野田翔一
私にとってのオンとオフ
週末に行っている小さな家庭菜園での畑仕事、それが私にとっての仕事のオフタイムになっています。
税理士の仕事のオンとオフとは何か? 私の場合、それは仕事のことを考えているかどうかというのが、オンとオフの区切りになっているのではないかなと思うわけです。
税理士という仕事は、税金や会計を中心に、数字まわりを扱う仕事です。わりと考えることが多い仕事なんじゃないかなと思っています。相談に応じた案件について考えたり、近くミーティングが予定されている顧問先の方と何を話すか考えたり、価格設定や請求といったお金まわりのことについて考えたりと、さまざまです。日中、相談を受けているときや事務処理といった仕事をしているように見える時間だけが、仕事ではないというのが、私が思うオンとオフなわけです。
ただ畑のことだけを考える
そこで、週末の畑仕事が、仕事のことを考えているかとどう関係するのか? という話に進みたいと思います。実は、私にとって畑仕事をしている時間は、畑に向き合って作業に没頭する時間であったりします。仕事とは違うことに取り組み、そのことだけを考える時間を持つことで、ほどよいオフタイムを設けることができています。
秋冬野菜である大根とキャベツに向けての準備をした、ある日の畑作業を思い返してみましょう。
夏野菜の栽培を終えた箇所を整えて、次に育てる野菜の植え付けをするためのベースを作る必要があります。まず、雑草を抜き、夏野菜を収穫して残った細かい根っこを取り除きます。それを終えたら、大根とキャベツ、それぞれに合った肥料を土にまき、混ぜます。続いて、10センチほどの高さまで盛った土をきれいな長方形にして畝をつくります。畝を作り終えたら、保温のためのビニール(マルチといいます)を長方形の畝にかぶせます。ここまでの工程で、大根とキャベツの箇所それぞれに、同じ作業を2回やります。土をいじりながら、畝をきれいにつくり、次に畑に来たときに苗や種の植え付けができるようにする下準備です。
畑は3年ほどやっていますが、やはり素人が手作業で行う仕事は時間と手間がかかります。それなりに集中して、熱中して取り組んでいます。
なかなか難しいけれど
集中して畑の作業をしている間は、仕事のことを含めて、別のことを考えることはほとんどありません。まさに、仕事のオフタイムです。畑以外に普段ライフワーク的に行っているランニングがありますが、走っているときは意外と考え事をする時間になっているもので、むしろ考えをまとめていたりします。読書も好きで本をよく読みますが、読みながら考えることが多いです。そうなってくると、考えていない時間を作るのは、なかなか難しいですね。しかしながら、畑の作業をしている時間は作業で体を動かしながら、畑に集中して、考えずにいられます。
申告期限といった明確な締め切りがある税理士という仕事の特性上、時に仕事の時間は不定期になることもあります。早朝の時間に自宅で調べ物をすることもあり、仕事時間だけでオンとオフを区切るのは、なかなか難しいところがあります。そんななかでも、仕事のことを考えない時間が、ある意味で仕事のオフだなと思えば、その時間は心地よいものです。
〈執筆者紹介〉
野田 翔一(のだ・しょういち)
税理士
都内税理士法人、野田翔一税理士事務所開業等を経て、現在は先々代から続く野田税務会計事務所にて所属税理士。クラウド会計ソフト、キャッシュレス取引の導入を推進することでのシンプルな経理効率を得意としている。日々のライフワークは、畑、週2で通う空手の稽古やランニングなど。シンプルに、穏やかに生きることが信条。妻と2人の娘と猫のちびとの5人暮らしである。不定期にブログを更新している。
※ 本稿は、『会計人コース』2020年1月号に掲載した記事を編集部で再編成したものです。
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