【簿・財 間違いさがしで実力チェック】第19回:自己株式②


ココが間違い!

自己株式の処分と新株の発行を同時に行う場合に、自己株式処分差損が生じる場合には、自己株式処分差損を新株発行に伴う資本金(資本準備金)の増加額から控除しなければならない。また、資本金の計上額について、本問において「原則的な方法」によることから、払込価額の全額を資本金として計上しなければならない。

【間違った解説】

(借) 当座預金 150,000
 その他資本剰余金 36,000
(貸) 資本金 25,000
 資本準備金 25,000
 自己株式 136,000

(注3)その他資本剰余金(自己株式処分差損)
200株×(680円-500円)=36,000円

(注4)資本金(解答の金額):
100株×500円÷2=25,000円

【正しい解説】

(借) 当座預金 150,000
(貸) 資本金 14,000
 自己株式 136,000

(注3)自己株式処分差損
200株×(680円-500円)=36,000円

よって、自己株式処分差損を資本金から控除しなければならない。

(注4)資本金(解答の金額):
100株×500円-36,000円(自己株式処分差損)=14,000円

チェックポイント

会社計算規則14条1項4号において、自己株式処分差損相当額を資本金等増加限度額より控除しなければならないと定められている。

また、会社法445条1項では、原則として払込価額の全額を資本金の額とすると規定し、同条2項・3項において、払込金額の2分の1を資本金ではなく、資本準備金として計上することを容認している。

〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。

本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。


固定ページ:
1

2

関連記事

【広告企画】会計大学院(アカウンティングスクール)12校の魅力を探る!

重版出来✨『わかる! 使える! うまくいく! 内部監査 現場の教科書』

【広告のご案内】掲載要領(PDF資料)

ページ上部へ戻る