げる取引について、増加する資本金の額はいくらか、求めなさい。
〔資料〕
自己株式の処分と新株の発行を1株当たり同価格で行い、自己株式200株(1株当たりの帳簿価額680円)と新株100株を交付し、払込金額150,000円が当座預金口座に全額払い込まれた。なお、資本金の計上額は、原則的な方法によること。
【解説】 ※誤りを含みます!
(借) 当座預金 150,000
その他資本剰余金 36,000
(貸) 資本金 25,000
資本準備金 25,000
自己株式 136,000
(注1)1株当たりの払込金額:
150,000円÷(200株+100株)=500円
(注2)自己株式:
200株×680円=136,000円
(注3)その他資本剰余金(自己株式処分差損):
200株×(680円-500円)=36,000円
(注4)資本金(解答の金額):
100株×500円÷2=25,000円