野中麻衣子さん(会社員)
●合格科目
簿記論・財務諸表論(平成17年)
消費税法(平成27年)
法人税法(平成30年)
国税徴収法(令和元年)
●出身大学
同志社大学
1 受験の動機
就職氷河期で希望していたところに就職できず、せっかく決まった正社員の仕事も体調を崩してしまい辞めてしまったため、何か手に職をつけたいと考え税理士試験の勉強を始めました。
2 受験環境
簿記論と財務諸表論の受験時は仕事をしながらの受験でした。
その後結婚し、子どもを二人出産し10年ほど税理士試験から遠ざかり、税法の受験を始めた時は、「仕事」「育児」「家事」にプラスして「勉強」をするという環境に変わりました。
3 受験計画
受験再開後は、育児が自分の中での最優先事項かつ仕事もしていたため法人税法は2年かけ、後の税法科目は1年で合計4年かけて取得しようと考えていましたが、実際は法人税法合格までに3年かかり、税法科目の合格に計5年かかりました。
4 学習法
とりあえず時間がない中での受験勉強だったため、書くという時間を極力減らしました。
理論は理解が大事
理論は、まず理解をすることを最優先しました。
最後に受験した国税徴収法を例にすると、まず税務大学校の税大講本や授業で使うテキストを使って国税徴収法がどういう法律であるかを理解することから始めました。
大まかな枠組みが理解できたら、テーマごと、単元ごと、文章ごとと小さい枠組みに区切って理解を深めます。
最終的にその理論について全く知らない人に対しても説明できるようになるほど理解ができれば、次は単元ごとに声に出して録音する、そしてそれを聞きながら自分でも口に出して覚える。というように座らなくても勉強できる時間を多くすることを心掛けました。
こうすることで、一人でいるわずかな時間も勉強に充てることができました。
計算は初見時のみ紙に書く
計算は、最初の1回目の時は紙に書いて解きましたが、それ以降は解答を手元におきながら計算式が合っているかをチェックして、電卓を叩いて数字が合っているかをチェックするだけの方法にしていました。
そうすることで大幅に時間を短縮することができ、何度も計算を解くことができました。
問題を覚えるほどやるように先生に言われていたこともあり、答練を含めすべての問題を覚えるほどやりました。
睡眠時間を削るのはやめました
法人税の時は、それでも時間が足りずに睡眠時間を3時間ほどに削って勉強をしていましたが、逆に睡眠時間を削ると問題を解くスピードや記憶力が落ちてしまうことに気づいたため、その後は最低5時間寝るように心がけました。
5 受験生活全般
フルタイムで仕事をしていたため仕事から帰ってきたら、子どもの夜ご飯を作り→お風呂にいれて→片づけ→寝かし付けをする。朝起きたら、洗濯物を干し→保育園の準備→子どもを起こして→朝ごはんを作り→上の小学生の子どもを送り届け→下の子どもを保育園に送り届けて→仕事に向かう、という生活を平日はしていました。
平日は会社までの電車の中、子どもが起きる前、子どもが寝た後しかまとまった時間はとれませんでしたが、スキマ時間を利用し「少しでも理論をみることができるように」「計算問題の気になる箇所がチェックできるように」と常に勉強したいすべての教材をリュックにいれて持ち歩いていました。本当に重かった。
週末は子どもの習い事の送迎、子どもの保育園や小学校行事がないときは、私の両親が子どもをみてくれて直前期には何度かまとまった時間を取ることができました。
両親にみてもらえる日は計算を主に1日12時間くらい勉強させてもらっていました。
ただ、子どもがいると勉強時間は確かにとることが難しくなりますが、子どもが何度も何度も「ママ頑張って」といって応援してくれたことが私の受験生活を支えてくれていました。
子どもとの時間がなければ、逆に試験をあきらめてしまっていたかもしれません。子どもがいてくれたおかげで合格できたと思っています。
6 後輩へのアドバイス
「家事」「育児」「仕事」と何足ものわらじをはいて勉強していると、どうしても勉強時間は専念の人等に比べると減ってしまいます。
けれど私の場合は、簿記論や財務諸表論を勉強していた割と自由な時間がたくさんあった時より、子どもといる環境の方が集中して勉強を行うことができました。
まとまった時間がとれないからこそ、「工夫して」「集中して」勉強ができたので、私のように時間があればすぐにさぼってしまうタイプの人は、忙しくしながらの受験が向いているかもしれません。
とにかく時間がないことを言い訳にしない、できない理由を考えて自分を甘やかさないをと常に自分に言い聞かせていました。
壁にぶつかるたびに「やっぱり無理だ」と一人で泣いてばかりいたのでアドバイスができるような立場ではないですが、できない理由を考える時間がもったいないので、その間にもう1問問題を解いてしまうことをオススメします。
【平日のスケジュール】
5:30 起床(計算問題)
6:00 朝ごはん・洗濯干
6:30 子ども起こして準備
7:00 家を出る
9:00 会社
12:00 昼休み(理論暗記)
18:00 帰宅 夜ご飯作る
19:00 子ども食事&お風呂
20:00 子どもと遊ぶ
21:00 子ども就寝
22:00 私のみ起床(計算問題2時間)
24:00 就寝
【週末スケジュール】
5:00 起床
8:00 子ども起床朝ごはん
10:00 習い事送迎(習い事中 理論1時間)
12:00 お昼ご飯
13:00 子どもと遊ぶ
18:00 夕食作り
19:00 子ども夜ご飯&お風呂
20:00 子どもと勉強
21:00 子ども就寝
22:00 私のみ起床(理論2時間)
24:00 就寝
【編集部より】
「仕事」「育児」「家事」「勉強」の4足のわらじで忙しいなか、受験生活を乗り切り、見事「官報合格」、本当におめでとうございます! 子ども達の心温まるメッセージも励みになりますね。まとまった勉強時間がとれない方へのエールとなる体験記です。ご執筆頂きありがとうございました♪
なお、野中さんは税理士試験×子育てブログも開設しています。とても参考になりますよ☆
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