この連載講座では、「日商簿記では学ばないけれど、税理士試験の簿記論・財務諸表論では必要になる論点」を学習します。
簿記論・財務諸表論の学習は広範囲にわたるため、日商簿記では深く学んでいない論点も対策しなければなりません。
税理士を目指して簿記論・財務諸表論の学習を始めた方、「いずれは税理士に」と考えている方は、この連載講座を使って効率的に学習を進めていきましょう。
千葉商科大学基盤教育機構専任講師 渡邉 圭
―特殊商品売買編―
1 学習済項目と未学習項目の整理
未学習項目 | 未着商品、委託販売・受託販売、試用販売、 割賦販売、 委託買付・受託買付 |
2 本試験の出題傾向と本講義の流れ
定期的に出題されています。
特殊商品売買は、日商簿記検定の出題範囲から削除されましたが、税理士試験では最近出題実績があります。
未学習項目しかありませんので、まず簡単な説明を行い、取引ごとに設例で仕訳を確認後、練習問題を演習するという形で進めさせていただきます。
第3回 委託販売・受託販売
取引の流れは第1回をご確認ください。
(1)設例
次の取引について、委託者側(C社)と受託者側(D社)をそれぞれ仕訳しなさい。
なお、当社はD社から売上計算書を受け取った時に売上を計上している。
また、仕訳不要の場合は解答欄の借方科目欄に「仕訳不要」と記入すること。
商品売買取引は三分法により記帳している。
① C社は当期から委託販売を開始し、商品50,000円(100個×原価@500円 売価@1,000円)をD社に積送した。発送運賃5,000円は現金で支払った。なお、発送運賃は積送諸掛勘定で処理すること。
② D社はC社から販売を委託された商品100,000円(100個×売価@1,000円)を受け取った。なお、その際に保管費4,000円を現金で支払った。
③ D社は上記②の商品のうち80,000円(80個×売価@1,000)を販売し、代金は現金で受け取った。
④ D社は次の売上計算書を作成して、C社に送付した。その際に、販売手数料(販売額の10%)を計上した。
⑤ C社はD社から上記④で送付された売上計算書を受け取った。売上計算書に記載されている諸掛りは、積送諸掛勘定で処理すること。なお、売上原価の計算は販売の都度計算を行い、手取額は委託販売勘定により処理すること。
⑥ 決算:期末商品棚卸高 10,000円(20個×原価@500円)
期首商品棚卸高(手許商品棚卸高)はなく、減耗や評価損もなかった。発送諸掛りに係る積送諸掛り5,000円のうち、期末商品棚卸高に相当する金額を繰延積送諸掛勘定として次期に繰延べる。
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