第70回税理士試験【解答速報】情報


【消費税法】

◆資格スクール大栄/ネットスクール

講評

第一問
問1 仕入れに係る消費税額の控除について問われた問題でした。
課税資産の譲渡等に係る請求書等の記載事項と仕入れに係る消費税額の控除不適用の問題は解答できたと思います。しかし、消費者向け電気通信利用役務の提供についての仕入れに係る消費税額の控除の適用は解答することは難しいです。ただし、計算問題で行っている内容を思い出していただければ、取引先である国外事業者登録国外事業であれば仕入れに係る消費税額の控除の適用があり、そうでない場合は適用できないことは解答できたと思います。
問2 事例問題が3題出題されました。
⑴については、課税標準額の計算に関する問題でしたが、普段計算問題で行っていることをそのまま文章にしていただければ解答できたと思います。
⑵については、一体資産について適用される税率を問う問題が出題され、平成28年改正消令附則第2条に従って解答する問題でしたが、理論問題としては難易度の高い問題でした。
⑶については令和元年の軽減税率導入に伴って軽減税率の対象となる飲食料品を生産する農林水産業について、その軽減税率の対象となる飲食料品の譲渡に係る部分について行われた改正事項が出題され、この問題も⑵と同じく理論問題としては難易度の高い問題となっていました。
以上より第一問問2では⑴が解答できているか否かがポイントになると思われます。

第二問
問1 仕入れに係る消費税額の控除を原則的計算で行う総合計算問題でした。
売上げ取引の区分、課税仕入れの3区分がポイントになると思われます。また、自己使用資産の国外移送が出題されていましたので、特に課税仕入れの3区分がポイントになると思われます。
なお、調整対象固定資産を転用した場合の控除税額の調整計算は加点できる箇所となります。
問2 簡易課税制度の個別問題でした。
納税義務の有無の判定は、平成23年度の税理士試験に類題が出題されていましたので解答できたと思います。次に、簡易課税制度適用有無の判定は、合併法人単独の基準期間における課税売上高で判定することとなりますが、この判定も解答できた問題だと思います。最後に簡易課税制度における業種区分については、第三種事業と第四種事業の区分にひっかけ的な問題が入っていましたが、他の業種については基本的な内容であったと思います。

〔全体について〕
今回の試験問題は、例年に比べ第二問の難易度が高くなかったことから第二問で得点を積み上げ、その上に第一問の部分点を加点して合格ラインまでもって行く問題と思われます。したがって、第二問の精度が合否を分けることになると思われます。

解答速報

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◆資格の大原

講評

理論については、仕入税額控除の適用要件である帳簿及び請求書等の保存に関する問題については、模擬試験で出題していた項目であったため、解答しやすい問題でした。
また、改正項目である税率に関する取り扱いを述べる問題についても上記と同様に、解答は容易であったと思われます。

計算については、原則計算については平易であるため合格には高得点が必要であると思われます。
簡易課税制度は事業区分について判断に迷う取引がいくつかあり、当該取引について1つでも多く正答できると有利になると思われます。

解答速報

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◆専門学校東京CPA会計学院

講評

本試験お疲れ様でした。今年の試験は、理論2問、計算2問(原則+簡易課税の事業判定)の形式による出題でした。
理論は重要度の高い論点である、帳簿及び請求書等、軽減税率等の近年の改正項目がしっかり出題されていました。事例問題の内容も例年と比べると容易に解答できる問題であったため完成度の高い解答が求められると思います。
計算は問1は比較的易しい問題で、問2は事業区分が多少難しい印象でした。

<理論>
問1
帳簿及び請求書等については、施行令の部分の解答も求められていたため、満点解答は難しいため、部分点として確実に積み上げれば十分に合格点は取れると思われます。
仕入税額控除が適用できない場合として、密輸品の取扱いだけでなく、金等に関する本人確認書類が解答できているかも重要なポイントになるでしょう。
問2
事例問題については、軽減税率が関連する⑵及び⑶については、多くの受験生が対策をしていたところであるため、確実に正答したいところです。
近年では用語の意義が頻繁に出題されているため、用語の意義の正確性も高いものが求められると予想しています。

<計算>
問1
取引区分が多少複雑な原則課税の問題でしたが、売上、仕入に難しい論点はありませんでした。
受験生が間違えやすい箇所は、仮想通貨の取扱い、調整対象固定資産の転用の可否かと思いますので、それ以外の箇所は正答したいところです。
問2
簡易課税制度の個別問題でした。納税義務の判定に関しては第61回の本試験とほとんど変わらないため、正答してほしいところです。電気工事に関する事業区分については、完答は難しいため、計算過程で拾えるところを確実に拾えたかどうかがポイントになりそうです。

まとめ
昨年と同様にボリュームが多かったため、ケアレスミスが出やすい問題だったと思います。
理論は、事例の結論は正答させたうえで、計算の問1は課税売上割合までは正答し、簡易課税の事業区分で部分点をしっかり取れるかどうかが合否を分けるラインではないでしょうか。
毎年の課題ではありますが、税理士試験の合否は難しい論点の正答率ではなく、簡単な論点の正答率の高さにあります。いかにケアレスミスを減らせるか、そこを普段の学習の面から意識する必要があります。
1年に1度しかない大事な試験だからこそ、普段からの学習方法等をしっかり見直す必要があるのではないでしょうか。

○合格ボーダーライン→理論:問1・17点、問2・15点
計算:問1・28点、問2・11点  ∴ 計71点前後
○予想合格確実ライン→理論:問1・19点、問2・20点
計算:問1・30点、問2・13点  ∴ 計82点前後

解答速報

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