【大学院体験記】1日でも早く税理士になるために


そうちゃんおばちゃん
(千葉商科大学大学院・会計ファイナンス研究科)

大学院進学のきっかけ

税理士試験を受験しようと思い立ち予備校に通い始めたばかりの頃、担当講師の先生から、税理士資格を得るには5科目合格する方法の他にも、大学院に行って科目免除を受ける方法があることを教えてもらいました。その当時は、そういう方法もあるのか、と心の片隅に留めた程度で、具体的に自分自身のこととして考えることはありませんでした。

しかし、税法の勉強が進んでいくうちに、テキストに書かれたことを丸暗記しているだけでは理解が不十分だと感じるようになりました。また、日々仕事をしていると、世の中には条文や本に書いていない状況はたくさんあって、そういった事態に対応するためには何が正しい処理方法なのか、自ら考えられる法的思考をもっていなければならないと実感してもいました。

私は、国家試験というものは、いまだに「短時間で、いかに速く、正確に、大量に処理できるか」を問う側面が小さくない、と考えています(種々の競争試験を思い浮かべてみてください)。情報処理技術が発達していない時代であれば、それはとても重要な能力であったと思います。しかし、AIが代わりに仕事をするようになるのも現実的になってきた今では、そのような能力のみでは機械には太刀打ちできなくなると思います。税理士という仕事を人間がやることのメリットを考えると、機械にもできることではなく、人間だからこそ得意なこと、すなわち法的思考を生かした判断能力を磨くことは必要不可欠なことだと考えるようになりました。

そこで、税理士試験は3年間で終わらせて大学院に進学し、租税法を深く学ぼうと心に決め、3年目の受験が終わった夏から進学の準備を始めました。

入試対策

社会人選抜試験は、出願理由書および研究計画書の提出と面接でした。

研究計画書のテーマについては、春頃から、税理士試験の勉強のかたわら気分転換のつもりで空き時間にぼんやりと考えていました。また、新聞を読んで今どのようなことが問題になっているのかなど情報収集をして、そこにテーマのヒントがないかどうかを考えました。そういった土壌があって、8月末頃にはテーマを決め、関係論文などの資料を集めて研究計画書を作成しました。作成の方法については入試説明会で簡単な説明があり、対策用の書籍も買って、インターネットでも情報を探しつつ完成させました。面接については、特に対策はしませんでした

最初は大学院入試のための予備校の利用も頭をよぎったのですが、費用のことを考えて私は利用しませんでした。しかし、税法免除大学院の入試情報はまだまだ少ないので、不安な人は利用を考えてもいいのではないかと思います。

大学院で身についた力

大学院では、税理士試験の予備校で教わるような内容はほとんど教わりません(基礎的な科目については、計算方法も含めて丁寧に説明してくださる教授もいます)。

その代わり、租税法を学問として学びますので、「なぜこのような規定になっているのか?」「規定の仕方に問題はないか?」「○○税と△△税の取扱いの違いをどう考えるか?」など、毎時間深く考えることを繰り返します。あらかじめ判例を読み、みんなでどう思うか議論する事例研究型の講義もあります。

最初はとても大変でしたが、何度も繰り返しているうちに、事案の論点をつかみ、それについて自分の意見をもち、他の人にもわかりやすいように説明する力が少しずつついてきていることを実感しています。また、法律的な文章の書き方も教わるので、仕事にも日々役に立っています

その他にも,私の通う大学院では様々な講義が用意されており、実務に関する力をつけるだけではなく、純粋に知的好奇心を満たすことができる機会も多くあります。

出勤前の早朝に課題をこなすことが多いのですが、毎日夜が明ける様を味わえるのも、大学院に通っている今だからこそと思っています。

現役生から受験生へのメッセージ


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