【税理士試験】簿・財合格を目指すなら 問題を解くときに“やってはいけない”3つのこと


藤原 靖也
(和歌山大学経済学部准教授)

 前記事では、税理士試験の会計科目に合格するために、直前期に意識してほしい問題の「取捨選択」と「時間配分」のコツをお伝えしました。

 簿・財合格の2大スキル! 「取捨選択」と「時間配分」をどう身につける?

 この「取捨選択」と「時間配分」がある程度できるようになり、アウトプットを繰り返していると、次は問題に対する自分なりの解き方が身についてくると思います。それに伴って点数もついてくるでしょう。

 一方で、「アウトプット慣れ」は怖いものです。特に、中途半端なアウトプットほど怖いものはありません。

 本稿では、アウトプットをある程度進めてきた方に向け、気をつけてほしいこと、特にやってはいけないことについてお話しします。

1.問題を雑に読んでいないか?

 読み飛ばしてよい資料など試験問題の中にはありません。必要だから書かれています。

 しかし、アウトプットに慣れてくると、問題を雑に読むようになっていませんか? 自分の中で「決め打ち」をしていませんか?

 雑に読んでいるか否かは、問題への書き込みの「ある部分」を見ればわかります。以下の写真をご覧ください。

 これは、前記事でもご紹介した令和3年度版『税理士試験 直前予想問題集 財務諸表論』の「学者×実務家コラボ模試」の第3問を10分間だけ解いたときのものです。

 いつも私は問題を解く前に、決まって最初のページを入念に読み、赤マーカーでしっかりとチェックする癖をつけています。なぜなら、試験問題は指示に従って解かなければ正解にはならないからです。

・当社は何という名前か
・当期とはいつからいつまでか
・月割計算なのか、日割計算なのか
・端数処理の方法はどうするのか(切り捨て、四捨五入、切り上げなど)
・金額は3桁ごとにカンマで区切る
・マイナスになる金額の前には△を付ける
・単位は千円単位なのか円単位なのか
・税率は何%でいつ適用するのか

 どれも当たり前のことばかりに見えるでしょうが、「当たり前」を読み飛ばすと痛い目にあいます。

 たとえば、端数処理の方法について、本問の指示は「四捨五入」ですが、第70回税理士試験の財務諸表論の第3問では「切り捨て」でした。法定実効税率の設定も、本問とは異なり30%でした。『直前予想問題集』でも問題により指示は違います。

 神は細部に宿ります。せっかくわかっていても、単位間違いや端数処理で失点しては、もったいないですよね。

 しっかり点数を伸ばしている方は、最初の指示文を大事にしている傾向があるようにも思います。

 アウトプットに慣れた方ほど、問題文、特に指示文を雑に読んでいないか、この兆候がないか、いま一度確認してみてください。

2.「解けるかもの罠」にはまっていないか?

 また、アウトプットに慣れてくると、「どこかで見たことがある、解けそうだ」といった錯覚に陥ることがあります。しかし、それが本当に解けるどうかは別問題です。

 時間勝負の試験で時間をかけすぎると痛い目にあいます。

 「解けるかも」とのめり込むことで、問題の「取捨選択」と「時間配分」、さらには試験全体のペース配分にも狂いが生じてしまうのです。特にこれは、B論点において顕著です。

 私はこれを「解けるかもの罠」と呼んでいます。問題文を雑に読むことと同様に、やってはいけないことです。点数を積み上げることができません。

 たとえば、前出の「学者×実務家コラボ模試」の第3問であれば、「リコース義務」は難しいですし、「割賦売掛金の金額」や「有価証券」・「新株予約権」の問題も意外と時間をとられます。一方、「土地の減損損失の金額」は暗算で答えが出るくらい簡単です。

 「解けるかもの罠」にかかって時間を浪費しないよう、十分に意識してトレーニングをしていきましょう。時間のかかる設問に着手しても、いったん離れられるかどうか、時間配分を修正できるかが大事です。

3.難問をむやみに解いていないか?

 私が簿記論に合格した際、すべての問題を専門学校による難易度の基準に沿って自己採点したことがあります。A論点の正答箇所は33/35、B論点の正答箇所は9/19でした。一方でC論点は1/10、つまりほぼすべて間違いでした。しかし、これで十分に合格できたのです。

 直前期に難しい問題に手をつける癖がつくこと。これが一番怖いです。

 相対試験における合格の法則は、いつも「基本問題+α=合格」です。税理士試験も例外ではなく、抜け道はありません。

 「難問を解きまくる」という沼に陥ったら終わりです。「難しい問題を解けた者が勝つ」という幻想にとらわれると、問題の取捨選択も時間配分もうまくいきません。

 何より税理士試験の会計科目は全問を解く試験ではありません。「基本問題を大事にした者が勝つ」のです。難問は思い切って捨て、基本問題という王道の学習に徹するようにしましょう。 

基本を100%に近づけよう

 税理士試験の簿記論・財務諸表論に合格するためには、いかに基本問題かどうかを見極め100%に近い精度で正答できるかが重要です。

 そして、「自分が試験合格レベルまで仕上がっているか」を見極める基準も、基本問題(いわゆるA論点)を100%に近い精度で解けているか否かです。

 本稿でご紹介した『直前予想問題集』も大いに活用しながら、難問は半分~1/3くらい、基本問題は100%に近い精度で解けているか、チェックしてみてください。

【執筆者紹介】
藤原 靖也(ふじわら・のぶや)
和歌山大学経済学部准教授、博士(経営学)。日商簿記検定試験1級、税理士試験簿記論・財務諸表論、公認会計士試験論文式試験に合格。神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了後、尾道市立大学経済情報学部講師を経て現職。教育・研究活動を行いつつ、受験経験を活かした資格取得に関する指導にも力を入れている。


『税理士試験 簿記論 直前予想問題集(令和3年度)』

中央経済社編
定価:2,640円(税込)
発行日:2021/04/13
B5判 / 244頁
ISBN:978-4-502-38441-7
ご購入はこちらから

『税理士試験 財務諸表論 直前予想問題集(令和3年度)』

中央経済社編
定価:2,640円(税込)
発行日:2021/04/13
B5判 / 192頁
ISBN:978-4-502-38451-6
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