つぶ問6-4(簿記論)―純資産(各項目、自己株式、新株予約権)、包括利益


【解答】(金額の単位:円)

(A)  900,000
(B)  30,000
(C)  20,000
(D)  22,500
(E)  15,000
(F)  286,500
(G)  286,500
(H)  375,000
(I)  7,000


【解説】(金額の単位:円)

 転換社債型新株予約権付社債の会計処理一巡についての計算問題です。最後の権利行使では、新株発行と自己株式の処分が同時に行われているため注意が必要です。

1.発行時の処理
 一括法による場合、発行時には、新株予約権付社債の発行価額900,000をまとめて新株予約権付社債勘定で処理します。

2.利払と償却原価法(定額法)
 約定利息の支払額は、額面1,000,000×3%=30,000となります。
 償却原価法による年間の簿価修正額は、(1,000,000-900,000)÷5年=20,000となります。

3.権利行使時の処理
 まず、権利行使日がX5年12月31日であるため、期首からの経過月数9ヵ月分だけ、利息の支払いと償却原価法による処理を行います。

 利息の支払額は、30,000×9ヵ月÷12ヵ月=22,500となります。
 償却原価法による簿価修正額は、20,000×9ヵ月÷12ヵ月=15,000となります。

 この結果、権利行使時点における新株予約権付社債勘定の残高は、以下のように計算できます。2.の決算整理時点から、さらにもう1年度経過している点に注意しましょう。

 新株予約権付社債勘定の残高:900,000+20,000+20,000+15,000=955,000

 権利行使による株式発行数は、全体で1,000,000÷4,000(=250個)×5株=1,250株です。したがって、権利行使に伴う新株発行部分と自己株式処分部分の対価はそれぞれ次のように計算できます。自己株式の処分からは処分差益が生るため、そのまま自己株式処分差益勘定で処理します。

 新株発行部分:955,000×750株÷1,250株=573,000
 →資本金組入額:573,000÷2=286,500

 自己株処分部分:955,000×500株÷1,250株=382,000
 →自己株式処分差益:382,000-帳簿価格750×500株=7,000

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。


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