税理士・会計士・日商1級 絶対落とせない財表理論45ー第6回 有価証券①


村上翔一(敬愛大学准教授)

☆連載のねらいとスケジュールはこちら

問題

有価証券とは、原則として、金融商品取引法に規定される証券を指す。有価証券の取得原価は、購入により取得した場合には、購入代価に付随費用を加算して決定する。
有価証券購入時の資産認識には2つの基準がある。1つは、売買約定日に買手が有価証券の発生を認識する( ア )基準、もう1つは、約定日から有価証券の受渡日までの時価の変動のみを買手が認識する( イ )基準がある。取得した有価証券は保有目的等の観点から区分され、それぞれの区分に応じて、貸借対照表価額、評価差額等の処理が定められている。

解答・解説

ア 約定日
イ 修正受渡日

金融商品会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第14号)、par.22
契約日と受渡日が異なる金融資産の売買契約は、売買契約そのものを先渡契約として認識し、市場相場の変動に伴う当該契約の権利義務から生じる価値を金融資産又は金融負債として認識することが考えられることから修正受渡日基準が認められる(par.233)。

◎復習しましょう!(バックナンバー)
第1回 棚卸資産①
第2回 棚卸資産②
第3回 棚卸資産③
第4回 棚卸資産④
第5回 棚卸資産⑤

【執筆者紹介】
村上 翔一
(むらかみ しょういち)
明治大学大学院経営学研究科博士後期課程修了(博士(経営学))。明治大学専門職大学院会計専門職研究科教育補助講師、敬愛大学専任講師を経て現在敬愛大学経済学部准教授。
<主な論文>
「保有者における電子マネーの会計処理」『簿記研究』(日本簿記学会)第2巻第1号、2019年(日本簿記学会奨励賞)
「ICOに関する会計処理」『敬愛大学研究論集』第98号、2020年
「ブロックチェーン技術の進展と簿記」『AI時代に複式簿記は終焉するか』(岩崎勇編著)、税務経理協会、2021年
「コンセンサス・アルゴリズムの観点に基づく暗号資産の会計処理―マイニング、ステーキング、ハーベスティングの理解を通じて―」『敬愛大学研究論集』第100号、2021年 他

*本連載は、会計人コース2019年11月号「特集:勉強したくなる「習慣化」のススメ 7日間理論ドリル」を大幅に加筆修正したものです。


関連記事

ページ上部へ戻る